おすすめの記事 スイス、脱原発と省エネへ 国民投票で可決 このコンテンツが公開されたのは、 2017/05/21 今回可決された「新エネルギー法」は、エネルギー転換を目指す改正法案で、「エネルギー戦略2050」をベースとし、スイス国内にある原子力発電所5基の稼動を順次停止しながら、原子力発電所の改修や新設を禁じる内容となっている。… もっと読む スイス、脱原発と省エネへ 国民投票で可決
おすすめの記事 スイスの政治 「経済と信頼の危機は民主主義の再評価につながる」 このコンテンツが公開されたのは、 2017/05/19 欧米諸国でポピュリストが台頭している。ドナルド・トランプ米大統領、仏大統領選の決選投票に進んだマリーヌ・ルペン氏、オランダ自由党のヘルト・ウィルダース党首、英国独立党の元党首ナイジェル・ファラージ氏、コメディアンでイタリアの政治家ベッペ・グリッロ、ハンガリーのオルバン・ビクトル首相、レフ・カチンスキ元大統領、そしてスイスの右派・国民党政治家クリストフ・ブロッハー氏。民主主義は危機にさらされているのか。我々は彼らとどう付き合うべきなのか。スイスにおける政治学の第一人者、ハンスペーター・クリエジ氏に話を聞いた。 スイスインフォ: 英国が予想に反して欧州連合(EU)離脱を選んだ背景には、英国が毎週3億5000万ポンド(約514億円)をブリュッセルに送金しているという架空の数字が大きく影響したと言われます。なぜこれほど重要な国民投票で、反EUのポピュリストたちは嘘の情報を使って勝利できたのでしょう。 ハンスペーター・クリエジ: 数字は確かに間違っていた。しかし、それが決定的要因だったかどうかは疑わしい。嘘の情報どうこうよりも、もともとエリート層を含めた英国民全体がEUに懐疑的だったことが大きい。特に保守党内で意思統一が図れなかったことは決定的だった。 もっと読む 「経済と信頼の危機は民主主義の再評価につながる」
おすすめの記事 スイスの政治 闇に包まれた医師の収入 このコンテンツが公開されたのは、 2017/05/14 スイスでは開業医の給与は2009年以降、公表されていない。しかし、医療費を抑制するためにも、その透明化の必要性が求められている。 現時点で最新とされる2009年のデータによると、開業医の平均年収は児童青年精神科医10万7千フラン(約1214万円)、一般開業医19万8千フラン(約2247万円)、整形外科医26万1千フラン(約2961万円)、放射線科医34万フラン(約3859万円)、眼科医34万5千フラン(約2916万円)。 もっと読む 闇に包まれた医師の収入
おすすめの記事 スイスの政治 在スイス日本大使館に東京五輪で環境に配慮した木材使用を訴える このコンテンツが公開されたのは、 2017/05/11 ブルーノ・マンサー基金は、マレーシアのプナン族の代表団が10日、「熱帯雨林破壊」を食い止めるべきだとして3千人以上が署名した請願書をベルンの在スイス日本大使館に提出したと発表した。スイス・バーゼルを拠点に熱帯雨林の保護に取り組む同基金は、2020年東京五輪のために熱帯雨林が犠牲になってはならないと訴える。 大使館に提出された請願書は、東京五輪の会場建設には厳密な検査により、その持続可能性と合法性、人権の遵守が認められた木材を使用することを求めている。 マレーシア・サラワク州ロング・サイット村のプナン族旧首長、ビロン・オヨイさんは在スイス日本大使館に請願書を手渡す際、進む森林減少を憂慮し「私たちの森林はすでに伐採され、残る木々は僅かです。残された私たちの熱帯雨林の保護にどうか力を貸してください」と話した。 もっと読む 在スイス日本大使館に東京五輪で環境に配慮した木材使用を訴える
おすすめの記事 スイスの政治 韓国の政権交代、スイス各紙は革新への期待を報道 このコンテンツが公開されたのは、 2017/05/10 スイス・ドイツ語圏の主要紙NZZは、「文大統領が、朴槿恵(パククネ)前大統領とは対照的に、より北朝鮮と歩み寄る姿勢を示した」と報道した。米国と対照的な外交政策のスタンスとなりえるのではないかとの疑問を投げかけつつ、「北… もっと読む 韓国の政権交代、スイス各紙は革新への期待を報道
おすすめの記事 スイスの政治 閣僚用の核シェルター このコンテンツが公開されたのは、 2017/05/09 第二次世界大戦時、ナチスドイツが攻め込んできた時に備えて、「トップシークレット」である閣僚用の核シェルターが、ウーリ州の小さな村アムシュテークに建設された。公式には「防備施設1102」と呼ばれた。ヨスト・アウフデアマウアー氏の近著「Die Schweiz unter Tag(地下のスイス)」では、岩壁の中の政府官邸ができるまでの歴史を写真とともに紹介している。 もっと読む 閣僚用の核シェルター
おすすめの記事 スイスの政治 戦争遺跡の核シェルター、閣僚には個室も このコンテンツが公開されたのは、 2017/05/09 スイスの地下には驚くような世界がある。敵襲から身を守るために作られた核シェルターが国のあちこちに広がっているからだ。通行可能な空間を一列に並べると全長約3780キロメートルのトンネルになる。これはチューリヒからイラン・テヘランに至る距離で、国の領域に対する比率でみれば世界に類を見ない数字だ。ジャーナリストのヨスト・アウフデアマウアー氏が4月末、国内にある地下施設の記録をまとめた著書「Die Schweiz unter Tag(地下のスイス)」を出版した。その中には、連邦政府閣僚用の個室が備わった豪華な施設も紹介されている。 同書に掲載された12件のルポルタージュには、資産の保管部屋や水力発電所、ハイテクな実験室、病院、トンネル、秘密の洞窟に加え、閣僚のために作られた「トップシークレット」の地下施設など、興味深い内容が収められている。さらに面白いのは、地下施設の建設から垣間見えるスイスの特異な世界観があぶり出されている点だ。 国内最大の地下施設 スイスの地下世界は素晴らしく、また風変りでもある。同書によれば、国内には個人用の核シェルターが36万戸、大規模なものは2300戸あり、非常事態には全住民を収容してもまだ余裕がある。都市全体が地下にそっくりそのまま避難できるというわけだ。これらの大規模な防護施設は今も残り、中に入ることもできる。 多くの観光客が訪れる古都ルツェルンの地下には、世界最大級の住民用避難施設ゾネンベルグがある。1976年に稼働したこの施設は、第三次世界大戦に備えて6年かけて建設された。収容可能人数は2万人。アウフデアマウアー氏は「この核シェルターを爆破したら、ルツェルンの半分が吹っ飛ぶ」と熱弁をふるう。同氏はまた「スイスは地下に向かって開拓している」と説明する。 スイスは世界を信用していないのか アウフデアマウアー氏は、この国の隠れた特異性をあぶりだす優れた観察者であり、またその特異性に一定の尊敬を抱いている。スイスの世界観や国民意識は巨大な地下建築と密接に関係し、同書ではこうしたスイスの精神をつまびらかにしている。スイスの地下世界は「地上の世界」に対する同国の心理的反応ともとれるというわけだ。 アウフデアマウアー氏は同書で、文字通り地下深くに目を向けるだけでなく、地下施設と密接に絡み合った国の精神の歴史を深く掘り下げた。スイスはこれほど未来を信用しないのか。大規模な地下施設を目にすればそんな疑問が浮かんでくる。同氏は著書の中で「たとえそうであっても、私はずっと、この地下世界に足を踏み入れたかった。これこそ典型的なスイスの姿であり、隠れた特異性だからだ」と語る。 岩の中の政府官邸 同書では1章を割いて、ウーリ州の小さな村アムシュテーグに建設された、閣僚用の核シェルターを紹介している。 岩盤をくりぬいて作られた設備は驚くようなものだ。もともと第二次世界大戦中、閣僚が「石造りの中枢」に避難できるようにと建設された。同書では「広さは3千平方メートルで、2階建て構造に居住区とオフィススペースがあり、山中に政府官邸も備えられている」と紹介されている。必要な機能と快適さを完備したこの核シェルターでは、寝室を3つのランクに分けている。個室は閣僚用、2人部屋は政府職員、大部屋はその他のスタッフ用、という風にだ。 この地下施設は2002年に「ただ同然で」売却された。同書によると、新しい所有者は核シェルターを金庫に変え、海外の顧客向けに「金、銀、プラチナ、レアアース、現金、芸術作品、ダイヤモンドや貴金属」を保管。「厄介な財政当局の査察が入る心配がない」のを売り文句にしているのだという。 死者1万人 アウフデアマウアー氏は歴史的な批評に加え、スイスの特異性を細部まで見つめる目を持つ優れた語り手であるだけでなく、ジャーナリストでもある。同氏は「バンカー建設に当たり、1万人が死亡したのは間違いない。少なくとも5万人が生命を脅かされた」と指摘し、「戦時中のような(死者の)数だ。私たちのためにこの『戦い』に生死をかけたのは外国人であり、ここを追悼と感謝の地としてもよいくらいだ」と語る。 (ヨスト・アウフデアマウアー著「Die Schweiz unter Tag(地下のスイス)」、図解付き全144ページ、発行元Echtzeit-Verlag) もっと読む 戦争遺跡の核シェルター、閣僚には個室も
おすすめの記事 スイスの政治 投票年齢の引き下げ、グラールス州に密かな進展 このコンテンツが公開されたのは、 2017/05/05 スイスアルプスの住民たちには勇気がある。スイス東部グラールス州では10年前に、住民投票で投票年齢が18歳から16歳に引き下げられたからだ。このように民主主義を拡大したのは現在もスイスでこの州だけだ。投票年齢の引き下げにより、やる気に満ちた若い政治家が続々と誕生している。 冷たい雨の降る春のある日、レアナ・マイヤーさんは州と同じ名前の州都グラールスのツァウン通りで、小型バイクを力強く押していた。14歳の彼女は1カ月前に免許を取得。投票や選挙に参加するにはあと「2年だけ」待たなければならないが、彼女に与えられるこの投票権は特別なものだ。なぜなら、グラールス州ではスイスで唯一16歳から投票ができるからだ。この制度は2007年5月6日から導入された。 違う状況にいるのが、グラールスの青少年センターで同級生のルシアさんとテーブルサッカーで対戦していたラウラさんだ。高校生の彼女は16歳になったばかり。有権者としてこれから初めて政治に参加する。「投票権を得たということは信頼された証。これは特権だけれど、その分、責任も重い」と語る。 投票年齢ないしは選挙年齢の引き下げは現在、世界中で議論されている。この議論を活発にさせている理由の一つは、ランツゲマインデ(青空集会)という制度を持つグラールス州にある。ランツゲマインデは前近代的な集会民主主義の制度であり、直接民主制の一つの形だ。果たして、07年の住民投票で僅差で可決された投票年齢の引き下げは、グラールス州に変化をもたらしたのだろうか?若者の投票は増えたのだろうか?住民投票で革新的な案がより多く可決されるようになったのだろうか? 社会民主党青年部グラールス支部は05年、16歳投票権の導入案を住民投票にかけようとしていたが、その際に理想とした若者のイメージがあった。それは様々なことに興味があり、活動的で、政治に積極的に参加しようとする若者だった。そのイメージにぴったり当てはまるのが、パスカル・ヴィシャール氏だ。自由緑の党グラールス州支部を3年前に友人と立ち上げ、現在は同党州支部代表および自由緑の党青年部共同代表を務める。さらに、10代の若者に州の政治を体験してもらう目的で、グラールス州青少年議会を運営している。 大きな推進力 「投票年齢が16歳に引き下げられたことで、私自身の政治への参加意欲がすごく沸いた。また、この住民投票結果を私は誇らしく思う。グラールス州はスイスではどちらかと言うと後進的なイメージがあるからだ。住民が16歳投票権に賛成したことは革新的だし、この地域でも政治的に何かを動かせることが証明された」と、現在ザンクト・ガレン大学で経営学の分野で博士論文を執筆中のヴィシャール氏は言う。 スイスには26州あるが、グラールス州は他の州と一味違う。同州では法改正は昔からランツゲマインデで決められている。年に1度、5月最初の日曜日に何千人もの州民が州都の中心にある大広場「ツァウンプラッツ」に集まり、投票を行う。投票は挙手で行われ、皆の目にさらされる。秘密投票は存在しない。多数決の結果はランダムマンと呼ばれる州知事が判定する。 グラールス州はスイスの中でも小さな州に属する。スイスの中心に位置し、険しく切り立つグラールス・アルプスの谷間に約4万人が暮らす。有権者数は2万6500人。そのうちの一人が32歳のマルコ・キストラー氏だ。彼も投票年齢に関する議論に触発され、05年頃から政治活動を行うようになった。そして06年、16歳投票権よりも画期的な案をランツゲマインデで可決に導いた。それは、同州に25あった自治体を合併して三つの大型の自治体に編成するというもので、現代のスイスで他に例を見ないことだった。 この成功に勢いづき、若き社会民主党党員のキストラー氏は州議会議員に選ばれた。09年には保守派の政治家6人の支援を受け、新しくできた大型自治体「北グラールス」の参事会メンバーに選出された。それ以降も、「私たちの社会には根本的な変化が必要だ」と確信する同氏の活躍は終わりを見せない。ここ数年間は、社会問題に関する提案の推進キャンペーンを指揮。これらの提案が国民投票で可決されることはなかったが、世間で激しい議論を巻き起こし、同氏の名が知られることとなった。同氏が関わった提案の一つは「1対12イニシアチブ」と呼ばれるもので、そのねらいは行き過ぎた給料格差を縮めることだった。 伝統と進歩はグラールス州では一見矛盾しているように見える。ランツゲマインデでは前近代的な慣習やしきたりが重んじられている。例えばランダムマンは時間通りに行進し、集会中は古い剣で体を支えなくてはならない。集会の締めくくりには参加者同士で子牛のソーセージを食べることも慣習の一つだ。しかし同時にグラールス州の有権者は新しいことにもオープンでいる。 バーゼルとフリブールでも 投票年齢を16歳に下げたものの、グラールス州はグラールス州のままだ。ある人は恐れ、またある人は望んだ変革は訪れなかった。ただ、民主主義の形がある意味「進化」したと言える。 スイスの隣国オーストリアでも08年から、16歳から18歳までの若者も年上の人たちと同じ目の高さで政治問題に関わることができる。ある学術研究によると、オーストリアでは投票年齢の引き下げにより若者の政治への関心が高まったが、他方で投票行動にはほとんど違いが見られなかった。 投票年齢の引き下げはスイスのほかの地域でも検討されている。バーゼルラント準州では今秋、社会民主党青年部による同様の提案が住民投票にかけられる。フリブール州でも基礎自治体で16歳投票権を導入する案が議論されている。同州政府は、投票年齢を引き下げれば政治に活気がでるとみている。 連邦レベルの著名政治家も投票年齢の引き下げに賛成している。連邦閣僚のディディエ・ブルカルテール外相はこう語る。「16歳投票権には賛成だ。スイスという運命共同体に対し、若者の間で責任感が強まるからだ」参政権拡大への長い道のり イランは革命で皇帝を追放後、選挙年齢を大胆にも15歳に引き下げた。しかしそれに追随する国はなく、イランの選挙年齢は2007年に再び18歳に引き上げられた。18歳選挙権は現在、世界的にスタンダードとなっているが、日本では最近になって導入された。 投票年齢の引き下げは世界中で段階的に行われている。1950年頃までは20歳投票権がほぼどの国でも適用されていたが、その後投票年齢は18歳に引き下げられ、現在ではさらに16歳に引き下げることが議論されている。スイスのグラールス州とオーストリアのほか、スコットランド、マルタ、ドイツの数州では16歳投票権がすでに導入されている。スカンジナビア諸国でも活発に議論されており、特にノルウェーでは基礎自治体レベルでの投票年齢引き下げが試験的に行われている。 筆者について コーラ・プファッフェロットは国際NGOデモクラシー・インターナショナルの広報担当で、スイス民主主義基金の事務局長を務める。 ブルーノ・カウフマンはスイスインフォの民主主義分野の特別顧問を務める。 もっと読む 投票年齢の引き下げ、グラールス州に密かな進展
おすすめの記事 スイスの政治 スイスの大学、難民対象に体験授業 このコンテンツが公開されたのは、 2017/05/03 スイスの大学では学生組合が中心となって、難民が大学の授業を体験できるよう様々な取り組みが行われている。だが、スイスの大学に正式に入学するための条件は厳しく、多くの難民にとって学位の取得はまだ実現しそうにない。 ある難民は、自分がスイスに行き着くなど思ってもみなかった。彼はジンバブエを出発した飛行機の中で、自分がその国について知っていることがあるかを考えてみた。しかし思い浮かぶことはあまりなかった。 「チョコレートの国ということは知っていた」と、難民のマンボ・ムホズイェニコノさんは話す。故郷を逃れた彼は、匿名を条件に取材に応じてくれた。チューリヒ近郊に暮らし始めて7カ月が経つ。 飛行機に乗ったその日、彼はスイスで英語が通じるかどうかわからず、不安だった。 もっと読む スイスの大学、難民対象に体験授業