スイス公的機関で近年最大級の汚職事件に関し、収賄罪などに問われた元政府高官の公判が始まった。
このコンテンツが公開されたのは、
連邦経済省経済管轄庁(SECO)の元高官は合計170万フラン(約2億円)以上の賄賂を受け取ったとされる
Keystone / Ti-press / Alessandro Crinari
連邦刑事裁判所で2日、コンピューター機器の購入を巡り不正をはたらいたとして、連邦経済省経済管轄庁(SECO)の元部門長(68)の公判が始まった。このほか民間企業の幹部3人が起訴されている。
主な被告である元部門長は、失業保険データセンターの調達を監督した。2004~14年の間に民間企業3社に便宜を図り、見返りに企業側から元部門長や第三者への賄賂を受け取ったとされる。
連邦検察庁は、元部門長を公職の職権乱用、文書偽造、収賄の罪で起訴した。3人の企業幹部は贈賄、一部の事案については刑事上の監督不行届、偽造またはマネーロンダリング(資金洗浄)の罪に問われている。
訴追内容によると、元部門長はコンピューター機器の入札で3社を有利にするために、評価を操った。そのために自由な競争が妨げられ、SECOとスイス政府に重大な損害を与えた。
見返りとして、元部門長は合計170万フラン(約2億円)以上を受け取ったとされる。招待状やイベントのスポンサー、現金、サッカーの試合チケットなどが含まれ、第三者も恩恵を受けたという。公判は2週間続く予定。
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
続きを読む
おすすめの記事
富裕国スイスに問われるモラル問題
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは2020年も好調が続きそうだ。安定した経済、低い失業率に加え、市場急落の可能性も低い。だがこれほど好調であれば、見返りも求められる。新たな年を迎えたスイスには、責任や透明性などモラルの問題が突きつけられるだろう。
もっと読む 富裕国スイスに問われるモラル問題
おすすめの記事
「消費者が不正を行う企業を罰するだろう」
このコンテンツが公開されたのは、
先月29日の国民投票で、「責任ある企業」イニシアチブ(国民発議)が否決された。その結果、間接的対案が成立し、スイスを拠点とする多国籍企業に新しい規則が導入される。これを機に消費者がより一層重要になると専門家は見ている。
もっと読む 「消費者が不正を行う企業を罰するだろう」
おすすめの記事
スイスは司法の独立性を守れるか
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦最高裁判所の裁判官選挙が最近、メディアで大きく取り上げられている。裁判官選挙では政党間のバランスに配慮した政治的妥協が長年行われてきたが、司法の独立性を巡り疑問の声が上がっている。だが問題はそれだけに限らない。
もっと読む スイスは司法の独立性を守れるか
おすすめの記事
スイス軍用機発注の舞台裏 F-5タイガーの場合
このコンテンツが公開されたのは、
軍用機の購入は複雑な任務だ。国内政策は外交政策と、防衛政策は経済政策とぶつかり合う。中立をうたうスイスではさらにこれがややこしくなる。スキャンダルもほぼ必ずついて回るからだ。ところで戦闘機はどうやって調達するのだろう?ほぼ未検証の資料をもとに、F-5タイガー戦闘機発注の舞台裏をのぞいた。
もっと読む スイス軍用機発注の舞台裏 F-5タイガーの場合
おすすめの記事
国際汚職 撲滅には長い道のり
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦検察は過去5年間、外国公務員への贈賄で個人11人、企業7社に有罪判決を下した。経済協力開発機構(OECD)はスイスの取り組みを評価するが、専門家からはシステムの欠陥を指摘する声も上がっている。
もっと読む 国際汚職 撲滅には長い道のり
おすすめの記事
ハリウッド監督が伊脱税事件に関与 150億円の行方は
このコンテンツが公開されたのは、
ベルルスコーニ伊元首相が所有するテレビ局グループ「メディアセット」の脱税事件で、米税務当局は1億4千万ドル(約150億円)の隠し資産の捜査を続けている。未だスイスの銀行に隠されている可能性がある。
もっと読む ハリウッド監督が伊脱税事件に関与 150億円の行方は
おすすめの記事
国際サッカー連盟FIFA、NGOになりたい?
このコンテンツが公開されたのは、
国際サッカー連盟(FIFA)が、スイスでの法的な地位を赤十字国際委員会(ICRC)や国連のような国際NGO(非政府組織)に「格上げ」しようとしている。
もっと読む 国際サッカー連盟FIFA、NGOになりたい?
おすすめの記事
スイス検事総長が史上初の弾劾に?FIFA汚職で
このコンテンツが公開されたのは、
国際サッカー連盟(FIFA)の汚職捜査をめぐり、連邦議会は20日、スイス連邦検事総長のミヒャエル・ラウバー氏の公聴会を開くことを決めた。議会司法委員会の決定次第では、初の高官の弾劾となる可能性が出てきた。
もっと読む スイス検事総長が史上初の弾劾に?FIFA汚職で
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。