日本人建築家の細谷浩美氏が共同代表を務める建築事務所のチームが、スイス東部グラウビュンデン州にあるエンガディン空港外部リンクの改装計画のコンペで優勝した。今後具体的な建設計画に落とし込んだあと連邦運輸省民間航空局の承認を得て、2021年にも着工する。
このコンテンツが公開されたのは、
エンガディン空港はグラウビュンデン州サメダンにあり、海抜1707メートルと、欧州で最も標高の高い空港。定期便は就航していないが、高級リゾート地サンモリッツから5キロの地点にあり、プライベートジェットや航空救助隊レガ外部リンクのヘリコプターの拠点となっている。エアロスイス外部リンクによると、2017年の航空機発着回数は1万6108回 。
効率化や安全の法規制に合わせるために改装が必要になっていた。空港のあるオーバーエンガディン地方の住民は17年3月の住民投票で、改装プロジェクト第1弾に850万フラン(約9億6千万円)を拠出する案を可決。11人から成る選考委員会がプロジェクトを公募・審査していた。今年4月に受賞者が決まり、8月に授賞式が開かれた。
優勝したのはホソヤ・シェーファー・アーキテクツ外部リンク(チューリヒ)とBlarer&Reber Architeckten外部リンク(サメダン)の合同チーム。選考委員会は「とても緻密でアイデンティティーに貢献する構造」と評した。「シンプルで厳格なデザインは経済的に実現しやすい」点も評価された。
改装の第1弾ではターミナルや管制塔、事務所、レストランやセキュリティーチェックの建物を改装。その南西部にレガなどのヘリコプター格納庫を置く。
細谷氏はスイスインフォの取材に「エンガディン空港は地元の人や飛行機好きな人が集まってくつろぐ場になっている。そうした場を大切にしながら新しい機能を加えた」と思い入れを語った。
総工費は2200万フランで、今回決まった第1弾は1300万フランかかる。その他地下工事に540万フラン、基礎工事に140万フランなど。工費のうち950万フランは空港のインフラ運営企業が借用。400万フランが連邦とグラウビュンデン州が出資する。
ホソヤ・シェーファー・アーキテクツは細谷氏とスイス人建築家のマーカス・シェーファー氏が2003年に共同で設立した。チューリヒに本社、京都に事務所を置く。
おすすめの記事
苦境のスイス時計業界 政策支援を要請
このコンテンツが公開されたのは、
スイス時計産業は難局を迎えた。スイス製時計への需要が緩み、フラン高が収益を圧迫する。業界は警鐘を鳴らしている。
もっと読む 苦境のスイス時計業界 政策支援を要請
おすすめの記事
重度障がい3歳女児を殺害した両親に禁錮8年判決 スイス
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北部アールガウ州で、重度の障がいを持つ娘(3)を殺害したとして、地方裁判所は13日、両親を故意の殺人罪・殺人未遂罪でそれぞれ禁錮8年の実刑判決を言い渡した。
もっと読む 重度障がい3歳女児を殺害した両親に禁錮8年判決 スイス
おすすめの記事
キリスト絵画を的に射撃したスイス議員、辞職
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの自由緑の党(GPL/PVL)チューリヒ支部に所属するサニヤ・アメティ氏(32)は9日、党の役職を辞すると発表した。自身のインスタグラムでキリストと聖母マリアを描いた絵画を的に射撃の練習をする写真を投稿し、大きな批判を浴びていた。
もっと読む キリスト絵画を的に射撃したスイス議員、辞職
おすすめの記事
スイス検察、国民投票の不正疑惑を捜査
このコンテンツが公開されたのは、
スイス検察当局は、国民投票の提起に必要な署名が偽造されたとの疑惑を捜査している。収集代行業者が過去の署名を使い回したり、金銭を見返りに署名を集めた可能性がある。
もっと読む スイス検察、国民投票の不正疑惑を捜査
おすすめの記事
1000人超でアルプホルン演奏 スイスで世界記録を更新
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのニトヴァルデン準州クレヴェンアルプで31日、1000人以上のアルプホルン奏者が集まり、「アルプホルンを合奏する人数」の世界記録を更新した。
もっと読む 1000人超でアルプホルン演奏 スイスで世界記録を更新
おすすめの記事
社会民主党、収入約16億円で全政党トップ 政治資金報告書
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦監査院(SFAO)が30日、2023年の政治資金報告書を発表した。
もっと読む 社会民主党、収入約16億円で全政党トップ 政治資金報告書
おすすめの記事
スイス政府、原発の新設解禁に前向き
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は28日、「すべての人にいつでも電気を:ブラックアウト(全域停電)を止めよ」と題するイニシアチブ(国民発議)に反対を表明した。ただ、新たな原子力発電所建設の解禁には原則として支持する考えを示した。
もっと読む スイス政府、原発の新設解禁に前向き
おすすめの記事
マッターホルンの麓町ツェルマット、日帰り客に入場料を検討
このコンテンツが公開されたのは、
スイスを代表する名峰マッターホルンの麓町ツェルマットは、日帰り観光客の多さに悩んでいる。 現在、入場料の徴収を検討中だ。
もっと読む マッターホルンの麓町ツェルマット、日帰り客に入場料を検討
おすすめの記事
パリ協定遠く…スイス全州で気候変動対策不十分 WWF調査
このコンテンツが公開されたのは、
世界自然保護基金(WWF)スイスは27日、スイスの全ての州でパリ協定の目標達成に向けた十分な取り組みが行われていないとの分析結果を発表した。
もっと読む パリ協定遠く…スイス全州で気候変動対策不十分 WWF調査
おすすめの記事
スーダン停戦交渉、和平合意なく終了
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ジュネーブ地方で10日にわたって行われたスーダン内戦の停戦協議が23日、停戦合意に達することなく終了した。
もっと読む スーダン停戦交渉、和平合意なく終了
続きを読む
おすすめの記事
人気インスタグラマー「建築の正面写真」撮影の裏側
このコンテンツが公開されたのは、
写真家のフィリップ・ヘーアさんを63万人のフォロワーを持つ人気インスタグラマーへと押し上げたのは、美しいスイスの建築写真だ。インスタグラムのユーザーネーム@lerichtiで有名になったへーアさんに、インスタグラムの写真について話をきいた。
もっと読む 人気インスタグラマー「建築の正面写真」撮影の裏側
おすすめの記事
エンガディン地方の美しい壁 – スグラフィット技法
このコンテンツが公開されたのは、
スイスを旅すると、地方ごとに家のスタイルが違うことに気がつく。それぞれにとても美しくて興味深い。今日は、私の住むグラウビュンデン州、主にエンガディン地方によく見られるスグラフィット(Sgraffito)文様を施した家について書こうと思う。
もっと読む エンガディン地方の美しい壁 – スグラフィット技法
おすすめの記事
日本の藤本建築事務所、ザンクト・ガレン大の新校舎を建築へ
このコンテンツが公開されたのは、
日本の建築事務所、藤本壮介建築設計事務所(東京都・新宿)がスイスのザンクト・ガレン大学(HSG)に建築予定の新校舎を手がけることが決まった。
もっと読む 日本の藤本建築事務所、ザンクト・ガレン大の新校舎を建築へ
おすすめの記事
スイスの中のもうひとつのスイス – グラウビュンデン州
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは九州程度の小さな国土なのに四つもの言語が使われていることはよく知られているが、私の住むグラウビュンデン(Graubünden / Grigioni / Grischun)州ではそのうちの三つが使われている。ドイ…
もっと読む スイスの中のもうひとつのスイス – グラウビュンデン州
おすすめの記事
日本人建築家が語る スイスで長時間労働ができない本当の理由
このコンテンツが公開されたのは、
日本の「働き方」は、スイスで働く日本人の目にどのように映るのか。日本で社会経験を積んだあと、海を越えスイスで働く日本人が、スイスの長時間労働における日本との決定的な違いを語った。
もっと読む 日本人建築家が語る スイスで長時間労働ができない本当の理由
おすすめの記事
スイス「ハウスツアー」が建築ベネチア・ビエンナーレで最高賞
このコンテンツが公開されたのは、
ベネチアで始まった第16回ビエンナーレ国際建築展で、スイス館「ハウスツアー」が最高賞の「ゴールデン・ライオン」を受賞した。スイスが優勝するのは初めて。今年のテーマ「フリースペース」に沿って、空っぽのアパートがどのように見えるかを表現した。
もっと読む スイス「ハウスツアー」が建築ベネチア・ビエンナーレで最高賞
おすすめの記事
ヘルツォーク&ド・ムーロン、スイス最高層の居住ビル建設へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの建築事務所ヘルツォーク&ド・ムーロンがバーゼルに高層ビル3棟を建築する。居住用のビルとしては国内最高となる。 同社は小売大手ミグロ、クリストフ・メリアン財団とバーゼル市が公募したコンペで、5社の競合を破って選ばれ…
もっと読む ヘルツォーク&ド・ムーロン、スイス最高層の居住ビル建設へ
おすすめの記事
日本人建築家が設計、オメガの新しい製造拠点が登場
このコンテンツが公開されたのは、
高級時計メーカー、オメガの新しい製造拠点がスイス西部にあるベルン州ビール(ビエンヌ)市にお目見えした。この近未来的な建物を設計したのは日本人建築家の坂茂(ばん・しげる)さんだ。
もっと読む 日本人建築家が設計、オメガの新しい製造拠点が登場
おすすめの記事
建築
このコンテンツが公開されたのは、
著名な建築家を輩出しただけでなく、有名な外国人建築家もこの国に呼び込んだ。 しかし、国の規模が小さく、大型プロジェクトがないため、国外に飛び出していくスイス人建築家も少なくない。 歴史に残る建築家 20世…
もっと読む 建築
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。