法人税率15%には「最低でも1年かかる」 スイス大統領
経済協力開発機構(OECD)が定めた法人税の15%の最低税率について、スイスのギー・パルムラン連邦大統領は国内での承認作業に少なくとも1年かかるとの見方を示した。
このコンテンツは 2021/10/15 12:19OECDに加盟する136カ国は今月8日、最低税率を2023年までに各国で適用することで合意した。これに対し、スイス財務省は声明他のサイトへで残る法律問題を解決し適用期限を延ばすよう求めていた。
パルムラン氏は14日、外国記者会との記者会見後、ロイター通信にスイス国内への適用には時間がかかるとの見解を示した。スイスの法人税は各州が独自に決めることができる。平均で15%をやや下回り、多くの多国籍企業を引き付けている。
パルムラン氏は「(スイスの)連邦憲法の改正が必要なため、強制的なレファレンダム(国民投票)にかけて有権者と州の二重の過半数を得なければならない」点を挙げ、「国内の反応を得るために時間が必要だ。1年以上かかることは想像に難くない」と語った。
20カ国・地域(G20)は13日の財務相・中央銀行総裁会議で、法人税改革について閣僚レベルで最終合意した。会議に出席したスイスのウエリ・マウラー財務相はドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)で、スイスへの最低法人税率の適用は「実現可能なはずだ」と語った。
財務相は「我々の試算ではスイスに本社を置く200社ほどが影響を受ける」と述べ、外国企業の子会社数千社も法的基盤の修正を迫られるとはじいた。
一方、合意内容をどう適用させるかは「根本的に未定だ」とした。全26州の税務当局や企業と協議中だが、課税ベースの査定方法に「ゆとり」を持たせるよう求める声が出ているという。
3年は「かなり早い方」
マウラー氏はまた中小企業への控除がいくつかの問題を提起しているが、いずれも解決できないわけではないと話した。
同氏は「恐れていたような大きな調整は最終的に不要とみられ、レファレンダムは必要ない」との見方を示した。また「意見集約や議会での立法作業、各州での調整におそらく3年ほどかかるだろう。我々の水準からすればかなり早い方だ」と語った。

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