スイスの大手製薬会社ノバルティスは、1回約3349万円かかる高額な白血病治療薬キムリアに関する特許の1つを放棄した。スイスのNGOが欧州特許庁に異議を申し立てていた。
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スイスのNGOパブリックアイ外部リンクは、欧州特許庁での法的紛争で勝利したと発表。ノバルティス側は、放棄したのは米ペンシルバニア大学と共同開発したCAR-T細胞療法に関する複数の特許の中の1つだと述べた。
パブリックアイは、この治療法は37万スイスフランかかり「悪質な」商業的搾取に相当すると主張。今年初め、Médecins du Monde外部リンク(世界の医師団)と特許に対し異議を申し立てた。
16日、ノバルティスが特許を放棄したことについて、パブリックアイ側は「この大転換は、基礎となる技術が新いものでないことを考えれば、初めから特許が付与されるべきものではなかったと言える。キムリアに関する他の特許の有効性にも疑問が生じる。また将来の価格レビューに際し、スイスの巨大企業(ノバルティス)の独占的地位を弱体化させるだろう」と述べた。
ノバルティス側は、キムリアは「複数の特許によってカバーされている」と主張。それら複数の特許によって、細胞療法の治療に投じたイノベーションのコストを守るとしている。
ノバルティスはswissinfo.chの取材に電子メールで「ノバルティスとペンシルバニア大学は、革新的なイノベーションのインセンティブとして、知的財産権の重要性を強く信じている。その一例がキムリアだ。異議を受けた特許は、キムリアの継続的な開発とマーケティングにおいて重要ではないと両者の間で認識が一致した。したがってその特許を取り下げる決定を出した」と回答した。
パブリックアイは、ノバルティスの地位は弱体化したが「今回の勝利によってこの治療の独占が終わったわけではない。キムリアはまだ他の特許によって保護されているからだ」と述べた。
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