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注目したいスイス館スタッフのコスチューム

100年前の絵柄のコンビネーションから生まれた生地に、アッペンツェルの皮ベルトをあしらった。

スイス館のコスチュームは制服らしさがない。フォーマルなスーツではないし、ブラウスは一人一人模様が異なる。ベルトの締め方も着る人それぞれで個性がでる。

スイスのテキスタイル業界は近年、才能ある若いデザイナーを次々と生んでいる。スイスのファッションセンスがスイス館で表現されるのがユニフォームだ。日本の工事現場の作業員服に魅せられたというレーラ・シェーラーさんとクリストフ・ヘフティさんによる、共同作品のコスチュームにスポットを当てる。

 男性のスタッフのコスチュームは、スリムなカットのダークグレーの綿のスラックスに、ライトブルーのポロシャツ。管理職は同色のワイシャツにダークグレーのジャケット。胸には、スイスのお土産屋で買えるエーデルワイスなどを刺繍したアップリケが縫い付けられている。

 女性は前身ごろを重ね合わせて着るカシクールのブラウスとスカート。ブラウスはアルプスの風景をイメージした柄。スカートとジャケットは男性と同じくシルバーグレーで「山の岩肌」を表現。これにショッキングピンクのストッキングを履く。男女とも、牛や太陽をかたどったメタルが付いているベルトと、ポーチを着用。ベルトはアッペンツェル地方の皮工芸品で、制服全体のデザインを引き締める効果がある。

100年前の模様

 ブラウスやポーチの布のプリントを請け負ったのは、グラールス(Glarus)にあるミトレディ・テクスティル・ドゥルック社。グラールス州には以前30社もの繊維関連会社があり、ザンクトガレンと並び繊維産業が盛んだった。ユニフォームのデザイナーとミトレディ社は社内に保存されていた模様のデザインの中から、100年前の模様を7つ選び組み合わせ、改めて色を選び新しくデザインしなおした。替わり模様なので、裁断すると一着、一着違った模様のブラウスができるのが特徴だ。

 経営責任者のハンス・ブレジ氏によると、幾十にも絵柄が重ねられているため、昔ながらの手作業でプリントした。コットンの布は市販価格にすれば1メートル50フラン(約4,500円)という。

グラールスの布染め技術

 テキスタイルにほどこす布染めの技術は、1740年頃からグラールス州で盛んになった。「グラーナー・ツォイクドルック」と呼ばれ19世紀には、品質の高いプリントとの評価を国外でも受けるようになった。色の特徴はインディゴブルー、ターキーレッドが基調。ろうけつ染の風合いの多色刷りのスカーフ、ハンカチのほか、壁に飾る絵画をプリントすることもあった。

 『スイス・レキシコン(Schweizer Lexikon出版)』によると、最盛期の1865年にはグラールス州にはプリント専門の工場が22軒あり、6,000人が働いていたという。年間5万�qの布に手作業による複雑なプリントがされていた。しかし、1880年代には外国製品に圧され、グラーナー・ツォイクドルックは廃れてしまった。

万博だから着られる

 コスチュームのデザインを担当したのはレーラ・シェラーさんとクリストフ・ヘフティさん。二人ともバーゼル出身で、いまはベルギーのアントワープ市で活躍している。シェーラーさんは2001年、第九回WFC岐阜県国際学生ファッションコンテストで銅賞受賞したこともある。両親は彼女が生まれる直前まで日本に住んでいた。ヘフティさんは、鮮やかなプリントで世界でも有名になったスイスのファブリック・フロントラインのデザイナーを経て現在、ジャン・ポール・ゴルチエやファン・ノッテンの生地のデザインを手掛けている。

 シェーラーさんにとって制服を手掛けるのは初めて。スイスらしさは、アッペンツェル地方独特の牛や太陽のメタルのフィギアが付いたベルトに、エーデルワイスやアルプスの刺繍が施されたアップリケで出した。年齢に20歳以上の幅のあるスタッフ全員がチャーミングに見えるように、着る人の個性も尊重したかったというシェーラーさん。ユニフォームと感じさせないように、スカートやズボンは同じグレーでも数色用意。それぞれ似合った色を選べる。ベルトの着用の仕方などもデザイナーが一人一人にアドバイスした。

 スタッフのひとりの松本公子さん(46歳)は、ピンクのストッキングに抵抗を感じるという。「でも、段々慣れると思います。いましか着られないデザインですから」との感想。また、同じくスタッフの安藤淳子さん(25歳)は、このコスチュームが気に入っている。「特にベルトとブラウスが好きです。スカートは、違ったニュアンスのグレーを試してみたいです」と積極的。

 伝統の柄をモダンなカットで縫い上げる。制服なのに個性を引き出す試みのデザイン。対立する要素が醸し出すハーモニーに注目したい。

swissinfo  佐藤夕美(さとうゆうみ) 愛知万博会場にて


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