ポストファイナンスの民営化計画が進んでいる
© Keystone / Gaetan Bally
スイス政府は、スイス郵便の金融機関ポストファイナンスを民営化する方針だ。
このコンテンツが公開されたのは、
ポストファイナンスは完全国営のスイス郵便グループの100%子会社。270万人の顧客と1200億フラン(12兆9600億円)の顧客資産を有し、国内の一大金融機関となっている。
ただ銀行免許は持つが間接的に国営のため、融資・住宅ローンを提供することが禁じられている。
連邦内閣は20日、ポストファイナンスの融資・住宅ローンを解禁するため、民営化に向けた郵便組織法の一部改正案を発表外部リンクした。
政府は昨年6月~9月、ポストファイナンスの融資・住宅ローン禁止規定を撤廃し、スイス郵便を通じた政府保有株を部分的に売却する案を関係機関への意見聴取にかけた。だが関係者の大半が政府案に反対。中でも合憲性、競争の中立性、連邦主義、金融市場の安定性を脅かしかねないという意見が目立った。
今回の改正案は、これらの意見を元に政府が株式の過半数を維持する方針を改め、ポストファイナンスの民営化に踏み込んだ。
法改正
政府案によると、ポストファイナンスの民営化には、郵便法の3つの大きな改正が必要となる。
1つは、ポストファイナンスの融資・住宅ローン禁止規定の撤廃と同時に、スイス郵便がポストファイナンスの議決権を持つこと、また株式の過半数を保有することを義務付けた規定を削除する。
また現行法では、郵便および決済サービスにおいてスイス郵便グループ各社が密接に関係している。完全民営化によりポストファイナンスはスイス郵便グループから分離することになるため、ユニバーサルサービスに関する条項を改正し、関連業務の再編成を図る。
3つ目には、民営化に際し政府支援を可能にする条項を追加した。
「システム上重要な銀行」として、ポストファイナンスは高い自己資本比率要件を満たさなければならない。だがスイス郵便とポストファイナンスは収益力が低下し、金融規制当局が求める追加の資本を完全かつ期限内に提供できない。
このため民営化後に収益が安定するまでの時限措置として、ポストファイナンスが倒産した場合に政府が間接的所有者として資本不足分を補うことを保証する。保証額にも上限を設ける。
スイス労働組合連盟は政府の発表を受け、ポストファイナンスの民営化に強く反対すると公表した。ポストファイナンスは約300万人の顧客を抱える市民銀行であり、スイス郵便の一部として市民に帰属するものだと訴えた。
おすすめの記事
スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ニトヴァルデン準州は5日、スマートフォンをはじめとするIT機器の小学校での使用禁止を発表した。授業目的や緊急時などを除き、全面的に学校でスマホが使えなくなる。
もっと読む スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ
おすすめの記事
ジュネーブ国連職員約500人が予算削減に反対するデモ
このコンテンツが公開されたのは、
メーデーの1日、ジュネーブで国連欧州本部職員500人近くが国連の緊縮財政に反対する異例のデモ活動を実施した。
もっと読む ジュネーブ国連職員約500人が予算削減に反対するデモ
おすすめの記事
バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
このコンテンツが公開されたのは、
5月11~17日の欧州国別対抗の音楽祭「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト(ESC)」開催中、バーゼルでは「カラオケ・トラム(路面電車)」が運行する。ビンテージ車両で90分間かけて街を走る間、乗客は無料で歌い踊ることができる。
もっと読む バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
おすすめの記事
ジャッキー・チェンさんに名誉豹賞 ロカルノ映画祭
このコンテンツが公開されたのは、
第78回ロカルノ国際映画祭で、香港出身の俳優ジャッキー・チェンさん(71)に生涯功労賞である「名誉豹賞」が贈られることが決まった。
もっと読む ジャッキー・チェンさんに名誉豹賞 ロカルノ映画祭
おすすめの記事
グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
このコンテンツが公開されたのは、
動くクマのグミ、チョコレート味の電池――大阪・関西万博のスイス館では、ロボット工学者とパティシエ、ホテリエが合作した「ロボケーキ」が展示されている。
もっと読む グミベアが躍る「ロボケーキ」大阪・関西万博スイス館で展示
おすすめの記事
スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
このコンテンツが公開されたのは、
日本を公式訪問中のスイスのイグナツィオ・カシス外相は22日、2025年大阪・関西万博のスイス・ナショナルデーのオープニングセレモニーに出席し、結束と対話を呼びかけた。
もっと読む スイス外相、大阪・関西万博で結束と対話をアピール
おすすめの記事
フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのカリン・ケラー・ズッター連邦大統領は、21日死去したローマ教皇フランシスコに哀悼の意を表した。
もっと読む フランシスコ教皇死去、スイス大統領が哀悼
おすすめの記事
WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
このコンテンツが公開されたのは、
世界経済フォーラム(WEF)は21日、創設者で会長のクラウス・シュワブ氏が同日付で辞任したと発表した。
もっと読む WEFのクラウス・シュワブ会長が辞任
おすすめの記事
スイス外相、日本と中国を訪問
このコンテンツが公開されたのは、
イグナツィオ・カシス外相は日本と中国を公式訪問する。
もっと読む スイス外相、日本と中国を訪問
おすすめの記事
TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
このコンテンツが公開されたのは、
米誌タイムズの「2025年最も影響力のある100人」に、弁護士コーデリア・ベール氏がスイス人女性では唯一ランクインした。ベール氏は気候訴訟で異例の勝訴判決を勝ち取った人物だ。
もっと読む TIME誌、スイス人弁護士を「最も影響力のある100人」に選出
続きを読む
おすすめの記事
スイス人もコロナでついに現金離れ?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス人は現金好きだ。だが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で現金払いを控え、非接触型の決済に移行する人が増えている。コロナ危機が収束してからもこの傾向は続くのか?
もっと読む スイス人もコロナでついに現金離れ?
おすすめの記事
コロナでスイスの消費行動に変化
このコンテンツが公開されたのは、
新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)後、スイス国内の消費者行動が変化したことが調査で分かった。現金を使わないキャッシュレス化も進んだ。
もっと読む コロナでスイスの消費行動に変化
おすすめの記事
スイス郵便の銀行部門、500人リストラ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス郵便の銀行部門・ポストファイナンスは5日、2020年末までにフルタイムの従業員500人を削減すると発表した。マイナス金利政策による収益減が背景にある。
もっと読む スイス郵便の銀行部門、500人リストラ
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。