スイスでは自殺ほう助は合法だが、致死薬の処方については法律で規制されている
Keystone / Martin Ruetschi
健康な高齢女性に致死薬を処方し、自殺をほう助したとして医療製品法(連邦法)違反に問われた自殺ほう助団体の元副代表に対する差し戻し審で、地裁は違法性は認められなかったとして無罪判決を言い渡した。
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罪に問われたのはフランス語圏にある自殺ほう助団体エグジット・スイス・ロマンドの元副代表で元医師のピエール・ベック氏。同氏は、病気の夫と一緒に死にたいと言う女性(86)の求めに応じ、致死量の鎮静催眠薬ペントバルビタールを処方した。薬物は女性本人が服用した。
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ジュネーブ州の地裁は2019年、医薬品に関する連邦法違反で、ベック氏に120日の執行猶予付き禁錮刑を言い渡した。だがその2年後、最高裁にあたる連邦裁判所が地裁判決を却下し、事件を差し戻していた。
地裁は20日の判決で、ベック氏が女性にペントバルビタールを処方した際、犯罪行為はなかったと結論づけた。
仏語圏のスイス公共放送(RTS)が入手した判決文には、「健康状態が良く、判断能力があり、死を望んでいる人に医師がペントバルビタールを処方したという事実だけでは、医療製品法違反で罰せられる行為にはならない」と書かれていた。
検察側は判決から30日以内であれば控訴が可能。ただRTSによると、控訴するかは未定。
英語からの翻訳:宇田薫
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