スイスの視点を10言語で

英語表記はやめよう 官庁のロゴと表記の見直し

アナマリー・フーバー・ホッツ官房長官が連邦の官庁のロゴを紹介する Keystone

連邦の各官庁や関連機関が独自に作り出したロゴはあまりにも独創的でばらばらすぎるという反省から、来年からスイスの国旗と同じように赤地に白十字のワッペン型のロゴに統一される。

政府の関連機関の名称が英語化されてきたことも反省。この機会に見直される。ロゴの統一と改名にかかる費用はおよそ2,500万フラン(約23億円)という。

連邦政府はこのほど、各官庁が統一して使うロゴとして、スイスの国旗をワッペンの形にデザインしたものを発表した。ワッペンの横にスイスの言語であるドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語で「スイス連邦国」の表記がある。また、連邦機関の名称を見直し、英語化しているものは改名することも検討される。                                      

73あるロゴの統一

 連邦には7つの省があり、その下に73の局や課がある。それぞれ独自のロゴで象徴され、公文書にはそのロゴが必ず付いている。しかし、連邦に属する機関であるかわからないほど自由なデザインになっているのが現状だ。「政府のデザインは野生化している」という専門機関の調査結果を受け政府は、統一したロゴのデザインをこのほど発表。ワッペンの形に白十字がデザインされており、一目でスイスと分かるのが特徴。30年前までよく使われていたデザインに似ている。

独創的なロゴの氾濫

 フーバー・ホッツ官房長官によれば近年、各官庁は独自のロゴを作り出したため「独創的なロゴが氾濫するに至った。連邦政府に働く役人のアイデンティティーや対外的なイメージを傷つけるといった面もある」

 現行のロゴのほとんどは、スイスの国旗の白十字をデザインしたものだが、連邦政府の関連機関を象徴すべきロゴとしては首を傾げたくなるようなものも。たとえば連邦公文書館のロゴ。白十字がデザイン化されているのだが、白十字を連想するまでにはいささか無理がある。

 ロゴの統一化は今年10月から始まり、来年末までに終了する予定。2,500万フラン(約23億円)をかけても、ロゴを統一することで700万フラン(約6億3,000万円)の節約が見込まれるという。

英語化を止める

 連邦政府はさらに、官庁の名称についても見直す予定だ。各省は4つの言語で表記されているので問題はないが、連邦関連機関の名称には英語の影響を受けたものもあるとフーバー・ホッツ官房長官は指摘。


 たとえば「スイス・インポート・プロモーション・プログラム(Swiss Import Promotion Programm)」「スイス・ビジネス・ネットワーク(Business Network Switzerland)」など英語表記に最近改名する機関が続出している。こうした動きは近年、世界経済のグローバル化とともに多くの民間企業に見られた現象だ。政府関連機関の名称も民間企業にならって、英語化が進んだと見られる。

 しかし政府は、英語が国語ではないスイス連邦政府の関連機関の名称としては適切ではないという判断を下した。英語化し、スイスの中央官庁のとの関連が薄いと見られるような名称は今後は見直されることになる。

swissinfo 外電 佐藤夕美(さとうゆうみ)

政府が各官庁のイメージを統一する目的
1.公共サービスの向上と透明化
2.統一化による節約
3.公務員の連帯感を向上
4.各官庁の協力体制の簡素化                          

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部