金色の包装に赤い首輪をまとったリンツのイースターバニー
Keystone / Angelika Warmuth
ドイツの裁判所は、スイスのチョコレートメーカー、リンツ&シュプリュングリが人気商品のイースターチョコレート「ゴールドバニー」に使用している包み紙の色は商標で保護されているとの結論を下した。
このコンテンツが公開されたのは、
ドイツ連邦裁判所(最高裁)は先月29日、リンツとドイツの会社ハイレマンとの訴訟に決着をつけた。ハイレマンは2018年に金色のホイルで包んだうさぎ型のチョコレートを販売。リンツはホイルの色の使用は商標で保護されていると訴え、商標権侵害だとしてハイレマンに販売の差し止めを求めた。
ミュンヘンの地方裁判所は昨年、リンツの訴えを棄却。だが連邦裁は、リンツの調査で回答者の7割が製品と包装の色を結び付けて認識していたという結果を根拠に、世間の認知により商標が確立しているとの判決を下した。
連邦裁は、リンツが全製品または製品の大部分に金色を使用しているわけではないことや、うさぎが赤い首輪など他にも際立った特徴を有することは、商標権の確立を妨げないとした。
侵害の有無めぐり続く裁判
ただ最高裁は、商標権があることは認めたが、ハイレマンがそれを侵害したかどうかには判断を下さず、地方裁に差し戻した。他の企業による商標権侵害は、商品が似ているために購入者が混乱する可能性があるかどうかが判断のカギになる。連邦裁は、形状やその他の特徴によって決まると示した。
リンツは1952年からドイツでイースターチョコを販売しており、94年から現在の金色の包装を使っている。判決によると、2017年の市場シェアは40%を超え、ドイツで最も売れているチョコレートのイースターバニーだ。
リンツは過去数十年にわたり、金色のイースターバニーの市場でのステータスを保護しようと努めてきた。オーストリアなどの一部のヨーロッパ諸国では商標権が認められたが、欧州連合(EU) レベルでの申請は2012年に却下された。13年には2000年創業のドイツのコンフィセリー・リーゲルンに対する差し止め訴訟を起こしたが、敗訴した。
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
続きを読む
おすすめの記事
スイスの春 イースター、ゴールドバニーは人気者!
このコンテンツが公開されたのは、
春の訪れと共に、今年もイースター(Easter)の季節が近づいてきた。イースターはドイツ語でオーステルン(Ostern)と呼ばれる「復活祭」で、クリスマスと共にキリスト教のメイン行事だ。基本的に、春分の日の後の最初の満…
もっと読む スイスの春 イースター、ゴールドバニーは人気者!
おすすめの記事
型から生まれるウサギたち
このコンテンツが公開されたのは、
スイス人写真家のクリスティアン・ボイトラー外部リンク氏は、チューリヒ近郊のキュスナハトにある菓子店「ホノルド」の工場を訪ねた。家族経営で今は4代目。創業者のひ孫が店を率いている。イースターのウサギ作りはほぼ手作業だ。 そ…
もっと読む 型から生まれるウサギたち
おすすめの記事
スイスに「チョコレート革命」を起こしたパイオニアたち
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは世界でも有数のチョコレート生産国だ。カカオも育たない国がどうやってその地位を築いたのか。スイスチョコレート発展の歴史は、数々の技術革新や移民の活躍、そして偶然や人の縁の上に成り立っている。
もっと読む スイスに「チョコレート革命」を起こしたパイオニアたち
おすすめの記事
大手多国籍企業が集中するスイス 高まる企業責任論
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは、大手多国籍企業の数の密度が世界で最も高い国の1つだ。多国籍企業の中には、原料取引や化学など、29日の国民投票に掛けられる「責任ある企業イニシアチブ(国民発議)」によってリスクが高まる分野の巨大企業もある。
もっと読む 大手多国籍企業が集中するスイス 高まる企業責任論
おすすめの記事
イースターには金のうさぎが一番
このコンテンツが公開されたのは、
スイスインフォのフォトジャーナリスト、クリストフ・バルジガーによるベルン市内に現れたうさぎの写真アルバム「イースターのうさぎ」も同時にご覧下さい。 「金のうさぎ、さまさまだ。わが社の将来を約束してくれるから」とリンツ&シ…
もっと読む イースターには金のうさぎが一番
おすすめの記事
チョコ大国が日本市場に挑む
このコンテンツが公開されたのは、
ダーク・チョコレートに含まれるポリフェノールの効用が注目されたこともブームの背景にある。血行を良くするほか、アンチ・エイジング効果さえもあるとドイツの一般向け医学雑誌にも取り上げられた。 昨年末スイスでは、トウガラシを…
もっと読む チョコ大国が日本市場に挑む
おすすめの記事
スイスのチョコレートメーカー、持続可能な生産支援の姿勢と現実にギャップ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは、チョコレート製造で世界最大手のメーカーなどを抱える国だ。こうしたメーカーは、カカオ豆が生産される地域での児童労働の禁止や、生産農家の生活や農地の持続性を保証する「持続可能な生産」にも、積極的な参加の姿勢を見せる。しかし、こうした姿勢と現実にはかなりのギャップがある。
ジュネーブの隣町、カルージュで小さなチョコレート店を経営するフィリップ・パスキエさん。高品質とオリジナルな味で評判が高いこの店のチョコレートだが、パスキエさんはこのところ、カカオの生産地はどこか?といった質問を客から受けることが多くなったと言う。
もっと読む スイスのチョコレートメーカー、持続可能な生産支援の姿勢と現実にギャップ
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。