気候変動の影響で2003年と18年にスイスを苦しめたに猛暑と干ばつが当たり前になる恐れがある
Keystone
気候変動の影響でスイスは乾燥して温暖な気候になり、雨が増え雪は減る可能性がある。スイス気象台(メテオ・スイス)、連邦工科大学チューリヒ校、ベルン大学の専門家らが13日に明らかにした。
このコンテンツが公開されたのは、
「気候変動に備え、うまく適応する必要がある」と連邦気候変動適応戦略プロジェクトの一環の「スイス気候シナリオ2018」を率いるアンドレアス・フィッシャーさんは言う。
このシナリオは、我々が既に経験している気候変動予測を証拠立てるものだ。世界的に対処しなければ、今世紀半ばまでに乾燥した夏、熱帯の日、豪雨、雪の減少といった4つの点で気候が大きく変化すると予想される。
干ばつ期間
長期的に平均降雨量が減少するため、スイスの土壌は乾燥した状態が続く。夏の平均気温は現在より2.5~4.5度高くなる。夏季には約3週間雨が降らない期間が発生すると予想される。
最高気温が平均気温よりもはるかに高くなるとも予想される。夏の最高気温は現在より2~5.5度上昇する可能性がある。
スイスは今後、03年や18年のような猛暑が当たり前になる恐れもある。人口密度が高く、低地にある都市部の猛暑が最も過酷だと予想される。
将来的には豪雨がより頻繁かつ激しくなると専門家らは予測している。年間降雨量が最も多い日は、現在と比べて平均約1割多く雨が降るようになる。
冬は現在より2~3.5度上昇し、はるかに穏やかになる。雨としての降水量はあるが、雪は降る量も頻度も減る。
積雪地域が減少
低地では、積雪量は現在の約半分になる。0度の等温線は今日の850メートルから1500メートルに上昇。アルプスをまたがる国々は、積雪地域が減少する可能性が高い。
研究者は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の出した二つのシナリオを元に、今後100年間の気候の予測計算を行った。一つは気候保全を行わないケース、もう一つは温暖化の気温上昇を産業革命以降の平均気温上昇を2度未満に抑える措置を行ったケースだ。
「有意義な気候保全を行えば、21世紀半ばまでに起こりうるスイスの全ての気候変動のほぼ半分、そして今世紀の終わりまでにはほぼ3分の2を阻止することができる」と連邦工科大学チューリヒ校の気候科学者、レト・クヌッティさんは言う。
「スイス気候シナリオ2018」は、07年と11年に続き今回で第3弾の気候予測。ベルン大学のエシガー気候研究センター外部リンクのクリストフ・ライブレさんによれば、前回の予測から更に7年分のデータが増えたことにより、今後の気候の傾向がより正確に把握できたという。
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
続きを読む
おすすめの記事
2060年には灼熱がスイスを襲う?
このコンテンツが公開されたのは、
都心で40度超の猛暑、長期化する干ばつ、雪のほとんどない冬。約40年後のスイスは、ちょうど現在の地中海性気候のようになっているかもしれない。この気候変動がスイス社会、アルプスの観光業、そして環境に与える影響とは?
もっと読む 2060年には灼熱がスイスを襲う?
おすすめの記事
干ばつがスイスの森林に及ぼす影響
このコンテンツが公開されたのは、
今年は例年になく暑く、雨が少なかった。そんな一年も終わりに近づく今秋、木々の葉はかつてないほど鮮やかに色づいているように見える。しかし、スイスの木々は冬を乗り切る準備ができているのだろうか。さらに、干ばつが増えると予想される未来への備えはどうだろう。
もっと読む 干ばつがスイスの森林に及ぼす影響
おすすめの記事
貴重な考古学的発見 後退進むスイスの氷河から続々
このコンテンツが公開されたのは、
新石器時代の木製の弓、石英の矢頭、祈りの本― アルプスの氷河が溶けて後退するにつれ、考古学的に貴重な品々や遺体などが良い保存状態で続々と姿を表し始めた。ヴァレー博物館ではそのような珍しい発見のいくつかを展示している。
もっと読む 貴重な考古学的発見 後退進むスイスの氷河から続々
おすすめの記事
1868年の大洪水から150年 自然災害が変えたスイスの姿
このコンテンツが公開されたのは、
150年前、スイスで湖と川が氾濫し、洪水が国土の大部分を襲った。この大災害は国に大きな被害と犠牲者をもたらし、連邦政府の政治や社会にも大きな変化を与えた。
もっと読む 1868年の大洪水から150年 自然災害が変えたスイスの姿
おすすめの記事
IEA、スイスにEU電力市場への参入を推奨
このコンテンツが公開されたのは、
国際エネルギー機関(IEA)は8日発表したスイスのエネルギー政策報告書で、スイスは脱原発計画により低炭素社会を維持しにくくなると指摘した。欧州連合(EU)と交渉中の枠組み条約において、EU電力市場に加わる方向で交渉を進めるべきだと推奨した。
もっと読む IEA、スイスにEU電力市場への参入を推奨
おすすめの記事
氷河が語る歴史 ススで仮説覆す調査結果
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が最新の調査結果を発表し、アルプス氷河の融解は19世紀半ばの産業化と同時に始まったという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む 氷河が語る歴史 ススで仮説覆す調査結果
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。