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哺乳瓶からのBPA摂取量 予想外の多さ

哺乳瓶に含まれるBPAは乳児の健康を損なうと考えられる swissinfo.ch

一部の哺乳瓶には多量のビスフェノールA ( BPA ) が含まれているため、体重の軽い乳児はほかの年齢層よりBPAによる健康被害が大きいという研究結果を、連邦工科大学チューリヒ校が発表した。

このコンテンツは 2010/04/17 15:25

実際に乳児の体内で検出されたBPA量はヨーロッパ基準より低いものだったが、問題は長期にBPAを摂取した場合の研究がまだ十分ではないことだという。

主なBPA摂取経路は食品

透明なポリカーボネートのプラスチックの哺乳瓶に含まれるBPAは、電気・医療機器を始め日常のあらゆるところに使用され、ジュースなどの小型の缶や缶詰の内部の表装にも使用されている。また、最終結論は出ていないが、BPAは肥満、がん、甲状腺系の病気、遺伝子変異を引き起こすとも言われている。

「BPAは人間の発育に大きな影響を及ぼす物質と考えられている。つまり、内分泌線の働きを阻害する化学物質とされている」
と連邦工科大学チューリヒ校 ( ETHZ/EPFZ ) の研究者ナタリー・フォン・ゲェッツ氏は話す。

また、哺乳瓶のミルク内のBPA量や、缶詰の食品中、空気、埃などの中のBPA量などを比較した結果、主なBPA摂取経路は食品で、容器から食品に移行したものを取り入れる形が一番多いという結論に達した。
「例えばトマトの缶詰の中に大量のBPAが発見されたが、1人でこれを食べた場合、摂取すると思われる量を計算していった」
とフォン・ゲェッツ氏は説明する。

高い数値

こうした換算方法を用いながら、あらゆる年齢層をトータルに研究した結果、最もBPA摂取量が高いのは生後6カ月未満の乳幼児だと判明した。
「乳幼児の化学物質摂取量が高いという経験はこれが初めてではない。体重の軽さに比べ摂取量が多いため当然だ。しかしBPA摂取量がこれ程高い数値を示すとは思っていなかった」
とフォン・ゲェッツ氏は言う。

欧州食料安全機関 ( EFSA ) はBPAの1人あたりの1日の摂取量を、体重1キログラムに付き50マイクログラムまでと限定している。これはアメリカでも同じだ。

実はチューリヒで検出された量は0.8マイクログラムに過ぎなかった。しかしフォン・ゲェッツ氏によれば、そもそも50マイクログラムという上限が高すぎるのだという。
「欧州食料安全機関がこの上限を定めて以来、 BPA の毒性に関する研究が多く行われた。しかしホルモン研究はその解釈が非常に難しく、そのため欧州食料安全機関はホルモン研究の成果を健康被害として考慮に入れていない」
と批判する。

動物でのBPAのホルモン作用研究多種

一方、連邦内務省保健局 ( BAG/OFSP ) のオットマー・ツォラー氏はEFSAの50マイクログラム基準を守り
「われわれは欧州食料安全機関の判断が正しいという立場を取っている。また現在のところ、子どもに対するBPA の長期的被害の研究は存在していない」
と言う。

これに対しカナダは、2008年にBPA を人体と環境にとって有害な物質と規定し、以降BPAに制限を加える政策を取っている。BPAを含む哺乳瓶の輸入を制限したのもその政策の一環だ。しかしツォラー氏は、
「カナダはやり過ぎだ。こうした政策を行うに足るデータはまだ揃っていない」
と反論する。ただ、保険局としては消費者に対し、ガラスの哺乳瓶を使用することを勧めてはいる。

動物でのBPAのホルモン作用とその毒性に関する研究はすでに多数出版されている。世界保健機関 ( WHO ) は次のように報告する。
「さまざまな研究結果が出ている。実際に観察された結果や、地域、レベルの違うものなどさまざまだ」
また、こうした多様な研究結果は専門家の間に大きな論争を引き起こしているという。

そのため今年末にはWHOは国連食糧農業機関 (FAO)と協力しカナダでBPAの毒性と健康への作用を見直す会議を開催する予定だ。
ただ、この会議で世界的にBPA禁止が達成されることになっても
「BPAを市場から追放するには20年はかかる。また、環境から完全に取り去るにはさらに長い年月がかかる」
とツォラー氏は悲観的な見方をしている。

クラレ・オデア、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、里信邦子 )

ビスフェノールA ( BPA )

ビスフェノールA とは、ポリカーボネートと呼ばれるプラスチック製品の原料として使われる単量体(monomer)。
電気機器、医療機器、哺乳瓶、缶詰など食料のパッケージ、水道管の裏張りなど、日常生活のあらゆる場面で使用されている。
世界中で毎年、およそ300万トン生産されている。
ポリカーボネート製の食器、容器からビスフェノールAが飲食物に移行し、食品を通じて摂取される。またこれ以外にも、水、空気、さらに歯の治療に使われる詰め物などからも摂取される。

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