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女性同性愛者が語る半生


スイス人レズビアンの物語 翻訳本で中国のレズビアンにエール


Dahai Shao


中国にはレズビアンとゲイが合計3千~5千万人いると推測されている (©Patrick Zachmann / Magnum Photos)

中国にはレズビアンとゲイが合計3千~5千万人いると推測されている

(©Patrick Zachmann / Magnum Photos)

スイスのレズビアン(女性同性愛者)は20世紀後半をどう生きたのだろう。年齢を重ねたレズビアンを題材にしたコリン・ルフリさんの著書が中国語に訳されて出版される。これをきっかけに、ひょっとしたら中国でも同性愛についての論争が白熱するかもしれない。近年は同性愛者に対して寛容になりつつある中国だが、西洋と比べると彼女らの立場はまだ厳しいのが現状だ。

 ルフリさんの著書「Seit dieser Nacht war ich wie verzaubert(仮訳・私を解き放ったあの夜)」は、70歳を過ぎた同性愛者のスイス人女性らが、自身の半生と女性に対する恋愛感情をオープンに語ったノンフィクションだ。この本を翻訳したキャオ・ム(仮名)さんは、その内容に感動した。「実質的な違いはあるものの、主人公の女性たちが生きたスイスの1950~60年代と、現代の中国人女性が置かれた社会的状況はある意味で似ている。彼女たちの体験談を通して中国人読者が新たな展望を得られればうれしい」(キャオ・ムさん)

 著者のルフリさんは昨年出版されたこの本の中で、年老いたレズビアンの半生を浮き彫りにし、人にはさまざまな生き方があることを提唱しようとした。この実話を通し「私たちが持つ狭い『女性観』の他にも色々な姿があることを知って欲しい。こういった女性が、ひょっとしたら今の若い世代の理想像になれるかもしれない」と歴史家でもあるルフリさんは言う。本書が中国語に翻訳されることに関し、ルフリさんは喜びと同時に驚きも隠せない様子だ。

swissinfo.ch ご自身の著書が近々中国語で出版される予定ですが、そのきっかけは何でしたか?

コリン・ルフリ: 事の成り行きは少し変わっているが、うれしい偶然でもあった。ある日、私の本を読んだという中国人女性に、是非この本を中国語に翻訳して欲しいと言われた。翻訳するなら英語かスペイン語とは思っていたが、中国語は全く念頭になかったので少し戸惑った。

第1章を中国語に翻訳すると、中国の出版社が早速興味を示した。中国の書籍販売は未知の世界なので、私にとって何もかもが初めての冒険。中国ではレズビアンに関してどこまでオープンな表現ができるかも全く分からない。ドイツ語の「レズビアン」や「同性愛」という単語が中国語でどう訳されるかも興味深い。私は中国語ができないので、自分の本を中国語訳で読めないのが残念だ。

swissinfo.ch: 中国語版に何を期待していますか。

ルフリ: 中国語版が出版され、この本に興味のある全ての人に読んでもらえるようになれば、それだけで私の期待以上だ。この本が女性(や男性)を勇気づける手助けになれば、それが私にとって最高のプレゼントだ。

swissinfo.ch 中国の同性愛者の状況をご存じですか?

ルフリ: 中国におけるレズビアンやゲイ(男性同性愛者)の状況はあまり把握していないが、ホモセクシュアルの人々が虐げられた存在なのは想像がつく。しかし近年では、彼らのネットワークが作られ、同性愛者の権利を守る活動家が増えていると聞いた。これはインターネットのおかげでもある。

中国に限らず、農村で厳格な家長制度の中で育ち、交友関係に家族が目を光らせている環境の中にいる人たちにとって、同性への恋愛感情は認めにくい。レズビアンやゲイと知り合う機会がないのはいうまでもない。

愛する形が少し違うだけで人が抑圧されるのはおかしい。政府はもっと自由を保障すべきだと思う。

swissinfo.ch 本に描かれる女性たちは、中国のレズビアンの模範になれると思いますか?

ルフリ: その可能性は十分にあると思う。本に登場する女性たちは異なる文化圏に生きるスイス人のレズビアンで、確かに中国とは状況が全く違うが、皆、幸せを勝ち取るために自分なりに戦ってきた。社会や家族の理解を得られない厳しい環境にありながら、自分の気持ちに正直に生きた女性たちだ。

同性への恋愛感情を受け入れることで、男性優位、かつ反同性愛主義の社会の中でうまく生きていく道を見つけていった。そして自分の居場所を築き上げたのだ。全ての女性が同じようなチャンスに恵まれていたわけではない。うれしいことに、本に登場する女性たちは皆、今では穏やかな気持ちで自分の人生を振り返ることができる。だからこそ、この本は読者に勇気を与えるのだ。自分の人生を自分の力で切り開き、幸せを勝ち取る勇気を。

コリン・ルフリさんは2015年に著書「Seit dieser Nacht war ich wie verzaubert. Frauenliebende Frauen über siebzig erzählen」(仮訳・私を解き放ったあの夜 70過ぎのレズビアンが今語る半生)を出版。本書では年配のレズビアン11人が自分の半生を振り返っている。

1940~60年代、人目を忍びながらどのように彼女たちが恋愛関係を続けていったか、なぜ一度は男性と結婚する道を選んだか、あるいはどのように女性に恋愛感情を抱いたか、そして現在の生活の様子などが語られている。

彼女たちの物語は生きる喜びに満ちあふれている。しかし同時に、主婦や母親としての型にはめられることを拒んだがゆえに社会で孤立する姿も浮かび上がる。

中国とスイスのデータ

中国保健省の推算では、中国には約3千万人の同性愛者が存在し、うち1千万人はレズビアン。他の出典元では国民の約4%が同性愛者というデータもある。

男性の同性愛者の数が女性の同性愛者より(一見)多い理由に、男性優位の社会では男性の方が自分の人生やセクシュアリティを自ら選択しやすい点が挙げられる。それに対し女性は、自分のセクシュアリティも含め服従を強いられる傾向にある。

スイスでは、ホモセクシュアルあるいはバイセクシャルの割合は成人した国民の4~10%とされる。一般的に都市部の方が農村部と比べて同性愛者の割合が高い。恐らく都市部の方が同性愛者への理解度が高く、その方面でのサービスも豊富なため、仲間が集まりやすいのがその理由とされる。

日本における同性愛者の政治的・法的・社会的地位についてどう考えますか?みなさんのご意見をお寄せください。


(独語からの翻訳・シュミット一恵 編集・スイスインフォ), swissinfo.ch

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