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ジャンプの王、シモン・アマン再び金

金メダル4個のシモン・アマン選手。「ジャンプの王」として大きく飛躍 Keystone

2月20日に行われたノルディック・スキー、ラージヒルで、スイス代表のシモン・アマン選手が金メダルを獲得。スイスのメディアは「チャンピオンの余裕」と評価している。

アマン選手は2002年の冬季五輪でもノーマルヒルとラージヒルで金メダルを獲得。今回で四つの金メダルを保持する選手として、オリンピックの歴史にその功績を残すことになった。

冷静さで金

 ラージヒルでの成績は144メートルと138メートルと、ほかの選手を大きく引き離し、ノーマルヒルの金、銅メダル獲得者たちにはほとんど優勝のチャンスはなかった。特に1回目のジャンプでは、測定器がカバーする範囲を超えるほどの距離を出した。長すぎたため、着地でスキーが深く雪に食い込み危険な状態となり、審判の評価は低かった。2回目のジャンプでは、ポーランドのアダム・マリッシュ選手との差が3.5メートルと迫っていたが、アマン選手は冷静にジャンプを決めた。

 オーストリアチームが、アマン選手のスキーのビンディング ( 留め具 ) が規定以外であるとクレームを付けていたが、競技開催前に開催審査員が規定通りであると公表し、オーストリアとの「心理戦争」は決着を見た。スイスのマスコミはアマン選手の競技前の様子について
「木曜日 ( 18日 ) は練習を休み、スイスハウスに立ち寄った。何かを隠す様子もなく、逆にオーストリア側のクレームについても話した。一方オーストリア選手には、かん口令が敷かれていた」(ドイツ語圏の日曜紙「ゾンタークスツァイトゥング/ Sontags Zeitunng」)
 と報道している。またドイツ語圏の日曜紙「NZZ・アムゾンターク ( NZZ am Sonntag ) 」は、アマン選手は市内で寿司を食べ、ショッピングを楽しんだが、土曜日には準備に集中し「装備も精神面のコンディションも、すべてが順調。だれも彼を負かすことはできない」と報道した。

 スイスフランス語圏の大衆紙の日曜版「レ・マタン・ディマンシュ ( Le Matin Dimanche ) 」は、アマン選手が戦略面で有利だったことを指摘。ほかの選手は、距離を出すことに集中しなければならなかったが、アマン選手は距離か評価点か、選択ができた。そして「楽しむために、飛ぶことを選んだ」と書いた。

 一方、ドイツ語圏の大衆紙の「ブリック ( Blick ) 」は、ビンディングにクレームを付けたオーストリアを嘲笑 ( ちょうしょう ) し、「なぜ君たちはぴょんぴょんと飛び跳ねるだけで、われわれは飛べるのか」という題の記事で
「スイスには秘密兵器があった。その秘密兵器とはバーゼルの技術事務所がビンディングの棒を曲げるというアイディアだった。オーストリアは3人の技術者がいても、金メダルは取れなかった」
 と揶揄 ( やゆ ) した。

クロススキーでも金

 21日には、オリンピックに初めて導入されたスキー・フリースタイルの男子クロススキーで、ミヒャエル・シュミット選手が金メダルを獲得した。

また、アルペンの男子スーパー複合ではシルヴァン・ツブリッゲン選手が銅メダルを獲得した。ツブリッゲン選手と1位のボディ・ミラー選手 ( 米 ) との差は0.4秒だった。2位はクロアチアのイヴァツァ・コステリッチ選手、4位にスイスのカルロ・ヤンカ選手が入った。

 期待されていたボブだが、スイス代表はけが人を出したことも祟 ( たた ) り2人乗りボブは4位に終わった。

 スイスは競技中盤の21日現在、メダル7個を獲得している。

swissinfo.ch、外電

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