スイス連邦内閣は6日、未成年者と若者をターゲットにしたたばこ製品広告を禁止するイニシアチブ(国民発議)に反対を表明した。
このコンテンツが公開されたのは、
内閣は若者を守ることには賛成だが、イニシアチブの内容は行き過ぎだと理由を述べた。スイスの国民投票では、イニシアチブの是非を有権者が投票で決めるが、政府、議会もそれぞれ賛成、反対を表明できる。
ラジオ、テレビでのたばこ製品の広告は現行法で禁止されている。イニシアチブはこれに加え、雑誌などの紙媒体、インターネット、ポスター、映画館、小売店などでも禁止し、たばこ企業のイベント後援も許可しないことを求める。今年9月、必要な10万人分の署名を集め、内閣事務局に提出した。
連邦内閣は声明で、イニシアチブの内容は「全面禁止」に等しいと述べた。ただ、たばこの危険性から若者を守る措置を強化すること自体は賛成だとした。
国会では
連邦議会は2016年、若者とたばこに関する最初の法案について審議したが、広告規制の内容で意見が分かれ、否決された。現在も法改正の審議が行われている。
国際機関や世論の批判を受け、全州議会(上院)は9月、未成年者へのたばこ販売の禁止、紙媒体・オンラインメディアでの広告に厳しい制限を設ける法改正案を可決した。国民議会(下院)でも可決されれば、スイスは世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組条約の基準に足並みをそろえることになる。
政府は、次の議会審議(現在は下院に移っている)で、映画館、ポスター広告の禁止を推進すると述べた。この2つはイニシアチブの求める内容と合致し、間接的対案(イニシアチブに対抗する政府、議会案の一種)の必要性はなくなるとした。
最新の統計によると、15歳以上の約27%が喫煙者だった。イニシアチブの発起人によると、ほとんどは10代で喫煙の習慣が始まっている。
イニシアチブは2018年3月、健康関連団体、スポーツ団体、医師、教師らが提起した。
イニシアチブと対案
イニシアチブ(国民発議)に対して連邦議会と政府が提示できる対案には2種類ある。
1)直接的対案:議会がイニシアチブに対する対案として、別の憲法条項を提示する方法。イニシアチブ委員会がイニシアチブを取り下げない場合、対案もイニシアチブと同時に投票にかけられる。
2)間接的対案:議会が憲法ではなく法律レベルの改正案、あるいは新法を提案する方法。その場合、憲法改正をしなくてもイニシアチブの実施が可能となる。イニシアチブ委員会がイニシアチブを取り下げない場合はイニシアチブのみが投票にかけられ、否決されれば自動的に間接的対案が可決される。
(出典:ch.ch)
おすすめの記事
スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。
もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
おすすめの記事
製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬ノバルティスは22日、2025年で任期満了となるヨルク・ラインハルト取締役会長の後任に、ジョバンニ・カフォリオ氏を選出すると発表した。
もっと読む 製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
おすすめの記事
スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
このコンテンツが公開されたのは、
エジプト考古省は21日、約30年前に盗まれ国外に流出したラムセス2世像の頭部破片が同国に到着したと発表した。
もっと読む スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
おすすめの記事
スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)は17日、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)の資産を追及する主要7カ国(G7)の国際作業部会には参加しないことを決めた。
もっと読む スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
おすすめの記事
米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
このコンテンツが公開されたのは、
米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。
もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
おすすめの記事
チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒの春祭り「セクセロイテン」が15日開かれた。巨大な「雪男」を燃やして夏の天気を占う恒例行事は強風により中止となった。
もっと読む チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
おすすめの記事
スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は10日、「大きすぎて潰せない(TBTF)」銀行に関する規制改革案を発表した。UBSと他の「システム上重要な銀行」3行は、破綻時のスイス経済への影響を抑えるためにより厳しい資本要件を課される必要があると述べた。
もっと読む スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
おすすめの記事
新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ティチーノ州の約2億4200万年前の地層から新種のイカの化石が見つかり、「Chuchichäschtli(クッヒカーシュトリ、スイスドイツ語で『食器棚』)」と名付けられた。
もっと読む 新種のイカの化石、名前は発音が難しいスイスドイツ語に
続きを読む
おすすめの記事
スイス連邦予算、2020年も黒字見込み
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦政府の2020年予算は再び黒字の見込みだ。内訳については議論の余地があるが、それでも十分な額だ。
もっと読む スイス連邦予算、2020年も黒字見込み
おすすめの記事
JTインターナショナル、ジュネーブ本社職員を4分の1削減
このコンテンツが公開されたのは、
日本たばこ産業(JT)の海外事業を統括する子会社、JTインターナショナル(JTI)がスイス・ジュネーブの本社重要院を4分の1削減する。3年がかりの事業再編計画の一環だ。
もっと読む JTインターナショナル、ジュネーブ本社職員を4分の1削減
おすすめの記事
スイス上院、たばこ広告規制強化案を可決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス全州議会(上院)は26日、未成年者へのたばこの販売を禁止し、紙媒体・インターネットメディアのたばこ製品広告に厳しい規制を設ける連邦法改正案を賛成多数で可決した。
もっと読む スイス上院、たばこ広告規制強化案を可決
おすすめの記事
世界の喫煙傾向はどうなっている?グラフで読み解く
このコンテンツが公開されたのは、
禁煙した人が多い国はどこだろう?禁煙者の数は、女性と男性ではどちらが多いのか?たばこ企業の本社が集まるスイスはどうだろうか?
もっと読む 世界の喫煙傾向はどうなっている?グラフで読み解く
おすすめの記事
世界のたばこ産業が集まるスイス 規制枠組み条約への対応は?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは世界3大たばこ企業の本社があり、世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約(FCTC)を批准していない国でもある。その一方、ジュネーブでは同条約に関する重要な会合が開かれた。
もっと読む 世界のたばこ産業が集まるスイス 規制枠組み条約への対応は?
おすすめの記事
スイスの鉄道駅、全面禁煙へ
このコンテンツが公開されたのは、
世の中には愛煙家もいれば、嫌煙家もいる。スイスでは15歳以上の喫煙率は27.1%。15~24歳に限ると31.7%と、喫煙はさらに一般的だ。
もっと読む スイスの鉄道駅、全面禁煙へ
おすすめの記事
スイス、国内4つの鉄道駅に喫煙指定ゾーンを設置
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの4つの鉄道駅に4日、喫煙指定ゾーンが登場した。国内鉄道駅のプラットホームでは全面的に喫煙が認められているが、吸い殻のポイ捨てなどマナーの悪さが度々問題になっていた。
もっと読む スイス、国内4つの鉄道駅に喫煙指定ゾーンを設置
おすすめの記事
スイスの鉄道、国内の一部駅で構内禁煙を試行
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は1日から一部の主要駅で、構内の禁煙を試験的に始めた。期間は1年間。SBBは将来的に、全ての駅を禁煙にする計画を進めている。
もっと読む スイスの鉄道、国内の一部駅で構内禁煙を試行
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。