昨年4月新たにUBSの会長に就任したコルム・ケレハー氏。米銀モルガン・スタンレーに30年間在籍した
Keystone/gaetan Bally
スイスの銀行最大手UBSのコルム・ケレハー会長は、米ウォール街の大手銀行と競合していくには、同国の超富裕層や機関投資家を対象としたウェルスマネジメント事業の拡大が重要だと述べた。
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ケレハー氏はドイツ語圏の日刊紙NZZ外部リンクの14日付のインタビューで「米国の富裕層は、UBSのような銀行を好む」と述べ、「UBSはウェルスマネジメントの分野で非常に高い評価を得ている」とした。同氏は米銀モルガン・スタンレーに30年間在籍した後、昨年4月にUBSの会長に就任した。
「25年前とは異なり、米国人に勝つには米国人でなければならないというわけではない。UBSのウェルスマネジメント事業はすでに優秀だが、世界首位がUBSの目標。米国でもトップを目指す」と述べた。
目標達成に向け、少なくとも当面は大規模な買収は控え、既存の経営資源を利用するオーガニック成長を目指す。また、一連のスキャンダルと巨額の損失でリストラを強いられたクレディ・スイスを「買収する気はない」とも明言した。
住宅ローンや融資など、より伝統的な銀行商品を主軸とした顧客サービス重点を置くという。「サプライズよりオーガニック成長。UBSの米国における業務、収益性を数字で確実に判断していくことが戦略のカギとなる」と語った。
2008年のリーマン・ショックでUBSは、ハイリスクな拡大戦略により米国で最多の焦げ付き資産を抱えた外国銀行の1つとなった。その後、投資家の信頼回復に苦戦していた。「過去の過ちは認識しており、二の舞を演じるつもりはない」とケレハー氏。「成長しているウェルスマネジメントの分野は、リスクも資本増強の必要性も小さい」とした。
米国に加え、UBSはアジア事業も強化する。中国のゼロコロナ政策緩和を受け、国際的なスイスの銀行として、中国の成長からも恩恵を受けたいという。「UBSは世界の舞台において中立的な立場にある。中国か米国のどちらかを選ぶ必要はない」と述べた。
英語からの翻訳:シュミット一恵
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