人気シューズ「オン」にスイス国旗マークを付けるのは妥当? 連邦裁判所が判断へ
スイスのシューズメーカー「オン」の靴にスイス国旗マークをつけることが許されるかどうか、同社とスイス知財機関との間で紛争が生じている。同社製シューズはベトナムやインドネシアで製造されており、「スイス製」と言えるか怪しいためだ。
オン社とスイス連邦知的所有権機関(IGE/IPI、日本の特許庁に相当)および官民執行機関「スイスエンフォースメント協会(SEA)」が3日、会合を開き、スイス国旗マークが何を意味するかの判断をスイス連邦裁判所(最高裁)に委ねることを決めた。オン社がスイスの金融系通信社AWPに語った。
ドイツ語圏の大手日刊紙NZZは、連邦裁の判断はオン社がスイス国内で販売する製品にも国旗マークを使用できるかどうかの先例になると伝えた。
スイスはブランド力を守るため、製品にスイス国旗マークを付けていいかどうかを厳格に規制している。工業製品外部リンクの場合、製造コストの60%がスイス国内で発生していること、本質的な加工がスイスで行われていることが要件となる。
オン社製品はベトナムやインドネシアで製造されており、スイス国旗マークを使用していることが数年前から批判の的になっている。SEAはスイス法に違反すると主張するが、オン社は研究開発やデザインは300人以上を雇用するチューリヒ工場で行われていると反論する。
オン社は妥協として、スイス国内で販売するシューズからは国旗マークを削除し、国外販売品にのみマークを付けている。国外の知財当局にはマーク削除を命じる権限がないからだ。
だがスイスの大衆紙ブリック外部リンクによると、IGE/IPIとSEAが中国の市場監視当局に通報したと報じた。両機関は報道を否定し、両機関は調査を開始したにすぎず、中国当局は職権で介入したものだと説明した。
AWPはオンとSEA間のやり取り(連邦閣僚も関与)を入手したが、詳細はつかめなかった。
連邦裁判所が判断へ
オン社は5日に事案をスイス連邦裁に持ち込むことを再度提案し、IGE/IPIとSEAに中国当局への通報を取り下げるよう求めた。AWPの取材に「IGE/IPIとSEAの中国での行動は破壊的だ」と語った。
オン社によると、IGE/IPIとSEAはオン社の提案を歓迎し、受け入れるかどうかを内部で決定したいと応じた。「スイス国旗が何を意味するのか、連邦裁に決めてもらう」方針だという。
オン社に有利な判決が下されれば、同社は今後、国内販売品に国旗マークを使用することにお墨付きを得る。だが実際に裁判が行われるかどうかは不明だ。
またIGE/IPIとSEAが中国での通報を取り下げるのか、中国当局がどの対応するかも、オン社は把握していない。
英語からのDeepL翻訳・追記:ムートゥ朋子
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