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国民投票 外国人犯罪者の国外追放強化は承認、富裕層の税率均一化は否決



チューリヒの空港クロ―テン ( Kloten )にある刑務所で、外国人犯罪者が国外追放を待つ

チューリヒの空港クロ―テン ( Kloten )にある刑務所で、外国人犯罪者が国外追放を待つ

(Keystone)

11月28日に行われた国民投票では、外国人犯罪者の国外追放強化のイニシアチブが承認され、これに対抗する政府側のプロジェクトは否決された。

一方、富裕層の税率の全国均一化のイニシアチブは否決された。 

外国人犯罪者国外追放強化

 スイスには現在、人口の21.7%に当たる170万人 の外国人が住んでいる。従来、スイスの外国人融和政策は、ヨーロッパ諸国の中では成功している方だといわれてきた。しかし近年、旧ユーゴや、シェンゲン協定の「人の往来の自由」によりルーマニアなどの東欧からの移民など、スイス社会に溶け込まず犯罪に走る外国人の数が急増。実際スイス全土の刑務所で外国人犯罪者は約7割を占める。

 こうした状況の中、右派の国民党 ( SVP/UDC ) が、外国人犯罪者の国外追放のイニシアチブ ( 国民発議 ) を提出した。一般にイニシアチブとは憲法の条項の改正を目的に発議を行うことだが、今回国民党は現行の条項を強化する、「罪、( 特に殺人、性犯罪、麻薬及び人身売買、強盗など ) を犯した外国人、または社会保障 を悪用した外国人の滞在許可証をすべて自動的に取り上げること」を主張した。

 これに対し、「外国人犯罪者を自動的に国外追放」という点に特に反対する政府と連邦議会は、このイニシアチブに対抗するプロジェクトを提案。「犯罪の程度を考慮に入れ、ケース・バイ・ケースで判断して国外追放を決定」し、さらに外国人のスイス社会への融和政策も盛り込んだ。
 
 また、イニシアチブと対抗プロジェクトはそれぞれ独立した投票項目とされ、承認には両方とも投票者と州で過半数の賛成を得る必要があった。
 
 その結果、外国人犯罪者の国外追放イニシアチブが52.9%の投票者の賛成と、全26州のうち17州と1準州の賛成で可決された。一方対抗プロジェクトは54.2%で否決され、また州の数においても23州が否決した。

 スイスフランス語テレビ局 ( TSR ) によれば、シモネッタ・ソマルガ法相は「この投票結果は国民の外国人犯罪者に対する危惧と不安感の表明だと真剣に受け止め、自分に課せられた課題として解決していく」と語った。また、憲法や国際法に違反しない形でイニシアチブ実行を検討する検討委員会がクリスマス前に設置されるという。 

富裕層の税率の全国均一化

 一方、今回の第2案件は、富裕層の税率をスイス全国で均一化することを求めるイニシアチブだった。スイスでは各州が税率を定めている。そのため低税率で外国または国内から富裕層を引き寄せ、経済の活性化を図る州が存在する。

 そもそもこのイニチアチブが作成されたのは、オプヴァルデン州が「富裕層の収入が高額になるにつれ税率を下げる」という税制を2005年に導入したからだ。しかしこれは、憲法に矛盾するという連邦裁判所の判決によって2007年に禁止されている。

 今回、社会民主党 ( SP/PS ) が提出したイニシアチブは、「収入が高額になるにつれ税率を下げる税制の禁止」という条項を憲法に正式に盛り込むこと、さらにスイス全国で均一に、課税対象所得額が25万フラン ( 約2000万円 ) 以上の単独世帯に少なくとも22%の限界税率を課すこと、また課税対象資産額が200万フラン ( 約1億7000万円 ) 以上ある単独世帯に最低0.5%の限界税率を課すことを要求していた。

 社会民主党 ( SP/PS ) を中心にイニシアチブ賛成者側は、現在の不均衡な税制の一番の犠牲者は、労働者、家族、高齢者など、低税率の州に自由に移住できない人々で、また今回のイニシアチブで影響を受けるのはわずか0.69%の富豪にすぎないと主張してきた。

 これに対し政府など反対側は、「富裕層の収入が高額になるにつれ税率を下げる」件はすでに解決済みであり、またイニチアチブが承認されれば、富裕層が外国に移住し、スイスの経済にとって打撃になることなどを主張した。

 その結果、国民は58.5%でイニシアチブを否決し、また州においても19州と1準州が否決した。

 エヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ財務相は、今回の否決を「否決は、スイスの連邦制と税制を国民が承認したということだ。州間の不均衡は今後財政政策で緩和していく」と述べている。

イニシアチブ

憲法の条項の一部の改正を求めて行われる国民発議。
10万人分の署名を18カ月以内に集め、国民投票にかけられる。
承認には投票者と州の両方で過半数の賛成を得る必要がある。
イニシアチブが承認されるのは極めて珍しく、1891年から2007年にかけてはわずか15件だった。
しかし、2009年11月の国民投票では、やはり国民党のイニシアチブ「イスラム寺院の尖塔ミナレットの建設禁止」が予想に反して承認された。

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富裕層の所得税が22%未満の15州

ツーク、シュヴィーツ、オプヴァルデン、ニトヴァルデン、ウーリ、ザンクトガレン、アッペンツェル・インナーローデン、アッペンツェル・アウサーローデン、トゥールガウ、シャフハウゼン、アールガウ、ルツェルン、ソロトゥルン、グラールス、グラウビュンデン

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swissinfo.ch


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