ゼロ度線は、スイス西部のヴォー州パイエルヌの観測所で1日2回打ち上げられる気象観測気球を使い、専門家らが決定する
© Keystone / Jean-christophe Bott
欧州を襲った熱波の影響で、スイスでは気温がゼロ度になる高度が過去最高の標高5298メートルを記録した。 スイス気象台(メテオ・スイス)が21日発表した。
このコンテンツが公開されたのは、
気象台が X(元ツイッター)で発表した内容外部リンクによると、「ゼロ度線」の新記録は20日夜から21日朝にかけて観測された。これまでの最高記録は昨年7月25日の5184メートルだった。
ゼロ度線は、スイス西部のヴォー州パイエルヌの観測所外部リンクで1日2回打ち上げられる気象観測気球を使い、専門家らが決定する。夏のゼロ度線は通常、3~4千メートルの間にある。
気象台はゼロ度線のような等温線は、植生や積雪線、水循環に影響を及ぼし、人間、動物、植物などの生息環境にも重大な影響を与えるため、特に山岳地帯で重視される気象指標だとしている。
スイス全土を襲った熱波
スイスは先週から今週にかけて強烈な猛暑に見舞われている。気象台は20日午後に35度以上を記録。ヴァレー(ヴァリス)州シオンとジュネーブでは36度を上回った。 ヴォー州パイエルヌ、マトー、ヴァレー州エヴィオナ、ベルン州ミューレベルクも猛暑日となった。
レマン湖流域では20~21日にかけて気温が20度を下回らず夜間も暑さが続いた。特にヌーシャテル、ルガーノ、ロカルノ、チューリヒでは熱帯夜となった。
気象台は、気温や湿度などから算出した高温指標に基づいて「危険度1~5」の警報を発する。高温指標外部リンクが3日連続で90以上になると「危険度3」になる。スイスでは19~23日まで、標高800メートル以下の全ての地域に「危険度3」が出された。ティチーノ州およびレマン湖周辺は、循環不全や体調不良を引き起こす危険性がある「危険度4」となっている。
熱波は24日まで続き、最高気温は37度に達する見込み。24日からは、低地ではにわか雨、激しい雷雨の可能性もあるとされている。
英語からの翻訳:大野瑠衣子
おすすめの記事
欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
このコンテンツが公開されたのは、
欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。
もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
続きを読む
おすすめの記事
冷房と温暖化の悪循環を防ぐには?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは暑さをしのぐために扇風機やエアコンを利用する家庭が急増中だが、専門家はより持続可能な解決策を促す。
もっと読む 冷房と温暖化の悪循環を防ぐには?
おすすめの記事
スイスの「危険な暑さ」ってどんなもの?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは今週、大型の熱波に見舞われており、スイス気象台は2015年以来4年ぶりに高温警報を発した。
もっと読む スイスの「危険な暑さ」ってどんなもの?
おすすめの記事
水が豊富なスイスで渇水対策が必要な理由
このコンテンツが公開されたのは、
雪崩、洪水、熱波など、スイスは様々な自然災害の警戒システムを持つが、渇水への対応は遅れている。渇水はなぜ起こるのか。予測は可能なのか。渇水リスクが高まる中、スイスでも対策が進んでいる。
もっと読む 水が豊富なスイスで渇水対策が必要な理由
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。