ブラジル・サンパウロの集会で、汚職捜査を支持するプラカードを掲げる女性。2020年9月6日撮影
Keystone / Fernando Bizerra
スイス連邦検察庁は、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスと建設大手オデブレヒトをめぐる汚職調査「洗車作戦」の一環で、ジュネーブに本拠を置くプライベートバンクCramer&Cieの捜査を開始している。
このコンテンツが公開されたのは、
連邦検察庁(Bundesanwaltshaft/ MPC)は8日、AFPの取材に対し、ペトロブラスとオデブレヒトを巡る汚職事件で未決の刑事訴訟手続きが約40件あり、うち3件がスイスの金融機関に対するものであることを認めた。国際金融犯罪の暴露サイトGotham City外部リンクが、Cramer&Cieに対する捜査を開始したと7日に報じていた。
Cramer&Cieに対する刑事訴訟手続きは7月1日に提起。このブラジルの大規模な汚職スキャンダルをめぐる「他の刑事訴訟手続きから派生した」情報に基づくものという。
検察庁は「マネーロンダリング違反の実行を阻止できないような銀行の内部組織の欠落」があったとみている。Cramer&Cieは、この件にコメントしていない。
「洗車作戦」
ブラジルの汚職捜査「洗車作戦」は、同国史上最悪の企業汚職スキャンダルの1つ。2014年時はペトロブラスの収賄が中心だったが、その後事件が急速に拡大。スイスを含む複数の国の政治家、企業、銀行、検察関係者が摘発されている。
スイス連邦検察庁は昨年、この事件に関連してスイスのプライベートバンクJ.Safra Sarasinの捜査を開始したと発表した。
2018年2月には、スイス金融市場監査局(FINMA)がプライベートバンクPKB(本社・ルガーノ)に対し、マネーロンダリング(資金洗浄)規則に違反したとして130万フラン(約1億5千万円)の罰金を科した。
その他にもスイスの裁判所は今年2月、スイス・ブラジル国籍の男に対し、スイス、ブラジル、ポルトガルにおいて外国仲介業者に賄賂を提供し、マネーロンダリング違反の行為で、スイスで初の有罪判決を下した。
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
このコンテンツが公開されたのは、
ローザンヌ国際バレエコンクールの最終選考が8日に行われ、韓国のパク・ユンジェさんが優勝。群馬出身の安海真之介さんが3位で入賞した。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール 韓国高校生男子が優勝、安海さんが3位
おすすめの記事
スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
このコンテンツが公開されたのは、
世界有数の試験・検査・認証機関であるスイスのSGSは、本社をジュネーブ州からツーク州に移転する。大手多国籍企業の移転は、ジュネーブ州の税収にも影響を及ぼしそうだ。
もっと読む スイス検査・認証SGSが本社移転 ジュネーブからツークへ
おすすめの記事
ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部ローザンヌで2日、第53回ローザンヌ国際バレエコンクールが始まった。23カ国から集まった85人の若手ダンサーが8日の最終選考進出を目指し、さまざまな課題曲に挑戦する。
もっと読む ローザンヌ国際バレエコンクール2025始まる 日本から13人出場
おすすめの記事
スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府は29日、国外から子どもを迎える国際養子縁組を将来的に禁止する意向を表明した。虐待防止措置の一環としている。
もっと読む スイス政府、国際養子縁組を禁止へ
おすすめの記事
スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は29日、生殖補助医療法を改正し、カップルに対する卵子提供を合法化する方針を発表した。政府はまた既婚・未婚問わず全てのカップルへの精子・卵子提供を解禁する意向を示した。
もっと読む スイス、全てのカップルへの精子・卵子提供を合法化へ 政府方針
おすすめの記事
スイスに感染症情報解析センター発足
このコンテンツが公開されたのは、
感染症に関する情報を収集・解析する「病原体バイオインフォマティクスセンター(CPB)」が23日、スイスの首都ベルンに新設された。集約したゲノムデータを管理・解析し、スイスの感染対策を改善する役割を担う。
もっと読む スイスに感染症情報解析センター発足
おすすめの記事
ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)は10日、電気を使わない除湿器を開発したと発表した。壁や天井の建築材として、空気中の湿気を吸収し一時的に蓄えることができる。
もっと読む ETHチューリヒ、気候に優しい除湿機を開発
おすすめの記事
スイスでX離れ進む
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで「X」から撤退を表明する企業や著名人が相次いでいる。
もっと読む スイスでX離れ進む
おすすめの記事
スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究者たちが、キノコで発電する電池を開発した。農業や環境研究に使われるセンサーに電力を供給できるという。
もっと読む スイスの研究者、キノコで発電する電池を開発
おすすめの記事
ジョンソン・エンド・ジョンソン、スイスでの人員削減を計画
このコンテンツが公開されたのは、
米ヘルスケア大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、スイスでの人員削減を計画している。
もっと読む ジョンソン・エンド・ジョンソン、スイスでの人員削減を計画
続きを読む
おすすめの記事
スイスの大銀行、犯罪対策が不十分?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銀行大手クレディ・スイス(CS)が、国際的な不正取引に関わったとして金融当局の勧告処分を受けた。ただ営業停止や罰金などの処分がなかったことに首をかしげる専門家もいる。
もっと読む スイスの大銀行、犯罪対策が不十分?
おすすめの記事
スイス検事総長が史上初の弾劾に?FIFA汚職で
このコンテンツが公開されたのは、
国際サッカー連盟(FIFA)の汚職捜査をめぐり、連邦議会は20日、スイス連邦検事総長のミヒャエル・ラウバー氏の公聴会を開くことを決めた。議会司法委員会の決定次第では、初の高官の弾劾となる可能性が出てきた。
もっと読む スイス検事総長が史上初の弾劾に?FIFA汚職で
おすすめの記事
世界で強まる脱税取り締まり スイスの立ち位置は
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは長年の伝統だった銀行秘密を放棄し、税の自動的情報交換制度(AIE)に加わった。昨年から国内銀行にある外国人顧客の口座情報を36カ国と交換し、加盟国は今後約100カ国まで増える見通しだ。脱税を取り締まるためのこの枠組みに死角はないのか?
もっと読む 世界で強まる脱税取り締まり スイスの立ち位置は
おすすめの記事
スイスの「資金洗浄大国」汚名返上への道のり
このコンテンツが公開されたのは、
スイスはこの数年、マネーロンダリング(資金洗浄)との闘いに努力してきた。法制度も整ってきたが、一刻も早く補修すべき欠陥も残る。
もっと読む スイスの「資金洗浄大国」汚名返上への道のり
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。