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BASFがチバ買収の意向

スイスの伝統的化学薬品会社チバがドイツの資本下になる? Keystone

9月15日、ドイツの世界でも有数の化学薬品会社「BASF」はスイスの特殊化学薬品チバを61億フラン ( 約5700億円 ) で買収したい意向だと発表した。チバの経営陣は株主に対して、この買収提案を受け入れるよう要請している。

買収価格は1株につき50フラン ( 約4700円 ) 。この価格は12日の終値の3分の1増しで、BASFがチバの3分の2の株を取得することが最低条件として明らかにされた。

長年の経営難の救い主 ?

 チバ ( Ciba ) のアルミン・マイヤー会長は株主に対し、BASFの買収を受け入れるよう要請している。
「取引価格は株主にとって公正な価格だ。わが社が直面する困難な状況を克服するために最適な『家主』のオファーである」
 と買収を受け入れる理由を語った。
また、BASFのユルゲン・ハンブレヒト会長は「特殊化学部門でBASFがトップの座につく」ことを買収の理由に挙げた。

 買収によりチバは、更なる人員削減を強いられることは確実だが、その規模については分からない。これまでのリストラ計画では、2009年までに2500人が解雇されることになっていたが、あくまでも買収発表前の計画だ。

 チバは、染料、潤滑油添加剤などの大手で、自動車製造業界のほか、プラスチック、製紙、建築、繊維業界の顧客を持つ。長年にわたって経営難にあり、その将来をめぐりさまざまな噂が立っていた。ここ数日は、マイヤー会長の辞任の噂が流れていた。

swissinfo、外電

1996年、チバガイギーとサンドの合併により創立されたノバルティスには加わらず独立し、チバ特殊化学として染料、潤滑油添加剤などで自動車製造業、プラスチック、製紙、建築、繊維業界と取引を続けてきた。長年経営難にあり、2006年には3年計画で2500人の解雇を発表した。5年間で4回のリストラ計画が執行され、現在の従業員数は1万3000人。アルミン・マイヤー氏は今年1月1日で最高経営責任者 ( CEO ) の職を辞任したが、会長を続けていた。

自称化学薬品で世界第1のメーカー。従業員数9万5000人。170カ国に拠点を持つ。2008年上半期の売り上げは320億ユーロ ( 前年同期比+10% ) 、純利益25億ユーロ ( 同+20% ) 。2006年にはアメリカのエンゲルハード ( Engelhard ) を買収。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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