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鵜をめぐって対立

スイスの鵜 imagepoint

最近になって、自然保護区になっているヌーシャテル湖から鵜 (う) を追い出し、卵に油を塗って羽化前に殺すことが認められるようになった。

このコンテンツは 2010/04/14 15:22

鵜が、魚の脅威となっていると漁業協会は主張する。一方、鳥を保護する協会「バードライフ( BirdLife/SVS )」はこれに反発し、両者は対立。問題は未解決のままだ。

6000羽で魚を食い尽くす

鵜はスイスに渡ってくる水鳥で、潜水が得意。賢く環境に適応する能力が高いことで知られている。卵はスイスで生まない習性だったが、昨年は、ヌーシャテル湖周辺に集中して、547組がつがいとなった。

そのヌーシャテルで、鳥保護派と追放派の意見が激突している。鵜はヌーシャテル湖のほか、コンスタンツ湖にも生息するが、繁殖するのは主にドイツで、スイス国内ではなかった。

スイス漁業協会 ( SFV/FSP ) のロラント・ザイラー会長は
「6000羽の鵜が冬をここで過ごし、1羽が1日に500グラムの魚を食べます。その中に、絶滅の危機にある魚も含まれているのが問題なのです」
と解説する。しかし、この問題も冬季は鵜を狩ることが許され、数を調整できるため解決できていた。
「今問題になっているのは、スイスで鵜が卵をかえすようになったことです。例えばヌーシャテル湖のファネル( Fanel ) 島といった鳥の保護地域でほとんどの親鳥が卵を温め、漁師が張った網から魚を取って食べたり、網を壊したりしているのです」
とザイラー氏は言う。漁師1人が被る損害は年間5000フランから6000フラン ( 約44万円から52万円 ) に及ぶという。

自然の破壊が原因と主張

一方バードライフは、鵜が不当に悪者にされているのであり、深刻な問題の原因を作っていることはないと主張する。
「鵜が湖に住む珍しい魚の絶滅の原因になっているというのは間違っている。また、猟師の網から鵜が魚を奪うというのも正しくない」
とバードライフのヴェルナー・ミューラー会長は語る。もっとも、鵜が網を破ってしまうことは認めた。

ミューラー氏は、国際的にも意味のある渡り鳥の水鳥である鵜が、急に保護されなくなることはおかしいという意見だ。川で魚が繁殖しなくなったのは、その生息域の自然が壊されていることが第一の原因だと指摘する。
「魚が川で産卵できなくなったのは、河川が運河として工事されてしまっているから。また、水力発電が多く建設され、魚の通り道がふさがれてしまっているからです」
と言う。今後も水力発電所の建設が多く計画されている上、温暖化も影響があるというのだ。

許可に賛否両論

今年3月15日、ヴォー、ヌーシャテル、フリブール/フリブルクの3州が鵜対策を連邦環境省環境局 ( BAFU/OFEV ) に提出したところ、許可された。ヌーシャテル湖北東にあるフェアネル島付近の保護地区に限り、巣を取り外したり、羽化しないように卵に油を塗ったりすることが認められた。実際には、昨年7月1日から、水鳥・渡り鳥保護条項が改正され、こうした措置は可能になっていた。各州の担当局の管理の下、鵜の数の制限対策が2011年末まで行われるはずだった。

ザイラー氏は、環境局の認可は、自然保護地域に生息する全部の鳥が保護されなくなるということではないという意見だ。
「数の調整です。自然が数を調整できないのなら、人間がしなければならない」

3月25日、環境局が認めた鵜対策については異議申し立てができないと決定したことに対し、バードライフは異議申し立てを行った。行政裁判所は4月7日、異議申し立てを認める判決を下した。つまり、鵜対策に反対する訴えに対する判決が下るまで、鵜対策はできないことになった。これからバードライフが異議申し立てを行うか否かは、現在検討中という。

連邦議会でもこの問題について審議された。全州議会 ( 上院 ) は、国は漁師の網の被害を補償しないが、鵜の保護期間を短縮するという代案を支持している。

エヴェリン・コブラー 、swissinfo.ch
( 独語からの翻訳、佐藤夕美 )

鵜 ( う ) 対策に関連する提案

連邦全州議会 ( 上院 ) は内閣の意向に沿った形で、鵜対策に関連する条項を改定することを決定した。
国民議会 ( 下院 ) と同様、全州議会も鵜の保護期間を3月1日から8月31日までと短縮する案を支持したが、全州議会は網の政府保証については職業一般のリスクの範疇 ( はんちゅう ) に入ると反対している。国による保証は、好ましくない先例を作ることになるという理由を挙げている。一方、漁師が鵜を銃で脅すことを認めた。一部修正された提案は、国民議会で再審議されることになっている。

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