スイスの視点を10言語で

スイス政府がクリプト社を告訴 米独スパイ問題で

スイス政府がクリプト社を告訴 米独スパイ問題で
米独スパイ問題の渦中にあるスイスのクリプト社 Keystone / Alexandra Wey

米独の情報機関がスイスの暗号機器メーカー、クリプト社を秘密裏に長年所有し、同社のデバイスを使って世界各国の機密情報を収集していたとされる問題で、スイス連邦経済省経済管轄局(SECO)はクリプト社を刑事告訴した。ドイツ語圏の日曜紙ゾンタークス・ツァイトゥングが報じた。

SECOは軍需品輸出の認可官庁。SECOは、クリプト社が不正改造された暗号化デバイスの輸出申請を行う際、虚偽の申請をしたと訴えている。

クリプトは数十年間、不正改造されたデバイスを100カ国以上に販売し、米中央情報局(CIA)と独連邦情報局(BND)が各国の機密情報を収集していた。

クリプトと米独情報機関の関係

米中央情報局(CIA)と旧西ドイツの情報機関(BND)は1970年、リヒテンシュタインの財団を隠れ蓑に、スイスの暗号化機器会社クリプト(本社・ツーク、2018年廃業)を買収。機密情報を容易に解読できる仕掛けを組み込んだ暗号機を販売し、世界各国の機密情報を収集していた。暗号機器はイラン、インド、パキスタン、ラテンアメリカ諸国など数十カ国に販売され、その中には同盟国の日本も含まれていた。米ワシントンポストとドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)、ドイツ公共放送局(ZDF)が2月、独自に入手したCIA文書などに基づいて報じた。

SECOは、不正改造デバイスと気づいていれば、輸出を承認しなかったと述べた。クリプト内で不正に関与した人物が特定できていないため、被告訴人の氏名は不明とした。クリプトには最大400人の従業員がいたが、スパイ行為を知っていたのはごく少数とされる。

ゾンタークス・ツァイトゥングによると、刑事告訴は物資管理法14条違反に基づいたものとみられる。同条項では、虚偽・不完全な情報を記載した認可申請を行った場合、最高懲役10年、最大500万フラン(約5億5千万円)の罰金が科せられる。

告訴状を受理した連邦検察庁は今後、刑事訴追が可能かどうかを検討する。

連邦内閣は先月11日、ニクラウス・オーバーホルツァー元連邦裁判官を筆頭とする調査チームを立ち上げた。この調査は議会の代表団が監視している。議会も独自の調査に乗り出した。

人気の記事

活発なディスカッション

ニュース

マンション

おすすめの記事

スイスでマイホームが賃貸よりお得に

このコンテンツが公開されたのは、 スイスでは住宅ローン金利の低下と家賃上昇により、2025年初めには不動産を賃貸するより購入した方が安上がりになる――こんな見通しを銀行最大手UBSが発表した。

もっと読む スイスでマイホームが賃貸よりお得に
イスラム教徒の墓に描かれたナチスの鉤十字

おすすめの記事

ヘイト・シンボルを禁止 ジュネーブ住民投票

このコンテンツが公開されたのは、 ジュネーブで9日行われた住民投票で、ナチスの鉤十字などのヘイト・シンボル表示を禁止する憲法改正案が84.7%の賛成で可決された。投票率は46%だった。

もっと読む ヘイト・シンボルを禁止 ジュネーブ住民投票
Finmaのロゴ

おすすめの記事

スイス金融当局新トップ、「経営陣の個人責任を追及」

このコンテンツが公開されたのは、 スイス金融市場監督機構( FINMA)の新長官に就いたシュテファン・ヴァルター氏は、監督権限の強化を求めていく立場を明確にしている。非協力的な銀行経営陣をFINMAが解任する権限も必要だとみる。

もっと読む スイス金融当局新トップ、「経営陣の個人責任を追及」
花粉症の女の子

おすすめの記事

高濃度の花粉で血圧上昇 スイス研究

このコンテンツが公開されたのは、 花粉の飛散量が高まるとアレルギー患者の血圧を上昇させることが、スイスの研究で分かった。女性や太りすぎの人では特に影響が大きい。

もっと読む 高濃度の花粉で血圧上昇 スイス研究
ロジャー・フェデラー

おすすめの記事

フェデラーの艇庫建設に反対運動 「湖岸への出入りを阻害」

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの元テニス選手、ロジャー・フェデラーさんが計画するチューリッヒ湖畔のボートハウス(艇庫)建設に対し、「人々の湖畔の往来を阻害する」として反対する声が上がっている。

もっと読む フェデラーの艇庫建設に反対運動 「湖岸への出入りを阻害」
スーツ姿の男性と女性

おすすめの記事

スイス公共放送協会、次期会長に初の女性トップ

このコンテンツが公開されたのは、 スイス公共放送協会(SRG SSR)は25日に開いた総会で、次期会長にドイツ語圏スイス公共放送(SRF)で文化部長を務めるジャーナリストのスザンネ・ヴィレ氏(50)を選出した。女性のトップ就任は初めて。

もっと読む スイス公共放送協会、次期会長に初の女性トップ
EPFL

おすすめの記事

スイス、国立大留学生の学費を3倍に引き上げへ 下院委員会が可決

このコンテンツが公開されたのは、 スイス下院委員会は連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)と同ローザンヌ校(EPFL)の留学生の学費をスイス人学生の3倍に引き上げる案を可決した。27日に始まる夏期本会議で審議する。

もっと読む スイス、国立大留学生の学費を3倍に引き上げへ 下院委員会が可決

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部