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どう猛な犬、飼育禁止

アメリカンスタッフォードシャーテリアのような闘犬が、本当に家族のペットになり得るか?

ジュネーブ州は2月24日の州民投票により、スイスで初めてどう猛犬の飼育を禁止した。

12種のどう猛犬の飼育が禁止され、25キログラム以上の犬の散歩には特別許可証の携帯が必要になる。

 スイスでは、2005年11月にチューリヒ近郊で6歳の子供が闘犬ピットブルにかみ殺されて以来、どう猛犬の飼育に反対する気運が高まった。その結果まずフリブール州とヴァレー州がどう猛犬の飼育を禁止したが、州民が投票で禁止を決めたのはジュネーブ州が初めてであり、内容も最も厳しいものだという。

現行法よりさらに厳しく

 愛犬家が多いジュネーブ州では、250平方キロ以下の州内に3万2000匹の犬が飼われている。しかし犬にかまれる事故も多く、65%の州民が賛成して今回の、12種のどう猛犬の飼育禁止と25キログラム以上の犬の散歩への特別許可証保持が決まった。

 今回の決定はすでに存在する法律を補うもので、現行法は飼い主に犬のしつけ訓練への参加と、散歩を委託する人にも許可証を持つことを義務付けてきた。

 どう猛犬の飼い主には、許可証としつけの訓練を行った証明書保持、さらに許可証を持った飼育者からのみ犬を買うことを義務付けてきた。隠れて闘犬をブリーディング( 品種改良 )することは厳しく禁止されているからだ。

 こうした成果が実り、2007年6月以来ジュネーブ州のどう猛犬の数は900匹から660匹に減った。今回の決定は、この660匹を殺害するのではなく、今後新しく飼育することを禁止するもので、660匹の数が徐々に減っていくことを期待している。

連邦レベルでの動き

 今回の決定は、重量が重いだけでどう猛ではない犬などの飼い主に対して厳しすぎるという声も聞かれるが、
「スイスはフランス、イタリア、ドイツなどの国々に比べても、どう猛犬対策は厳しいほうではない」
 と、連邦獣医局の広報担当、カティ・マレ氏。現在は気運が高まり、もし連邦レベルでどう猛犬の飼育禁止を国民投票にかければ、可決される可能性は高いという。

 ピットブルが子どもを殺した2005年11月の事故1カ月後に、ドイツ語圏の大衆紙「ブリック( Blick ) 」が中心となって、どう猛犬の飼育禁止の署名運動をしたところ、17万5000人分の署名が集まった。翌年、連邦議会はどう猛犬の飼育に関する法の改正を政府に働きかけ、連邦議会に法改正委員会ができ、ようやく現在改正案が用意されつつある。

 こうした遅い連邦レベルの動きに対し、ジュネーブ州は今回独自に州民に決定を求めた形になったが、マレ氏によれば連邦レベルも答えを数カ月後に出す時期にきているという。

現在、連邦議会では、連邦レベルでどう猛な犬の飼育禁止法の作成を支持しているが、現行法では、犬の飼い主に関する法律は州レベルの管轄である。

2007年1月から実行されている動物保護法により、すべての犬は身分証明としての、チップか刺青を施されている。

スイスでは毎年、1万3000人の人が犬にかまれる事故で医療治療を受けている。

現在事故が起きた場合、もし自分のペットが正しく制御されていたと証明できれば、飼い主として責任を負わなくてもよい。しかし連邦議会で検討中の改正案では、飼い主の事故保険加入が義務付けられる予定である。

(英語からの翻訳・里信邦子)

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