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WHO、渡航自粛勧告を広げる

中国全土の感染者は約2300人に上り、死者は100名を突破。 Keystone

世界保健機関(WHO、本部ジュネーブ)は新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染拡大を防止するため、中国の北京と山西省、カナダのトロントの3地域に新たに渡航延期を勧告した。

WHOはすでに今月2日に中国広東省と香港への渡航自粛勧告を出しており、これも継続する意向。

WHOのビデオ会見
 
 23日に行った会見によると渡航自粛勧告は感染の大きさ、国外への感染拡大のリスク、医療機関以外への地域感染リスクなどが考慮される。この勧告は少なくとも2回の潜伏期間、つまり20日間、新しいケースが出なくなるまで継続されることになる。

 会見でベトナムでは新たなケースがここ10日間報告されておらず、SARS感染が抑制できているのに、カナダでは何故ウイルスの抑制ができなかったのかという質問が出た。これに対し、WHOは「ベトナムでは感染者が病院に隔離されていたので感染を防げたが、カナダでは気付いた次期が遅かったため感染者が外で接触をしていた」と説明し、早期対応の重要性を強調した。

中国のケース

 中国では新たなケースが306人報告され、全土で2305人の感染者、死亡者110人に及んでいる(WHO、23日報告)。北京では感染者が482人、死者25人で21日以来、新たに34人も感染者が増えるなど深刻な事態となっている。山西省では感染者120人、死者7人と報告されている。

カナダの反発

 カナダはアジア外でもっともSARSの死者数(23日報告で中国、香港、シンガポールに次ぐ13人でトロントでの感染者数は136人)が出た国だが、勧告に及んだ理由についてWHOは先週トロントからの国外感染ケースがアメリカ、オーストラリアやフィリピンで5件出たことを理由に挙げている。しかし、24日のロイター通信によるとトロント市長はこの勧告に強く反発し、WHOに再考を求めている。

スイスのケース

 スイスでは新たに香港から帰国した4人の感染可能性のある患者ケースが出ており、これまでのスイス国内でのケースが23人に上っている(WHO発表では感染者数は1人)。なお、スイスの大手薬品会社ロッシュ(Roche)は採血からSARSウイルスの有無を確かめる(ポリメラ−ズの鎖の反作用による拡大)技術を開発中で、コロナウイルスのゲノム解読が成功しているため、検査テストはあと4週間から6週間で完成する予定という。



スイス国際放送、A.Y.

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