「前進する世界」―スイス・ジュネーブにある国連欧州本部前で、理想の世界を描く子供たち。スイス・フランス両国籍を持つ芸術家Saypeが描いた地上絵(2020年6月24日撮影)
Keystone / Valentin Flauraud
紛争や気候変動の影響で学校に行けない世界中の子供たちを救うため、スイスの国際都市ジュネーブに国際連絡組織が立ち上がった。
このコンテンツが公開されたのは、
2021/01/27 12:31
25日に発足した「緊急時の教育支援のためのジュネーブ・グローバルハブ(Geneva Global Hub for Education in Emergencies)」は、世界で人道的危機のために学校に通えない1億2700万人の子供たちの支援を目的とする。組織の設立はスイス政府が2019年のグローバル難民フォーラム で約束していた。
発足メンバーには教育基金「Education Cannot Wait(教育を後回しにはできない)外部リンク 」、連絡組織「グローバル教育クラスター外部リンク 」、国連児童基金(ユニセフ)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国連難民高等弁務官(UNHCR)、「非常事態下における教育のための諸機関ネットワーク(INEE)外部リンク 」のほか、スイス外務省、ジュネーブ大学、ジュネーブ国際・開発研究大学院、赤十字国際員会(ICRC)が並んでいる。
ジュネーブには国連の欧州本部を始め、38の国際組織、国連加盟国の177カ国の常設代表部、750の非政府組織(NGO)が集まる。ジュネーブ・グローバルハブは、これらの組織の教育担当者間の協力を強化したり、各国政府やパートナー組織に対し緊急時の教育を最優先事項に置くよう呼び掛けたりする。また各国からデータを収集し、国が講じるべき教育システムの在り方を研究する。
スイス外務省は記者発表外部リンク で「難民8千万人の4割以上が子供だ。その大多数は教育を受けられない。その結果、将来の見通しが立たず、子供への暴力がはびこり、失われた世代となる」と記した。「気候変動や紛争、そして新たに新型コロナウイルス感染症により、人道上の緊急事態が増えている」とし、教育は人道的災害で最も認識が低く資金提供が少ない分野の1つであると指摘した。
スイスは2021~24年の国際協力戦略教育で、教育を優先事項に据えている。
おすすめの記事
ウクライナ平和サミットの舞台スイス・ビュルゲンシュトック 地元住民は離心
このコンテンツが公開されたのは、
2024/05/16
6月15~16日に開催されるウクライナ平和サミットの舞台として、ルツェルン湖を望むホテル「ビュルゲンシュトック・リゾート」が注目を浴びている。かつては庶民も受け入れられる高級リゾートして地元に愛されていたが、近年は事情が違うようだ。
もっと読む ウクライナ平和サミットの舞台スイス・ビュルゲンシュトック 地元住民は離心
おすすめの記事
スイスで花粉症増加 気候変動・大気汚染が背景に
このコンテンツが公開されたのは、
2024/05/15
気候変動の影響で、スイスで花粉症患者が増加している。有症率は2割で、経済損失は最大で年間6900億円に上る。
もっと読む スイスで花粉症増加 気候変動・大気汚染が背景に
おすすめの記事
ユーロビジョン、「ノンバイナリー」自認のスイス代表優勝 イスラエル参加に抗議も
このコンテンツが公開されたのは、
2024/05/13
欧州国別対抗の音楽祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」の決勝が11日、スウェーデン南部マルメで行われ、「ノンバイナリー」を自認するスイス代表のNemo(24)が優勝した。会場周辺ではイスラエル参加に対する大規模な抗議活動も行われた。
もっと読む ユーロビジョン、「ノンバイナリー」自認のスイス代表優勝 イスラエル参加に抗議も
おすすめの記事
スイス北東部でオーロラ観測
このコンテンツが公開されたのは、
2024/05/08
スイス北東部のゼンティス山頂で6日未明、オーロラが観測された。
もっと読む スイス北東部でオーロラ観測
おすすめの記事
ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
このコンテンツが公開されたのは、
2024/05/06
スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。
もっと読む ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
おすすめの記事
スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
このコンテンツが公開されたのは、
2024/05/03
スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。
もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
2024/05/01
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
2024/04/26
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
おすすめの記事
製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
このコンテンツが公開されたのは、
2024/04/23
スイスの大手製薬ノバルティスは22日、2025年で任期満了となるヨルク・ラインハルト取締役会長の後任に、ジョバンニ・カフォリオ氏を選出すると発表した。
もっと読む 製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
おすすめの記事
スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
このコンテンツが公開されたのは、
2024/04/23
エジプト考古省は21日、約30年前に盗まれ国外に流出したラムセス2世像の頭部破片が同国に到着したと発表した。
もっと読む スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
続きを読む
次
前
おすすめの記事
世界の気候難民に救いの手を ジュネーブの支援プラットフォーム
このコンテンツが公開されたのは、
2020/02/19
災害と気候変動の影響で移住や避難を余儀なくされた人々が大きく報じられ、国際的な関心を呼んでいる。ジュネーブに本部を置く組織「災害避難民プラットフォーム(Platform on Disaster Displacement)」は、今世紀最大の人道的課題とも言われる気候難民問題に取り組む団体の一つだ。
もっと読む 世界の気候難民に救いの手を ジュネーブの支援プラットフォーム
おすすめの記事
コロナ危機下、開発援助はどうあるべきか
このコンテンツが公開されたのは、
2020/06/14
新型コロナ危機のさなか、スイスの議会では今後の国際開発援助をどうすべきかについて審議している。
もっと読む コロナ危機下、開発援助はどうあるべきか
おすすめの記事
「国際都市ジュネーブ」はなぜスイスにとって重要なのか?
このコンテンツが公開されたのは、
2019/12/05
「世界最大の国際的な取組みの中心地」、「平和の首都」、「グローバルガバナンスで最も重要な中心地」-。 「国際都市ジュネーブ」とは一体何で、スイスにとってなぜそんなに重要なのだろうか?
もっと読む 「国際都市ジュネーブ」はなぜスイスにとって重要なのか?
おすすめの記事
ジュネーブとともに20世紀の国際舞台に乗り出したスイス
このコンテンツが公開されたのは、
2020/04/02
「国際都市ジュネーブ」は第一次大戦の混乱期に誕生した。20世紀の国際舞台で重要な役割を担うため、スイス政府はジュネーブの将来性をアピールし、国際連盟を迎え入れた。
もっと読む ジュネーブとともに20世紀の国際舞台に乗り出したスイス
おすすめの記事
スイスの大学、難民対象に体験授業
このコンテンツが公開されたのは、
2017/05/03
スイスの大学では学生組合が中心となって、難民が大学の授業を体験できるよう様々な取り組みが行われている。だが、スイスの大学に正式に入学するための条件は厳しく、多くの難民にとって学位の取得はまだ実現しそうにない。
ある難民は、自分がスイスに行き着くなど思ってもみなかった。彼はジンバブエを出発した飛行機の中で、自分がその国について知っていることがあるかを考えてみた。しかし思い浮かぶことはあまりなかった。
「チョコレートの国ということは知っていた」と、難民のマンボ・ムホズイェニコノさんは話す。故郷を逃れた彼は、匿名を条件に取材に応じてくれた。チューリヒ近郊に暮らし始めて7カ月が経つ。
飛行機に乗ったその日、彼はスイスで英語が通じるかどうかわからず、不安だった。
もっと読む スイスの大学、難民対象に体験授業
おすすめの記事
バングラデシュ ロヒンギャ族難民キャンプの日常
このコンテンツが公開されたのは、
2019/06/20
バングラデシュには世界最大の難民キャンプがある。ここで暮らしているのは、ミャンマーから逃れてきた約100万人のロヒンギャ族だ。彼らは一体どんな日常を送っているのだろう。スイスのNGO「ヘルヴェタス」職員のアレクサ・メコネンさんは、避難生活の辛さを少しでも軽減しようと尽力している。
もっと読む バングラデシュ ロヒンギャ族難民キャンプの日常
おすすめの記事
難民申請者が学ぶスイスの暮らし、仕事、そして性教育
このコンテンツが公開されたのは、
2018/06/29
スイスでは難民申請者を対象に、暮らしのルールを伝える特別講座を開いている。講座では部屋探し、職場での振る舞い、そして性教育など、具体的なレクチャーが行われる。
もっと読む 難民申請者が学ぶスイスの暮らし、仕事、そして性教育
おすすめの記事
国際都市の出発に貢献、ジュネーブ空港
このコンテンツが公開されたのは、
2020/05/16
1920年9月23日午前10時20分、スイス人パイロット、エドガー・プリモーの操縦する航空機Haefeli DH-3がジュネーブ市北部の湿ったフィールドに着陸し、ジュネーブ・コアントラン空港が正式に開港した。それから100年。世界中のほとんどの空港と同じく、新型コロナウイルス感染拡大の真っただ中で静止状態におちいり、不確かな未来に直面しながらも、ジュネーブ空港はスイスで2番目に利用客の多い空の拠点に成長した。
もっと読む 国際都市の出発に貢献、ジュネーブ空港
おすすめの記事
ジュネーブ、国際都市としてのブランド力を高めるには?
このコンテンツが公開されたのは、
2017/04/05
ジュネーブは和平協議が開催される、国際機関が集中する都市なのだろうか?それとも国際的な要人の隠し資産や汚職、脱税問題で話題になる都市なのだろうか?もし後者であれば、今後どのようにしたら国際都市としてのブランド力を高められるのだろうか?
「世界の多くの人にとって、ジュネーブとは国際的な要人が汚職や脱税を行う場所というイメージだ」。こう言い切るのは、ブラジルのオ・エスタド・ドゥ・サン・パウロ紙のジュネーブ支局長、ジャミル・シャデ記者だ。
確かに、ハイチのジャン・クロード・デュヴァリエ元大統領やコンゴのモブツ・セセ・セコ元大統領の隠し資産はジュネーブの銀行口座に蓄えられており、過去にはジュネーブの名が、マネーロンダリングや汚職スキャンダルという言葉とともに新聞のトップを飾ったことが何度もあった。
もっと読む ジュネーブ、国際都市としてのブランド力を高めるには?
おすすめの記事
ジュネーブのNGO、コロナ禍で資金調達の見通し不透明
このコンテンツが公開されたのは、
2020/08/02
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が、ジュネーブ拠点の非政府組織(NGO)に与える直接的な影響は限定的だとする調査結果が出た。しかし、NGOはこの先の資金調達難を危惧する。
もっと読む ジュネーブのNGO、コロナ禍で資金調達の見通し不透明
おすすめの記事
ジュネーブ、手ごろ価格の宿不足 国際機関の関係者にも余波
このコンテンツが公開されたのは、
2018/10/11
物価の高いジュネーブ市では長年、妥当な価格の宿泊先が不足し、観光客だけではなくジュネーブの国際機関の関係者も、このあおりを受けている。(RTS、swissinfo.ch)
もっと読む ジュネーブ、手ごろ価格の宿不足 国際機関の関係者にも余波
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。