ノバルティス アイケア部門強化へ
スイスの大企業ノバルティス ( Novartis ) とネスレ ( Nestlé ) は、これまでの16カ月間で10億フラン ( 約1000億円 ) 単位の取り引きを3回行ってきた。この取引によって、ノバルティスはネスレのアイケア企業アルコン ( Alcon ) を一部買収する考えだ。
ノバルティスはまず、アルコン株全体の25%弱にあたる110億フラン ( 約1兆1000億円 ) を買い取る。この取り引きは2008年後半に終了する。
さらにノバルティスは、第2段階としてネスレの残りの持ち株から52%を買い取る予定だ。買い取り価格は280億フラン ( 約2兆8000億円 ) 、トランザクションの時期は2010年1月から2011年7月までで、その際ネスレはノバルティスに買収を強制することが可能だ。この取り引きが成立すれば、最終的にアルコン株の77%がノバルティスの手に渡る。しかし、ノバルティスはアルコンの完全買収を目指しているわけではない。
「チバビジョン」の強化
ノバルティスの最高経営責任者 ( CEO ) 兼会長であるダニエル・ヴァセラ氏は、この買収を「マージンの大きい成長市場における有望なトランザクション」だと歓迎する。そして、アルコンの将来の展望を非常に高く評価する。
「アイケア市場は、医療の需要が高まっていることからダイナミックな成長を遂げるだろう。その理由は主に世界人口の高齢化にある」
昨年の売上額が381億ドル ( 約3兆9000億円 ) に達するノバルティスは、「チバビジョン ( Ciba Vision ) 」というブランドですでにアイケア市場にコンタクトレンズや医薬品を送り出している。1978年にネスレが買収したアルコンは、2002年以降ニューヨーク株式市場に上場、世界中で1万4500人を雇用している。
ノバルティスは、最初の25%の株式買取を社内流動資産の予備金と短期の外部クレジットでカバーするつもりだ。他人資本は55億ドル ( 約5600億円 ) と見込まれている。
一方のネスレは、この売却収益で負債を減らしたいところ。同社は依然として、栄養や健康を中心とした分野で採算の取れる成長を実現するための方法を模索中だ。今回の取り引きは2008年の1株当たりの利益を上げる効果があるとみられている。
swissinfo、外電
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