
クレディ・スイスのAT1債無価値化は「法的根拠なし」 スイス裁判所

スイス連邦行政裁判所は14日、2023年のUBSによる買収に伴いクレディ・スイス(CS)のAT1債を無価値にした当局の命令を取り消したと発表した。

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同裁判所は声明外部リンクで、スイス金融市場監督機構(FINMA)による無価値化の決定には法的根拠がなかったと述べた。
訴訟の発端は、2023年3月19日にスイス連邦財務省、FINMA、スイス国立銀行(中央銀行)とUBSおよびCSがとった救済買収措置の一環だ。
買収計画の一環として、額面総額約165億フラン(約3.1兆円)のAT1債券を減損処理した。スイス政府は緊急政令の追加条項で、FINMAに対し、減損処理に必要な命令を発出することを承認した。
これに対し、3000人が約360件の訴訟を申し立てた。連邦行政裁判所は今月1日、うち1件の部分判決において原告側の主張を認め、当該命令を取り消した。
ただ原告の求める債券価値の回復については、行政裁判所はまだ判決を下していない。全ての訴訟手続きが完了するまで、取り消しは保留される。

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英語からの翻訳:ムートゥ朋子

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