2017年に社会奉仕勤務に従事した人の40.4%は、兵学校を終えてから転向した人だった
Keystone
スイスで兵役の代わりに社会奉仕勤務に就く人を減らすために、スイス連邦内閣は2月、八つの対策を議会に提案した。
このコンテンツが公開されたのは、
2011~17年の間、社会奉仕勤務に就く人の数は増え続けている。2018年だけで、6205件の申請が提出された。うち2264人は兵学校を卒業した軍人、350人は将校・下士官だった。
この数が多すぎると見て、連邦内閣は軍隊が要員を確保するための対策を数カ月前から検討してきた。社会奉仕活動にメリットが多すぎると、軍の規模を維持できなくなってしまうためだ。
政府は兵役に就く前に社会奉仕勤務を選択する人だけでなく、兵学校を終えてから社会奉仕に転向する人も減らしたい考えだ。2017年に社会奉仕勤務に従事した6785人のうち40.4%は、兵学校の卒業したのに転向してしまった人だった。
連邦内閣は2月20日、八つの対策案を連邦議会に提出した。例えば社会奉仕勤務としての国外派遣の廃止や、義務付ける従事日数の増加、勤務内容に制限を設けることなどだ。
度々のルール変更
社会奉仕勤務の従事者の増加を受けてスイス政府が徴兵制度の改革を検討するのは、今回が初めてではない。
2009年4月には兵役に代わって社会奉仕勤務に当たるための条件が緩和された。社会奉仕を希望する動機を書面・口頭で説明させ、委員会で審査するのを廃止した。
おすすめの記事
トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
このコンテンツが公開されたのは、
米国はスイスに課す相互関税率を39%と発表。スイス政府は「大変遺憾に思う」と表明した。
もっと読む トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
おすすめの記事
スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。
もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
おすすめの記事
温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。
もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
おすすめの記事
アルプスに新しい巨大地上絵が登場
このコンテンツが公開されたのは、
世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。
もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場
おすすめの記事
スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北部デニケン(ソロトゥルン州)のゲスゲン原子力発電所が2カ月近く、発電を停止している。給水配管システムに過負荷がかかっている可能性があり、安全性が証明されるまで発電を再開できていない。
もっと読む スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
おすすめの記事
欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
このコンテンツが公開されたのは、
欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。
もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
続きを読む
おすすめの記事
兵役
このコンテンツが公開されたのは、
在外スイス人も基本的に外国にいる限り、平和時の徴兵や兵役義務を免除される。スイスに近い国境地帯に住む在外スイス人には兵役免除に制限がある。 在外スイス人は一定の条件と手続きに従い、自主的にスイスの軍隊に参加することができ…
もっと読む 兵役
おすすめの記事
スイスで奉仕義務化案が浮上 国際法に抵触か
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民全員に社会奉仕を義務付ける国民発議(イニシアチブ)が提起されようとしている。ねらいは地域社会や環境分野での働き手の確保だ。同様の案は連邦議会でも浮上。奉仕義務を導入すれば、公職を兼職で担う「名誉職制度」が維持され、主要分野の人手不足が解消するとされる。だがこのような制度は強制労働の禁止を定める国際法に抵触する可能性がある。
もっと読む スイスで奉仕義務化案が浮上 国際法に抵触か
おすすめの記事
軍事武器が107丁紛失 紛失する武器は増加
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国防省は8日、昨年、アサルトライフル(突撃銃)とピストルが合計107丁紛失したと明らかにした。
もっと読む 軍事武器が107丁紛失 紛失する武器は増加
おすすめの記事
永世中立国スイスの「ミリメシ」最前線
このコンテンツが公開されたのは、
永世中立国スイスが世界に誇るスイス軍。その胃袋を守るコック兵は、スイス中央部トゥーンにある炊事教育専門施設「食糧訓練センター」で日夜腕を磨く。今でこそミリタリー料理は一般市民にも愛されているが、200年前は「一掴みのパンと少量の小麦粉」しか与えられない粗末なものだった。
もっと読む 永世中立国スイスの「ミリメシ」最前線
おすすめの記事
スイスで射撃の人気に陰り 国民皆兵の国に黄信号
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで、射撃の人気に陰りが見えている。国民皆兵のこの国で、銃と国民の生活は切っても切れない関係だが、国内で最近行われた射撃競技会の参加者は10年前に比べ2万人も少なかった。
もっと読む スイスで射撃の人気に陰り 国民皆兵の国に黄信号
おすすめの記事
時代の変遷に見る政治教育
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの政治教育の歴史は長い。そして、政治教育とは何かという解釈は、時代の変遷とともに変化した。その折々の政治的な環境により、国家学教育を求める声は大きくなったり小さくなったりした。
もっと読む 時代の変遷に見る政治教育
おすすめの記事
兵役を志願したスイス人女性
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで兵役義務が課せられるのは男性だけで、女性にはない。これを不公平と考えたゾエ・フライさんは、その主張が口先だけでないことを示すため、自ら兵役を志願した。数少ないスイスの女性兵士、フライさんの1日を追った。
もっと読む 兵役を志願したスイス人女性
おすすめの記事
スイス 武装した永世中立国2 スイス兵の愛国心
このコンテンツが公開されたのは、
普段は民間人として職業を持つスイス兵。市民兵などと訳されるが、兼業兵の方が分かりやすい。兼業兵により構成されるスイス軍は、その質が高いと評価される。民間企業で身につけている技術が、軍隊で生かされるからだ。 20歳に達し…
もっと読む スイス 武装した永世中立国2 スイス兵の愛国心
おすすめの記事
スイスで女性兵士の入隊が倍増
このコンテンツが公開されたのは、
女性への兵役義務化を検討するスイスだが、自ら兵役を志願する女性は年々増えている。この2年で新たに入隊した女性は2倍になった。
もっと読む スイスで女性兵士の入隊が倍増
おすすめの記事
兵役義務に圧倒的支持
このコンテンツが公開されたのは、
この結果は、投票前のアンケート調査結果とほぼ等しい。約3週間前に行われた全国調査では、回答者の63%が兵役義務の廃止に反対。軍隊なきスイスを目指す会(GSoA)によるイニシアチブに賛成した人はわずか31%に過ぎなかった…
もっと読む 兵役義務に圧倒的支持
おすすめの記事
スイス人女性にも兵役義務?
このコンテンツが公開されたのは、
今年、ドゥニ・フロワドヴォー准将が新聞のインタビューで、女性にも兵役義務を課すことに賛成だと話したことが話題になった。また3月にはウエリ・マウラー国防相が、軍隊の現代化に関する連邦議会での討論の中で、女性兵士が増えれば…
もっと読む スイス人女性にも兵役義務?
おすすめの記事
国民皆兵は時代遅れか、見習うべき成功例か
このコンテンツが公開されたのは、
「国民皆兵の廃止を求めるイニシアチブは、我が国の成功例に対する攻撃、我が軍隊に対する攻撃だ。(イニシアチブを発起した)軍隊なきスイスを目指す会(GSoA/GSsA)は兵役を廃止するだけでなく、軍隊も廃止しようとしている…
もっと読む 国民皆兵は時代遅れか、見習うべき成功例か
おすすめの記事
徴兵制支持、欧州で弱まる
このコンテンツが公開されたのは、
欧州では21世紀に入り、17カ国が徴兵制の廃止あるいは中止に踏み切ってきた。欧州連合(EU)加盟国で、強制的徴兵制を今も残しているのは6カ国のみ。軍隊を所有する欧州全43カ国の中では、3分の2近くが職業軍人による軍隊だ…
もっと読む 徴兵制支持、欧州で弱まる
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。