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2005年の時計宝飾展

世界のバイヤーが集まる時計宝飾展が、バーゼルとジュネーブでほぼ同時に開催される。 Keystone

時計メーカーが新作を発表する格好の場所である時計宝飾展「バーゼルワールド(Baselworld)」がバーゼルで3月31日から4月7日まで、「国際高級時計サロン(SIHH)」がジュネーブで4月4日から10日まで開催されている。                                  

2年前はSARSやイラク戦争勃発など、出店舗数も入場者数も落ち込んだが、昨年から人気が回復し、スイスで開催される二つのメッセは、本年も各国から注目されている。

2年前は、不景気に追い討ちをかけるようにイラク戦争が勃発し、重症急性呼吸器症候群(SARS=サーズ)の蔓延などでメッセのためにスイスへの旅行を控えるバイヤーや、出展を見合わせた外国の時計メーカーなどがあった。しかし昨年に続きこのメッセは、今年も活気を取り戻したという。
また、スイスの時計産業は、スイス時計業界(FH)のダニエル・パーシェ会長によると今年も堅調に推移し、業界を取り巻く環境はほぼ良好だと見ている。ただ、コピー製品の取締りなどの問題は今後解決しなければならない課題だ。                              

スイス時計産業の存在

 今年のバーゼルワールドでは2,000の出展社のうち、スイスからはその5分の1にあたる412社が参加した。このほか香港、ドイツ、フランスなどからの参加が目立った。

 04年におけるスイス時計の総輸出額は111億フラン( 約9,990億円)に上る。今年2月は前年より5.4%増加しており、今年も好業績が見込まれる。スイスの時計産業は高級時計が中心でだが、前出のパーシェ氏は今後のスイス時計業界について、「高級時計に限らず、時計産業全般においてスイスの時計産業が活発になることを望む」と言う。

オンラインショッピング時代におけるメッセの意味

 バーゼルワールドはスイスの時計業界にとって重要な商いのチャンス。その年のトレンド指標となる。一部の企業にとってはバーゼルワールドでの商いが年商の半分を占めるという。

 わざわざ街に出なくても、家にいてインターネット上で何でも買える時代にあってもこうしたメッセは「20年前と同じように人を集める魅力がある」とパーシェ氏は語る。「時計のような人間の感情と深くつながっている商品を買うときには、消費者は直に実物を見たいと思うもの」しかも「バーゼルワールドへ多くのスイスの時計メーカーが参加するのは、スイス時計をアピールできることから業界全体にとって有意義」であるとメッセの重要性を語った。

 バーセルワールドとほぼ同時に、ジュネーブで国際高級時計サロン(SIHH)が10日まで開催されている。最高級時計を製造するリッチモント・コンツェルンがスイス時計業界と対立し、バーゼルの時計宝飾展への参加を止め、15年前に独自のメッセをジュネーブで開催したのが始まりだ。しかし現在は、「ジュネーブ展との関係は良好。お互いを補っているのであり、ライバルでは決してない」とバーゼルワールドの主催者代表のシルヴィー・リッター氏は、時間とともに双方は和解していると強調した。

swissinfo ピエール・フランソワ・ベッソン  佐藤夕美(さとうゆうみ)意訳

バーゼル・ワールド3月31日から4月7日まで
バーゼルの時計宝飾展として33年目
展示者数 2197 スイスからは412社が参加
国際高級時計サロン(SIHH)4月4日から10日まで
参加者数 16
入場者に制限がある。

2005年バーゼル・ワールド
45カ国から参加
展示場の全面積11万�uのうち53%が時計メーカー
22%が宝飾メーカーとパーツの製造会社が占める。
一般入場者も受け入れるが、ほとんどがバイヤーや専門ジャーナリストで占められる。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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