インターネットでお買い物 スイスでも浸透の兆し
インターネットを利用した買い物がスイスでじわりと浸透しつつある。
最近では、通販サイトだけでなく、競売の仲介機能をネット上のシステムで行うネットオークションサイトも続々と登場してきた。
ネット先進国の米国に比べ、スイスではオンラインショッピングやネット競売の普及はいま一つだが、信用度の増大を背景に利用者が増えている。手軽さや時間を気にせずほしい商品を購入できることから、新たな購買手段として注目され始めたようだ。
時間をかけて
「スイス人はリスクを負うのが大嫌い。新しい市場をスイスで確立するには時間がかかる」と話すのは、ゴットリープ・ドゥトヴァイラー研究所(GDI、本部・チューリヒ)の流通アナリスト、キャサリン・クローデン氏。
同氏が実施したオンラインショッピングの動向調査では、スイス人の態度もここ最近、軟化し始めているという。「2年前の調査では、とても慎重だったのが、衣料や本など小さいモノからネットで買い始めたり、友人がやっているのを見たりして、警戒心が薄れつつある」と指摘する。
また、クローデン氏は「スイス人がネット上で求めているのは、信頼できるベンダー(販売代理店)と商品。安さではない」と分析する。
スイスでオンラインショッピングの先駆けとなったのは、衣料、食料、日用雑貨と幅広く扱う総合スーパー最大手ミグロが手掛けるサイト「ル・ショップ」だ。同サイトの9月の売上高は2,320万フラン(約20億円)と、前年同月比で46%も急増。小売業にとっても今や重要な流通市場となりつつある。
ネット競売
オンラインショッピングだけでなく、ネット競売への参加も増えている。
95年創業の米インターネット競売最大手イーベイは昨夏、スイスのサイトを立ち上げた。同社によると、新サイトへのアクセス件数は毎月1,700万を超えるという。
同サイトでは先月、創業者の名前がそのままブランド名になった限定生産車のエンツォ・フェラーリが競売にかけられた。スイス人の落札額は120万フラン(約1億円)にまで跳ね上がり、欧州では過去最高額を記録。
「ドイツやオーストリアでは、ブランド品をネット上でいかに安く買うかが中心となるが、個性のある商品を追い求めるのがスイスの特徴」とイーベイのヨアヒム・ギュンテールト広報室長は話す。同社は現在、ネット競売の機運を一層盛り上げるため、消費者に対してのワークショップを展開している。
スイス国際放送 エリザベス・メーン 安達聡子(あだちさとこ)意訳
民間の通信利用動向調査によると、スイスでのインターネット利用人口は約340万人と全人口の半数近くに及ぶ。
利用内容の内訳は、電子メール(82%)、検索エンジン(64%)、ニュース(42%)。
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