ドナーから心臓が提供されるまで患者は平均して約1年待つ
© Keystone/Gaetan Bally
スイスで臓器提供に関するキャンペーンが開始された。臓器提供の重要性について意識を高め、登録者数を増やすことを目的とする。キャンペーンは3年間実施され、政府の予算は350万フラン(約3億9千万円)。連邦内務省保健局が25日明らかにした。
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昨年、臓器提供者の登録数が記録的に伸び、住民100万人あたり18.6人が登録した。当局は2021年までに22人に増やすことを期待している。
連邦内務省保健局によれば、スイス国民の約8割が臓器提供を支持しているが、実際にその意思を家族に伝えている人はごくわずかだという。
キャンペーン運営者は、死亡者本人が臓器提供に同意しているか不明の場合、家族が困難な状況に直面する可能性があると警告している。
17年に臓器提供を促進するイニシアチブ(国民発議)が立ち上げられ、その1年後の去年10月、非営利団体スイストランスプラント(Swisstransplant)は臓器提供者のオンライン登録を開始した。現在、スイスは本人があらかじめ臓器提供の意思を明確に示した場合のみ、臓器移植を行える「オプトイン方式」を採用しているが、国民投票で可決されれば原則として本人が拒否していた場合を除き、全ての人を潜在的ドナーと見なすことが出来る「推定同意方式」を取るようになる。
≫スイスは「推定同意方式」で臓器提供不足に終止符を打てるのか?
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臓器提供をする意志を明確に表示している場合のみ臓器摘出が行われる「オプトイン」方式が採用されているスイスでは、医師が患者の合意を得るのが難しい。一方、他のヨーロッパ諸国では、本人がはっきり拒否していた場合を除き、原則的にすべての人を潜在的ドナーとみなす方針が主流だ。しかし、倫理学者はこの方針に反対している。医療現場の意思決定という厳しい現実は倫理的見解と折り合いをつけられるのだろうか?
スイスは世界屈指の富裕国で、医療資源も他の多くの国に比べてかなり潤沢だ。とは言え、スイスにおける臓器の需要はこれまでになく高い。臓器提供に賛成する非営利団体スイストランスプラント(Swisstransplant)によると、スイスの移植待機リストに載っている人の平均2人に1人が、臓器を待ったまま毎週亡くなっているという。
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