ワインの「指紋」からワインの産地を特定 ジュネーブ大
スイスのジュネーブ大学は5日、ワインの「指紋」から正確な産地や収穫年を100%の精度で特定することに成功したと発表した。科学誌「Communications Chemistry」に掲載された。
ワインは数千個の分子が複雑に混ざり合ってできている。分子の濃度はワインごとに異なり、ブドウの品種や栽培された土壌の性質、ワインメーカーの作業方法などのわずかな小さな違いから差が生まれ、味にも影響する。このため分子濃度はワインの持つ「指紋」と言える。
研究を主導したアレクサンドル・プージェ氏は記者発表外部リンクで、指紋から持ち主のワインを特定することは非常に困難で、「干し草の山から針を探すようなものだった」と説明する。
同大は仏ボルドー大のブドウ・ワイン科学研究所と協力し、ボルドーにある7つのワイナリーが生産した1999~2007年の12ビンテージ(収穫の年)、計80種類のワインを100%の精度で識別することに成功した。
化学分析手法の1つ「ガスクロマトグラフィー」を使って分子濃度を測定。人工知能(AI)を使った機械学習で不要な変数を削除し、2本の座標軸から成る平面に表した。その結果、3万個の座標が7つの塊に分かれ、ビンテージや産地を表していることが分かった。
気候変動や新たな消費習慣、偽造品の増加にともない、味や香りといった感覚基準ではなく化学的特徴に基づくワインの特定方法へのニーズは高まっている。ジュネーブ大の技術は、ワインの偽造防止に役立つ可能性がある。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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