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グルメ展に集まるフードジャーナリストたち

グルメッセは今年で11回を迎える。スイスの料理雑誌が取材し、高級グルメ食品を集めた(写真提供 Salz und Pfeffer 出版)

(swissinfo.ch)

10月7日から4日間、チューリヒ湖畔にあるコングレスハウスでグルメの展示会「グルメッセ」が開催された。130の食品関連企業が参加し、スイスのグルメおよそ1万人がメッセを訪れた。

メインテーマはオリーブ油。世界中から集められた143種類のオリーブを小さく切ったパンにつけて試すことができる。ワイングラスを見学者の目の前に突き出す若いイタリア人。「白ワインみたいだけど、オリーブ油なんだ」と言う。ほんのり果実の香りがする最高級のエクストラ・バージンだ。

 10月7日に行われた記者会見に参加し、スイスのフードジャーナリストたちに混じって、出展者自慢の食品を試してみることにした。

次から次へと試食するのが仕事

 集合場所のメッセ会場の入り口でオファーされたのは、本物のシャンペン。黒いラベルに金文字で「Lanson Brut」とある。これまで筆者が出席した記者会見で出される飲み物といったらせいぜい、ミネラルウォーターかオレンジジュース。会見前からグルメ展の記者会見への期待が募る。

 記者会見は一般見学者も入場する中、スイスのグルメ雑誌の出版社でメッセの主催者のブースで行われた。細長いテーブルに自称グルメの記者たちが、お互い向かい合わせになって座った。止まり木に腰を下ろす間もなく、淡い金色をの光を放つ白ワインがグラスに注がれた。

 「ワインは南イタリアのアプーリア地方のものです。これから生牡蠣とサーモンのタルタールを召し上がっていただきます。生牡蠣はフランス産で、ナンバー3。トーストの上に乗っているサーモンのタルタールは、ザワークリームと万能ねぎの刻みを和えたものです」と主催者のシュテファン・シュラム氏が、大きな声で説明する。その後、出展者の専門的な説明を受けては、記者団が、思い思いの質問を投げかけるといった方式で記者会見が進んでいった。次はフォアグラ。その次は、スイスではまだ主にホテルにしか卸していないというブラジル産の養殖魚のタイガー・フィッシュのフライ。スイス産の生ミルクで作ったというチーズには特に人気が集まった。あまりの美味しさにだろうが、広告のチラシにチーズを一切れ包んでポケットに入れる記者を見てしまった。

巷では注目の和食の存在感が薄いメッセ

 外国人の記者は筆者一人。サービス精神からなのだろう。「この種のサーモンは最高級で、日本では寿司にはこのサーモンしか使いません」との説明。よせばいいのに「伝統の寿司に、鮭は使わないんですよ」と知ったかぶりの筆者。かわいそうにもスモークサーモンの出展者は、記者団の前で顔を赤くしてしまった。

 「ピンタード(魚の名前)は有機の養殖ということだけど、味は練り物のようで舌触りが良くないと思う」と感想を述べると「あなたの感想は尊重します。東洋人好みではないと思いますよ。よく分かります。私の妻も東洋人ですから。第一生け簀からとって料理するなんてこの魚ではできない相談なんです」と説明ともいいわけともいえない答えが返ってきた。

 巷では和食ブームだが、和食の出展は1件のみ。しかも大衆寿司チェーンというのは残念だった。

腹八分で終える記者会見

 アルコールにはめっぽう弱い筆者。ワインの次に黒ビールが出てきたときには飲むか飲まないかで迷った。ワインとビールをちゃんぽんに飲むと悪酔いしやすいが、しないためにはその順序が決め手とよく言われる。ワインの次にビールを飲むのであれば悪酔いしないのか、その反対なのか、記者会見の場ではどうしても思い出せないのだ。

 試食しながら説明に耳を傾け、ワイングラスを傾けながらもノートにメモを取る記者たち。フードジャーナリストなのだから、食べたり飲んだりするるとが仕事だ。それでも、会見開始後30分もすると、ワインのせいもあるのか、お互い和やかな雰囲気に包まれてきた。70歳は越えているであろと思われる蝶ネクタイの紳士が近づいてきた。「わたしは食品技術専門誌のジャーナリストだが、40年前は日本の大学で政治学の客員講師をしていましてねえ」などと、仕事に関係ないことで話しかけてくる記者もいるほど。

 試食、試飲が終わり、料理のデモンストレーションの見学と昼食代わりの試食で会見は終了。仕事で食べるということでは、満腹にもならないことが分かった。こうして、筆者にとっては風変わりな記者会見を乗り切ったのだった。

swissinfo、 佐藤夕美(さとうゆうみ)


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