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スイス時計業界 これはまだ危機の始まり?

過剰生産と受注の後退により、スイス時計産業は危機に立つとポン氏は見る Keystone

時計の輸出が月を追って減少している。時計産業を見守ってきたジャーナリストのグレゴリー・ポン氏は、スイス時計産業の衰退はまだ終わりを見ていないと言う。

このコンテンツは 2009/07/04 15:25

ポン氏は、毎月2回世界中に配布される業界のニュースレターの編集長だ。このニュースレターは、広告収入を頼りにしない、また業界とは独立した中立的な立場から編集されている。

swissinfo.ch : 5月にはマイナス27.6%、この5カ月間でマイナス25%と時計の輸出は引き続き減少しています。いつまでこの状態が続きますか?

ポン : 昨年10月以来からの下降カーブを見ると、劇的です。現在の輸出額は2006年のレベルまで下がりました。これまで2006年で底を打ったとみられていましたが、今後、 その底を突き破ってしまう可能性もあります。現在、底が見えない状態です。今の状態は危機の始まりであるとみるアナリストもいます。

swissinfo.ch : 現状から脱出するには、どうしたらよいのでしょう。逆に、これ以上悪化させる要因はなんでしょうか?

ポン : 金融危機が続くことは悪い影響を与えます。ドルが抱える問題が解決していません。よって、アメリカの市場の回復は早急には望めません。ドルの危機にわたしたちが影響され続けるという危険があります。さらに、時計の在庫は、時計が買われなくなったため、今でも多くあります。在庫を早く減らす必要があります。

一方、新しいブランドがどんどん出てきていることは喜ばしいことです。2009年には40の新ブランドが発表されました。創造力のダイナミックさはいまでも衰えていません。

自殺とも思われるような無謀さも、わたしに言わせれば勇気ある無謀さです。伝統的な時計を在庫として多く抱える個々の販売店は、むしろ斬新な商品を求めるからです。

swissinfo.ch : 外部要因だけでスイスの時計業界は苦しんでいるのでしょうか。内部要因もありますか?

ポン : 現在のところ、世界的な金融危機の余波を感じています。簡単にお金が手に入ったから、投資として時計も買われていた。スイスの時計業界は、実質的な需要なのか、投機的な需要なのかという違いを見抜けなかったのです。つまり、投機的なものに対する対応ができていなかったのです。スイスの時計業界は、景気の激変を予想できなかったという責任があります。自らの無能さを、今になって支払っているということです。

危機は、注文のキャンセルによる供給超過にあります。製造部門はまだ大きなダメージは受けていませんが、納入業者は完全に痛手を負っています。解雇は何千人という単位で起こっています。納入業者は不注意と無思慮の代償を支払っているのです。

swissinfo.ch : スイス時計協会 ( FH ) は、すべての部門で危機の影響を受けたが、市場シェアーは維持すると見ています。あなたもそう思いますか?

ポン : スイスの時計業界の売上はそもそも大きくありません。ただし、5カ月間でスイス時計が200万個の売上というのは心配です。大きく縮小してほしくないですね。高級時計が中心で、全体の38%が金時計というのも心配です。

スイス独特の部分では、業界も負けてはいません。安価な時計の市場でスイスは、全くその姿を消しました。金時計市場ではその再征服が始まるでしょう。

swissinfo.ch : 会社の大きさがこういった局面では意味を持ちますか?

ポン : これといったルールはありません。世界的に見てこの業界は非常に苦しんでいます。全体的に前年比3割から4割という大きな減収になるでしょう。

フランク・ミューラー ( Frank Muller )はすでに大型解雇をし、リシュモン ( Richemont ) でも計画されています。

swissinfo.ch : 安価な時計市場もカバーすべきでしょうか?

ポン : 意見が2つに分かれる問題です。グレーマーケットでは正価の3割から4割安で取引されていますが、それが本物の市場値なのです。現在、来年の宝飾メッセ「バーゼルワールド ( Baselworld )」 に向けて業界は、あまり細部にこだわらない3割から4割安い時計を開発中です。

おおざっぱに言えば、過去2,3年間の価格の飛躍がこれで修正され、魅力ある価格の設定がされるのです。

ピエール・フランソワ・ベッソン 、swissinfo.ch
( 佐藤夕美 訳 )

時計の輸出

2009年5月は前年同期比で27.6%減少し11億フラン ( 約970億円 ) だった。
2009年5カ月間でみると、50億2700万フラン ( 約4425億円 )で、前年同期比で25%減少した。
3000フラン ( 約26万円 ) 以上の腕時計は、3割以上の減少となっている。200フラン ( 約1万800円 ) 以下および500フラン ( 約4万4000円 )から3000フランの時計は、2割の減少。200フランから500フランの時計は1割減だった。
国別でみると、対アメリカが1億2400万フラン ( 約110億円 ) でマイナス42.7%、対日本が6800万フラン ( 約60億円 ) でマイナス30.3%、対香港は1億7700万フラン ( 約156億円 )マイナス26.2%だった。

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スイスの時計産業

17世紀半ば、ジュネーブに工業として発展する。それ以降、ジュラ地方で発展した。
1970年クオーツ時計の出現により危機に陥るが1980年代に復興。
現在、スイスの輸出産業のうち、機械、科学に次ぐ第3番目の産業となった。

産業関連者数は1970年代は約9万人いたが、80年代には3万人に減少。現在は約5万3000人。

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