Navigation

スイスの電力会社がドイツの石炭に熱いまなざし

リュンネンの火力発電所。資本の3分の1はAETが出資している Jan Potente

スイスの複数の電力会社は現在、ドイツの石炭による火力発電会社に出資する意向だ。これに対し、環境保護団体は、二酸化炭素の排出量が多いことを理由に、非難している。

このコンテンツは 2010/04/01 15:25

ティチーノ州の「アチエンダ・エレットリカ・ティチーネーゼ ( AET ) 」は、ドイツの石炭による火力発電所に出資することが州議会によってやっと承認され、環境保護団体の反対運動は徒労に終わった。

次々と火力発電所に投資

環境団体の反対意見も反映され、発電所2基に対し当初予定されていた5600万ユーロ ( 約70億円 ) の投資額は、ルール地帯のリュネン ( Lünen ) にある1基で2400万ユーロ ( 約30億円 )に縮小という形での認可となった。ユールディンゲン( Uerdingen ) の発電所への出資は許されなかった。2012年になると、ティチーノ州の住民は、ドイツからの火力発電で作られた電気を使うことになる。リュネンの発電所の総発電量は750メガワットで、AETはその約16%に当たる110メガワットを買い取ることになる予定だ。

AETはこの決定について、電力のベース負荷量は長期的に確保しなければならないためだという。現在はフランスの発電所から供給されているが、この契約は近々切れる上、延長は難しいという。

同じような理由で、ほかのスイスの発電所もドイツの火力発電所と契約を結んだ。例えば、ゾロトゥルン電力 ( Energie Solothurn ) もリュネンに出資している。また、スイスの電力会社で、北ドイツのブルンスビュッテル ( Brunsbüttel ) の火力発電所に投資している会社もある。2013年に創業予定のこの発電所は2基で年間1800メガワットの生産能力があるが、反対意見が多く、稼働までには多くのハードルを越える必要がある。ブルンスビュッテルにはこのほか、フリブール/フライブルク州、ヌーシャテル州が主要株主「グループE」として出資しているほか、レティア電力 ( Rätia Energie ) 、ロマンド電力 ( Romande Energie ) 、東スイスSN電力も出資している。

多角化

ベルン電力 ( BKW ) も2007年からドイツ、北海に面したヴィルヘルムスハーフェン ( Wilhelmshaven ) の火力発電所に33%の資本参加し、毎年240メガワット ( MW ) を受電している。ちなみに、ベルン電力の年間の総需用電力は700メガワットだ。

「石炭による発電を選択することで、送電元の発電所とその地域の選択肢が増える」
とベルン電力の広報担当者、アントニオ・ソンマヴィラ氏は語った。最新の火力発電は以前と比較して、環境への影響が大幅に軽減されている上、効率も上がっているという。スイス国内に新規の原子力発電所の建設計画はあるものの、近い将来の建設は望めず、ガスによる発電も創業まで時間がかかる見込みのため、供給先を多角化する必要性は高い。

石炭は環境を破壊する

スイスの電力会社が石炭による火力発電所に投資することに対し、環境保護団体は反対する。グリーンピース、WWFのほか、緑の党 ( Die Grünen/Le Verts ) も二酸化炭素 ( CO2 )の排出量が多いことを挙げ、反対している。
「CO2排出量が高いことが最も大きな問題だ。規制が厳しいドイツでもそれは同じだ」
スイス・エネルギー基金 ( SES ) の環境と化石燃料計画のベルンハルト・ピラー課長は言う。また、石炭の供給が長期的に確保できるのかという疑問も残るという。

ベルン電力はバーゼル・ラント州で石炭による火力発電を行っている。ベルン電力はこのことについても北ドイツのブルンスビュッテルへの2000万フラン ( 約17億円 ) 投資についても、コメントを避けた。
「ベルン電力は、水力発電に頼っていたベース負荷量を火力発電で供給できる」
と2月に発表しただけだ。顧客に発電されるエネルギーはほぼ100%環境に負担のないものだと主張する一方で、将来の電力不足を全面的に解決する策はないと警鐘を鳴らしている。

ゲハルト・ロブ、swissinfo.ch
( 独語からの翻訳、佐藤夕美 )

電力消費

国際連合の「水の年」( 2008年10月1日から2009年9月30日まで ) の期間中、スイスの電力消費量は577億Kwhで、前年より2%減少した。減少量はヨーロッパ諸国の平均並で、第2次世界大戦以降増加していた消費量が2009年に初めて減少したが、専門家は今後再び上昇するとみている。

End of insertion

スイス電力ミックス

スイスの発電の55%は水力発電、40%は原子力発電に頼っている。その他2%はバイオマス、風力、太陽など再生可能エネルギーが占める。冬季にはフランスの原発から電気を輸入している。スイスには5基の原発がある。
今後需要をカバーするためには、新たな原発やガス混合発電所などが必要になると言われている。

End of insertion

このストーリーで紹介した記事

この記事は、旧サイトから新サイトに自動的に転送されました。表示にエラーが生じた場合は、community-feedback@swissinfo.chに連絡してください。何卒ご理解とご協力のほどよろしくお願いします

共有する

この記事にコメントする

SWIアカウントをお持ちの方は、当社のウェブサイトにコメントを投稿することができます。

ログインするか、ここで登録してください。