飛行機酔いには欠かせない「旅のとも」

上品なデザインのアリタリア航空とエール・アフリックのエチケット袋 Eliane Häfliger

飛行機のポケットに入っているエチケット袋は、お世辞にも歓迎すべき「旅のとも」とは呼べない。そんな鼻つまみ者を世界中の飛行機から集め、コレクションとして本にまとめたスイス人がいる。エチケット袋の国際的な市場をリードするメーカー、エラック(本社・ベルン州)の製品も多く紹介されている。

このコンテンツは 2020/06/24 08:30
Eliane Häfliger & Sara Aurelia Eggel(写真)、 Ester Unterfinger (本文・写真編集)

スイス人グラフィックデザイナーのエリアン・ヘフリンガー氏はある研究の過程で、エチケット袋を収集するスイス人旅行・写真家のフレディ・テューリク氏に出会った。テューリクさんのコレクションは約2千種類。数年間アイデアを温めた後、テューリクさんらのコレクションを先ごろ「Für Reisekranke(仮訳:乗り物酔いする人のために)」という本にまとめた(共著:サラ・アウレリア・エッゲル)。

アメリカン航空からエアネパールに至るまで世界中のサンプルが集められ、カラー印刷された数々のエチケット袋が45年に渡るグラフィックデザインと飛行の歴史を物語る。 

中には機能的で用途に適したデザインもあれば、乗客が退屈しないよう戦略ゲームをプリントしたものもある。1980年代は複数の用途に使えるタイプが人気で、未使用の袋は休暇中に撮影したフィルムの送付に使用できた。「もう大丈夫!」または「辛辣なご意見ありがとうございます」といったコメントで乗客を勇気づける格安航空会社のサンプルもあった。 

入れたものは、出さなきゃいけないときもある 

本の編集にあたり、それぞれのエチケット袋に、その時の機内食も照らし合わせた。短距離のフライトは「バタークッキーとオレンジジュース」でも足りるが、ビジネスクラスで過ごす長距離の空の旅では「厳選された4皿コースとお料理に合うワイン」が提供されることもある。機内食も併せて記載したことで、胃の中に入る物と出される物がリアルに思い浮かぶ。

ところでスイス企業エラック(Elag)製のエチケット袋は、100社以上の航空会社がそれぞれ独自のデザインで使用し、この本にも多く登場する。1956年、エチケット袋の需要に目を付けエラック社を設立したロバート・エルザッサーの決断は正しかったようだ。同社は新しい紙や折り畳み方、そしてシーリング技術に投資し、漏れない紙袋を完成させた。 

紙袋は、従来のブリキ缶や段ボール箱と比べて省スペースではるかに軽量、そして製造に必要なエネルギーもゴミも少ないため、優秀な代替品となった。 

そして1974年、エラックは125 x 80 x 237ミリのサイズでこの「ゲロ袋」を国際的に展開。飛行機に備えるエチケット袋の世界標準規格となり、今日まで「飛行機酔い袋」の市場に影響を与え続けている。年間販売数は750億枚。

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