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脱原発を目指して エネルギー費用、脱原発でどこまで増加か

ヌーシャテル、コルノー(Cornaux)に建設が予定されているガスコンバインドサイクル発電所。5月21日に建設許可申請を提出済み。出力42万キロワット、年間20億~25億キロワットの電力と5万~10万キロワットの熱を生産する

(Keystone)

「原子力エネルギーを使わない未来への道のりは険しい。高山のハイキング、あるいはクライミングになるかもしれない」。スイス電力会社連盟(VSE/AES)のディレクター、ミシェル・フランク氏は6月12日、複数の調査結果をもとにして作成した脱原発シナリオ発表の場でこう述べた。

「脱原発に王道はない。どのシナリオにもメリットとデメリットがある」。どのシナリオが適しているかという推奨は行わず、政治家や国民がこれからたどるべき道を自ら選択できるように、その根拠となるものを提供することに的を絞った。

脱原発登山

 スイス電力会社連盟が提示したシナリオは三つある。一つ目は「高山のハイキング」と題され、「散歩程度の楽なものではないが、実現可能」なものだ。電力効率に関する規定を強化し、再生可能エネルギーを促進することが前提。それでも電力需要は増加するという設定だ。

 これらの条件下では、電力の4分の1は依然として輸入に頼らざるを得ず、脱原発の実現にはガスコンバインドサイクル発電設備が7基から8基、さらに熱供給火力発電所も必要になる。また、発電や電力網にかかる総費用は、2050年までに現在より1180億フラン(約9兆9000億円)余計にかかり、電気代に換算すると30%の値上げになると予測する。

節電が必須

 二つ目のシナリオは「アルプスの小道」に例えられている。「野心的で、明白な意思を必要とする」ものだ。節電への強固な意思を持ち、電力消費に高額の税金を課す必要性が認められている。

 ここでは、2050年までにエネルギーの7割を再生可能な形に持っていく。例えば、風力発電設備1000基、出力6億キロワット時級の水力発電設備8基、ベルンのサッカースタジアム「スタッド・ド・スイス(Stade de Suisse)」ベルンのスタジアムにある熱光起電力発電設備と同規模(面積1万2000平方メートル、ソーラーパネル7000枚、年間発電量120万キロワット時)の設備7000カ所が必要だ。

 それでもなお、4基から5基のガスコンバイドサイクル発電設備と熱供給火力発電所も欠かせない。投資総額は、現在比45%増の1350億フラン(約11兆円)に上る。

極めて高い要求

 最後のシナリオは最も急進的な変革で、「困難なクライミング」と比較されている。「要求は極めて高い。豪腕が必要とされ、明らかな意思と覚悟がなければ達成できない」。高額の課税により、電力消費量は7%減少すると推定する。

 このシナリオでは、再生可能エネルギーに多大な投資が行われる。風力発電設備1250基、上記と同レベルの水力発電設備が10基、熱光起電力発電設備は1万1500基に達する。

 投資総額は1500億フラン(約12兆円)だが、ガスコンバインドサイクル発電は必要なく、輸入電力も再生エネルギーを利用した電力のみで賄える。

考え方を根本から覆す

 スイス電力会社連盟会長のクルト・ローバッハ氏は、記者会見の場で次のように述べた。「脱原発を目指す未来への途上には、障害物となる石がごろごろしている。スイスは、自然保護、経済性、繁栄、自主性、気候保護の間で、ある程度の決定を下していかざるを得ない」

 そして「再生可能エネルギーの利用には誰もが賛成だ。それもしかし、その実現に自分たちが直接関わってくるまでのことだ」と、くぎを刺す。「風力、賛成。でも、うちから視界に入るところではやめて。水力、素晴らしい。でも、近所の憩いの場になっている小川にマイクロ水力発電を造るのは絶対にいや。バイオガス?すごいアイデアだけど、我が家の近くではだめ、などと」

 どのシナリオでも考え方を根本的に改める必要があるとローバッハ氏は言う。「要求が高くなればなるほど、考え方も徹底的に変えなければならなくなる。それを受け入れられないのなら、制度の改革を要求するべきではない」

各方面からの批判

 これらのシナリオに対し、スイス・エネルギー基金(Schweizerische Energie-Stiftung)は「高額の費用を提示し、脱原発に対し不必要な不安を煽いでいる」と批判。世界自然保護基金(WWF)スイス支部からも、非現実的な推測だという声が聞かれた。また「理性的なエネルギー政策のための活動(AVES)」は、これらのシナリオは現実的ではあるものの、さらに原発がある場合と無い場合の電力供給の比較を行うよう求めている。

swissinfo.ch、外電

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