スイス政府は10日、「大きすぎて潰せない(TBTF)」銀行に関する規制改革案を発表した。UBSと他の「システム上重要な銀行」3行は、破綻時のスイス経済への影響を抑えるためにより厳しい資本要件を課される必要があると述べた。
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スイス連邦内閣(政府)は209ページに上る報告書を発表外部リンクし、22項目の措置を勧告した。自己資本要件をどこまで厳格化するかは触れなかった。
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スイスのTBTF規制改革は国内外で注視されている。UBSが破綻しても、吸収する力のある銀行はスイス国内にはもう存在しないからだ。資本注入や国有化も、国家財政に大きなダメージを与える可能性が高い。
政府は報告書の冒頭で「システム上重要な銀行に対する量的・質的自己資本要件は、的を絞った形で厳格化し、将来を見据えて補完するべきだ」と強調した。
UBSについては「現在の規模・構造が維持・拡大される場合には、(要件は)相当拡充される」と別添文書で述べた。10日のスイス株式市場でUBS株は一時取引停止になった後、午後2時半(スイス時間)に1.9%急落した。UBSは報告書に対するコメントを拒否した。
スイスは報告書の勧告措置の速やかな施行を目指す。2025年上半期までに実施に向けた2つの政策パッケージをまとめる方針だ。1つは閣議決定で済む政令レベルの改正で、もう1つは議会の審議が必要な法改正だ。
UBSの資産規模は現在約1兆7000億ドルと、スイスの年間国内総生産(GDP)の2倍と主要経済国としては異例の比重を占めている。連邦政府は、危機に陥った銀行の一時的な国有化という選択肢は却下したと説明した。
報告書は▽スイスの金融当局である連邦金融市場監督機構(FINMA)の権限追加▽自己資本比率の上乗せ(資本サーチャージ)▽子会社の財務基盤の強化―などを盛り込んだ。自己資本比率の「全面的強化」は除外した。
「自己資本比率の増加による正確な影響について、最終判断を得にくい」と述べ、スイスの銀行を取り巻く競争圧力を踏まえると「比例性」を考慮する必要があると指摘した。
「(システム上重要な銀行の)自己資本要件を強化して透明性を高めることを目的とし、たとえ複雑な構造の銀行でも危機時に透明性と機動の余地を提供する措置を優先すべきだ」
スイスが銀行規制を強化するのは、スイスの銀行文化に対する国内外の監視が強まっているためだ。スイス下院は先月、公的資金で救済された銀行は、経営陣の給与を返納させる動議を可決した。
政府の報告書は、経営陣のボーナスを当局が没収し課徴金に充てる「クローバック」も選択肢だと述べた。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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