スイスの金融当局は26日、暗号資産の取り扱い企業SEBA外部リンクとSygnum外部リンクの 2社に初めて銀行業の許可を与えた。両社がホームページで発表した。
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スイス金融市場監督局(FINMA)は同日、これらの仮想通貨銀行が資金洗浄防止法をどう適用するかをまとめた指針を発表外部リンクした。その中で「ブロックチェーン技術の有する匿名性により(資金洗浄に悪用される)リスクが増大する」と指摘した。
規制により、銀行顧客へのトークン移転が制限される。「FINMAの監督下にある機関は、他の機関の顧客からトークンを送受してはならない。発送者・受領者に関する情報をそれぞれの支払いシステムで確実に送ることができる場合はこの限りではない」決まりだ。
SEBA(本社・ツーク)はFINMAの求める「二次基準」を満たせば、10月にも業務を開始できると明らかにした。暗号資産の法人業務やアセットマネジメント業務を展開する方針。
≫SEBAはプライベートバンクのジュリアス・ベアと提携している
Sygnum(本社・チューリヒ)はドイツ証券取引所やスイスの通信企業スイスコムなどと連携し、分散型台帳記述(DLT)プラットフォームにトークン化された証券を上場・取引する。
同社の共同設立者兼最高経営責任者(CEO)のマヌエル・クリーガー氏は「FINMAから銀行業と証券取り扱い業の許可を得たことは非常に画期的な出来事であり、デジタル資産経済の体系化に向けた重要な一歩でもある」と喜びを示した。
SygnumもFINMAが要求する「二次要件」を満たすまで、スイスでの営業許可は条件付きだ。シンガポールでも金融業の許可を申請している。
スイスの金融業界ではここ数年、新しいデジタル資産を取引するためにブロックチェーン技術を使った取引基盤の構築が進んできた。スイス証券取引所を運営するSIXグループが来年にも新しい暗号資産取引所を立ち上げる予定のほか、いくつかの新興勢力が誕生している。
ビットコイン・スイス外部リンクやクリプト・ファイナンス、Lykke外部リンクなどもFINMAに銀行業許可を申請中だ。
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