抗原簡易検査では、PCRで陽性だった無症状患者の44%しか陽性反応が出なかった
© Keystone / Gaetan Bally
新型コロナウイルスの検査について、PCR検査で陽性と判定された141人のうち、抗原簡易検査では3分の2しか陽性反応が出なかった。
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無症状患者に限るとさらに精度は落ち、PCRで陽性だった人の44%にとどまった。
国際感染症学会誌に掲載されたベルン大学とベルン大学病院(インゼル病院)の共同研究外部リンクで明らかになった。同研究チームは25日、検査キットの製造者が公表したデータから大きく外れていると指摘外部リンクした。
研究チームは、ロシュ製の抗原簡易検査の臨床現場での精度を初めて調べた。特別な訓練を受けた専門家が採取した検体を、PCR検査と同社製抗原検査の両方で判定した。
1465人を検査したところ、PCR検査では141人(9.6%)が新型コロナウイルスに感染していたが、抗原簡易検査では95人(6.4%)だった。研究チームは、特に検体の採取において、現場での精度はさらに低い可能性があると指摘した。
研究は「このような環境で広く(抗原検査が)利用されると、かなり多くの人が誤ってコロナ陰性と分類される可能性がある」と結論づけた。
研究によると、現在スイスでは週に推定13万件の簡易検査が実施されている。約18%が陽性と判定されており、約2万3400人は正しく判定されているが、1万2400人は誤って陰性に分類されている計算になる。
研究を主導したインゼル病院のマイケル・ナグラー氏は「抗原検査がパンデミックを封じ込めるのではなく悪化させているリスクがある」と指摘。「現在利用できる抗原簡易検査は、新型コロナ対策の一環としてのみ活用する必要がある」と結んだ。
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