The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

スイス、EUへの報復措置を検討

SIXグループのロゴオブジェ
スイス証券取引所を運営するSIXグループも、欧州連合(EU)による締め出し案に頭を悩ませている Keystone

スイス連邦政府は8日、欧州連合(EU)がスイス証券取引所をEU市場から締め出そうとする動きに対し、検討中の報復措置を発表した。外国取引所によるスイス株式の取り扱いを許可制にし、EU内の取引所には許可を与えないようにする方策だ。

 EUは昨年12月、SIXグループ外部リンクの運営するスイス証券取引所に対するEU企業株式の取り扱い許可を18年末をもって打ち切る意向を発表した。スイス政府は、EUの決定には悪意があると激しく非難。スイスの経済的利益を脅かすと反発した。

 マウラー財務相は8日、年内にSIXがEU内証券取引所との「対等性」を認められず、EU市場に参加できなくなれば、EUの取引所にも同じ措置を取ると表明した。スイスの株式を取引する全ての外国取引所に対し、スイス政府への許可申請を義務付ける新しい規制を設ける。

 EUがSIXに対するEU株式の長期的取り扱い許可の付与を拒否し続ける場合、「EUの取引所にはスイス政府からの許可が下りなくなる」と声明に記した。

 ただしその場合も、EUの銀行や証券会社がスイス証券取引所でスイス株式を取引することはできる。この提案は遅くとも12月1日までに発効する。

 一方、マウラー財務相は記者団に対し、スイスはSIXへの恒久的取り扱い許可をEUに求める「プランA」を優先的に続けていく方針だと述べた。政府声明には「連邦内閣が特に重視しているのは、必要あらばスイス証券取引所の機能を保護するためだけにこうした対抗措置を取るのを強調することだ。EUとの関係を強化・深化させる努力も続けている。その目的は、制度的枠組み協定の締結に向かって前進することだ」と明記した。

 スイス・EU間関係は近年、特に移民問題を巡って悪化している。またEUは、英国がEU離脱を決定して以降、非加盟国に対し厳しい立場を示すようになった。スイス・EU間で締結を目指す枠組み条約の条件をめぐり、駆け引きが激しくなっている。

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

大西卓哉飛行士

おすすめの記事

宇宙研究

国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献

このコンテンツが公開されたのは、 日本製とドイツ製のロボットが、国際宇宙ステーション(ISS)で「宝探し」をして遊んだ。スイス・ルツェルン応用科学芸術大学(HSLU)もこの実験に貢献した。

もっと読む 国際宇宙ステーションでロボットが「宝探し」に成功 スイスも貢献
ジュネーブのトラム

おすすめの記事

気候適応

ジュネーブ州、バス・路面電車を13日のみ無料に オゾン濃度が急増

このコンテンツが公開されたのは、 ジュネーブ州では13日、バスやトラム(路面電車)など公共交通機関が終日無料となった。オゾン濃度が急増したことへの対応で、スイスでは初めての措置だ。

もっと読む ジュネーブ州、バス・路面電車を13日のみ無料に オゾン濃度が急増
湖に飛び込もうとする男性の後ろ姿

おすすめの記事

スイスで記録的暑さ 政府が警告

このコンテンツが公開されたのは、 スイスで全国的に気温が上昇し、猛暑への警戒が強まっている。11日にはスイス西部と南部ティチーノ州の一部地域に対し、熱中症など健康被害を受けるリスクが大きい「危険度3」の警報が発令された。

もっと読む スイスで記録的暑さ 政府が警告
作家のアドルフ・ムシュク氏

おすすめの記事

文化

知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞

このコンテンツが公開されたのは、 ハンス・リンギエ財団は9日チューリヒ在住の作家アドルフ・ムシュグさん(91)に欧州政治文化賞と賞金5万ユーロ(約860万円)を授与した。同賞がスイス人に授与されるのは初めて。

もっと読む 知日スイス人作家のアドルフ・ムシュクさん、欧州政治文化賞を受賞
詐欺を警告するPC画面

おすすめの記事

スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決

このコンテンツが公開されたのは、 スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。

もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
オリーブの木

おすすめの記事

農業ビジネス

温暖化でスイスがオリーブの名産地に?

このコンテンツが公開されたのは、 スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。

もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
山肌に描かれた巨大な絵

おすすめの記事

アルプスに新しい巨大地上絵が登場

このコンテンツが公開されたのは、 世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。

もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部