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スイスのシュナイダー・アマン経済相、任期途中で辞任

ヨハン・シュナイダー・アマン経済相
ヨハン・シュナイダー・アマン氏(66歳、急進民主党)は経済相を8年間務めた © KEYSTONE / ANTHONY ANEX

スイスのヨハン・シュナイダー・アマン経済相(66歳、急進民主党、下院議員)は25日、高齢を理由に、今年末に任期途中で閣僚を辞任すると表明した。健康問題は否定した。

 経済相は25日、首都ベルンで「今朝、今年12月31日付けで閣僚を辞任すると国民議会(下院)議長に伝えた」と語った。

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≫任期満了で退任する意向を示していたシュナイダー・アマン氏

 シュナイダー・アマン氏は元実業家。ハンス・ルドルフ・メルツ氏の後任として2010年11月1日に閣僚入りした。今春、19年末の任期満了で退任する意向を示していた。政界やメディアではこの数週間、健康問題などからさらに退任が早まるとの憶測が飛び交っていた。

 経済相は記者団に「どう感じるかと聞かれれば、元気だと答える。ボケてはいない」と微笑んだ。

 同氏は就任時、政治活動のために家族経営の事業から身を引くことに抵抗があると語っていた。だが1期目を終えると「閣僚としての務めを果たすことに喜びを感じ、任期を更新せずにはいられなかった」。

「元気なおじいちゃん」に

だが66歳になって「活動を抑えるのが当然」で、「元気なおじいちゃん」になると記者団に語った。フランス語圏のスイス公共放送(RTS)のインタビューでは、孫たちと時間を過ごしたり、スキーやゴルフ、日曜大工に精を出したりするのが楽しみだとも話した。

 辞任表明の時期も適切だとの考えを示した。スイス経済は好調で、「力強くダイナミックで、ほぼ完全雇用で最も革新的な国の一つとして認識されている」ため心安らかに退任できると述べた。

賞賛と批判

 所属する急進民主党は、シュナイダー・アマン氏がスイス経済を守ったと賞賛した。最大の功績は、労働組合や農業団体を説得し、武器輸出法改正や中国との自由貿易協定(FTA)を実現したことだ。また金融危機やフラン高の荒波をかいくぐり、スイス経済の復活を成し遂げた。

 世界貿易機関(WTO)のロベルト・アゼベド事務総長はシュナイダー・アマン氏を「橋渡し人」と称し、多国間枠組みの構築やWTOの「効率化」「公平化」に尽力したと述べた。

 一方、「産業界のロビイスト代表がついに政界を去る。かなり古臭い自由貿易・二国間協定支持者で、経済を最優先にして人権や社会問題をなおざりにした」(社会民主党のカルロ・ソマルーガ氏)との批判も聞かれた。

 シュナイダー・アマン氏の後任候補には急進民主党のペトラ・ゲッシ党首、カリン・ケラー・ズッター上院議員(無所属、ザンクト・ガレン州)、ダニエラ・シュネーベルガー下院議員(急進民主党)など女性議員の名が挙がっている。
議会は12月5日、シュナイダー・アマン氏の後任を選出する。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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