国内の地下ケーブルカートンネル、安全性の見直しを
オーストリア・カプルンの地下ケーブルカートンネル火災から約1週間がたった。国内の専門家からは、スイスの安全基準の見直しを要請する声が出ている。(写真:オーストリア・カプルンの地下ケーブルカートンネル)
オーストリア・カプルンの地下ケーブルカートンネル火災から約1週間がたった。国内の専門家からは、スイスの安全基準の見直しを要請する声が出ている。(写真:オーストリア・カプルンの地下ケーブルカートンネル)
スイス安全保障研究所(ヌーシャテル)は16日、鉄道および道路トンネル内での火災事故の危険性は過小評価されているが、いくつかの簡単な事項の見直しで安全性を改善できると発表した。
トンネルの多い山国として、スイスは欧州のトンネルの安全性強化に向けた活動の主導的役割を果たすべきだと同研究所は訴える。トンネル火災での極限状態では、高度に訓練され装備も完璧な消防隊でも思うような救助活動ができないという。トンネル内の温度は1000℃にまで急上昇し、閉じ込められた人々は有毒ガスで数分以内に絶命する。
同研究所は欧州火災予防機関と共に、トンネル内の火災探知機増設、非常出口の増設、避難路の確保など安全保障対策を充実させるよう要請している。トンネル内のスプリンクラーも、火のコントロールと気温の上昇を抑える上で、効果が大きい。スプリンクラーによって、火を封じ込め有毒ガスの発生を抑制することができるため、トンネル内に閉じ込められた人々の生存率が増加し、また消防隊の救助活動も容易になると研究所はいう。
スイス安全保障研究所は、今こそ長年の専門家らの調査結果や意見を社会に広め、トンネル内の安全性改善のための行動を取るべきだと主張する。政府は現在鉄道トンネルの安全性の定期的見直しをしており、来月結果が公開される。また昨年のオーストリアとフランスのトンネル事故後設立された特別班が実施した道路トンネルの安全性の見直しでは、約1億スイスフランの設備改善費用が必要だと報告された。
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