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ボトックスの宣伝を厳重に取り締まり

スイスではボトックスの宣伝は禁止されている

(AFP)

スイスの法律は、処方薬の宣伝を禁止している。顔のシワ取り治療によく使われるボツリヌス菌毒素製剤もその例外ではない。

 8月29日にチューリヒの日刊紙「NZZ 」は、ボトックスを用いてシワ取り療法を行う施術者の多くが、印刷物やウェブサイトの宣伝を法律に従って訂正するよう警告を受けたと報じた。医療機関のホームページも同様の処置を求められている。

危険性の矮小化

 「ボトックス」とはアメリカの製薬会社が作ったボツリヌス菌毒素製剤を指し、神経を麻痺させる効果がある。本来は筋肉のけいれんなどの病状を治療するために製造されたものだが美容目的のために使用する場合は、施術者がたとえ医療機関であろうとも宣伝規制から免れることはできない。
 
医薬品に関するスイス連邦法の第32条は、「消費者を対象とした医薬品の宣伝は、その医薬品が処方箋を必要とする場合、違法である」と規定している。実際に消費者がボトックスの処方箋を入手するわけではないが、ポイントは、ボトックスを店頭で販売してはならないこと、そしてそれを使って治療するのが医師でなければならないことだ。

 医薬品の服薬規定の順守は「スイスメディック( Swissmedic/The Swiss Agency for Therapeutic Products ) 」が監督している。チューリヒのエステティック・サロン「ボディ・エステティック ( Body Esthetic ) 」のハリー・シャラー氏は、当局の認可が下りるまで、サロンのウェブサイトを数回変更しなければならなかったとチューリヒの日刊紙「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング (Neue Zürcher Zeitung/NZZ ) 」に語った。

 一方スイスメディックの製薬市場管理部の部長キャトリン・マニグレ氏は、
 「ボトックスを使用した治療の危険性が矮小化されている場合、われわれは介入しなければなりません」
 とNZZ紙に明言している。

ビフォー&アフター

 チューリヒにある「クリニック・ウトケ ( Clinic Utoquai ) 」の医師クリストフ・クリスト氏は、スイスメディックは美容を目的としたボトックスの使用を許可しているが、医者がその宣伝をすることはできないと説明した。

特にボトックスの試用前と使用後のイメージ写真を宣伝として顧客に見せることは禁止されている。
 「細かいことに少々こだわり過ぎていると思います。治療の効果がどのようなものかを見ることができないのは顧客にとって問題です」

 クリスト氏のクリニックのウェブサイトに載っているシワ取り治療の説明は非常に簡潔なものだが、治療を考えている希望者はクリニックを訪問して写真を見せてもらうことができる。

 クリスト氏は、今回の厳重な取り締まりが始まったのは、ボトックスによる治療を予約なしでも行う新しい医療機関が出現したことが理由の一つだと指摘する。予約を入れる必要がないため、ボトックスを使った治療について十分に考慮しないまま気軽に治療に立ち寄る人々が増えた可能性があると分析する。クリスト氏のクリニックは整形手術を専門としており、ボトックス注射も12年前から行っている。

ナンセンス

スイスメディックがとりわけボトックスの宣伝の規制を望んでいることは驚くべきことではない。スイスメディックは、化粧品業界もボツリヌス菌の強力な神経毒素から作られた薬剤を使用していないと指摘している。
 
「われわれの観点から言うと、深刻な副作用を起こす可能性のあるボトックスの使用はナンセンスです」
と広報担当のヨアヒム・グロス氏は言う。2008年にスイスメディックはボトックスの副作用について正式に警告を発している。

 ボトックスの有害な副作用として、ノドの部位に使用された場合に起きる嚥下 ( えんげ ) 障害や呼吸障害、血流に多量の毒素製剤が入った際に起きる麻痺や窒息などが挙げられる。

また動物愛護家も、ボトックスをテストするために毎年何十万匹ものマウスが苦痛を伴う緩慢な死を強いられていると批判している。

賛否両論

 アメリカでは、長い間処方薬のふざけたテレビコマーシャルが茶の間の笑いを誘っていた。しかし近年では、当局と消費者の両方が宣伝の問題と薬品の副作用の可能性の問題を以前よりも真剣に注目している。

 例を挙げると、近ごろアメリカの議員が、新薬および性的能力を高める効能があるとする薬品の宣伝に対する規制を求めた。また今年の年初には、米食品医薬品局 ( FDA ) が処方薬の宣伝についての新たな基準を提案している。

 現在欧州連合 ( EU ) では、処方薬の消費者に対する直接広告が禁止されているが、もうすぐ変わるかもしれない。欧州議会の加盟国は、処方薬について患者が求める「情報」を提供するために宣伝の規制緩和を求めるという物議を醸しだした法案を9月に評決する予定だ。この結果によっては、処方薬の消費者への直接広告の禁止が撤廃されることになるかもしれない。

スーザン・フォーゲル・ミシカ 、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳 笠原浩美 )

動物虐待

ボトックスの製造は動物実験を伴うため論争を呼んでいる。
一定量のボトックスを製造するために、マウスを使った実験が研究所で行われる。実験で使用されるマウスの半数を死に至らせる「半数致死量 ( LD50 ) 」が的確な強度の基準と定められている。
マウスの腹部に皮下注射を行うと、3~4日の間に視力障害、筋肉の麻痺、呼吸障害がおき、最終的にマウスは窒息死する。生き残ったマウスは実験には使えなくなるため、通常は毒ガスで殺処分される。
「動物実験に反対するドイツ医師団 ( Doctors Against Animal Experiments Germany ) 」は、ボトックスの製造のために世界中で毎年最低60万匹のマウスが殺されていると推計する。また、今後即効性のシワ取り治療の人気が急上昇し、患者数が増加すると予測している。
ヨーロッパでは化粧品の製造のための動物実験は禁止されているが、ボトックスは病気治療を目的として製造されているため、メーカーは規制を回避することが可能だ。

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