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サンタクロースを追い払う祭?

200個のステンドグラスのような灯篭が練り歩く。クラウスヤーゲンは光のショー。

(picswiss.ch)

毎年12月5日の夜、人口たった8600人のキュスナハト・アム・リギ ( Küssnacht am Rigi ) は祭を見ようとする人で、町がごった返す。祭の名前は「クラウスヤーゲン ( Klausjagen )」。ドイツ語で「サンタクロースを追い払う」という意味だ。

キリスト教司教の帽子 ( ミトラ ) の形をし、教会のステンドグラスを思い起こさせる巨大な灯篭を頭上に掲げるおよそ100人と、耳をつんざく30本のむちの音と、エクスタシーを誘う1000個のカウベルなどが町を練り歩く。この町出身の男性だけに参加が許されている、音と光の祭だ。祭の起源は日本でいう節分のようなものだった。

 スイスのクリスマスは12月25日からさかのぼった4週間前から始まる。キリスト教では6日を、日本でいうサンタクロースに当たる聖ニコラウスの日と定めているが、この日に前後してスイスでは各地で祭がある。その中でも最も美しく騒がしいのが、クラウスヤーゲンだ。

教会や為政者への反発を歌う

 「子どもの頃、年上の兄弟や町の人がクラウスヤーゲンをしているのをうらやましく思いました」と語るのは、聖ニコラウス協会の理事長、ルネ・レーバー氏 ( 55歳 )。以前は11月になると、いつということはなく家から小さな灯篭を持ち出したり、カウベルや小ホルンを鳴らして町を練り歩いたものだった。悪魔や悪い魂を追い払うのだ。いまは小規模なものは廃れ、12月5日に町全体が祝う祭となった。

 「悪魔ばらい」はスイス全国各地であった風習だが、キュスナハトでは20世紀初頭になってから次第に洗練され、いまや参加者1800人、見学者2万人の大規模な祭にまで変容していった。特に1960年代から外国の報道機関もこぞって取り上げたため「あまりにも巨大化してしまい、サニタリーやレストランなど市のインフラではとても対応し切れません。いまは積極的な広報活動を止めました」とレーバー氏は明かす。
 
 クラウスヤーゲンの最古の記録は、1732年にさかのぼる。悪魔ばらいは異端の風習であるとして、キリスト教会と為政者たちが何度もこれを止めさせようとしたとその記録にはある。というのも、クラウスヤーゲンを口実に、市民が牛追いに使うむちや、ピストルを持って暴徒化したためだ。その当時、これを強制的に止めさせようとした為政者の名を呼んでからかう行進のせりふ「マンツ・マンツ・マンツ・ボデマン・マンツ」が、祭りの歴史の名残だ。

 行進が終わると参加者は、グループごとに別れて、レストランでクラウスメニューを食べる。細切りのキャベツを発酵させ料理したザワークラウトと骨付きの豚肉だ。その後も2次会、3次会と続き、次の日の朝6時、もう一度町を練り歩いて祭が終わる。

灯篭の作り方

 最大の見物はなんといってもミトラの形をした灯篭「イッフェレン ( Iffelen )」だ。台紙は厚さ5ミリの灰色もしくは黒の厚紙で、ステンドグラスのような模様が透き通る部分は、障子紙のような薄い紙が張られている。大きいものだと高さ2.5メートル、幅1.5メートル、中に12本のろうそくが灯されると重さは約15キロになる。これがクラウスヤーゲンに登場するようになったのは、1900年頃からだ。

 聖クラウス協会のイッフェレン管理責任者のハンストニ・ガンマさん ( 36歳 ) は、イッフェレンの製作セミナーも開催する。2、3年おきに3月から11月まで毎週1回の講座で、女性も参加することができるという。「完成までに300時間は掛かります。絵柄は決して昔の模様のコピーではなく、独自のものを始めから作ります。気に入った絵柄が頭に浮かんでも、イッフェレン用にアレンジするには工夫が要ります」とガンマさん。表には聖ニコラウスの姿、裏にはキリストのシンボルである「JHS」が必ず描かれていることが条件。幾何学模様もあれば土地の風俗を表したものもある。

 キュスナハト生まれの男性は、6歳になると小型のイッフェレンを持ちクラウスヤーゲンに参加するようになる。大人になって町を離れても、12月5日には故郷に帰り、祭に参加することは言うまでもない。

swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )  キュスナハト・アム・リギ ( シュヴィーツ州 ) にて

キーワード

11月25日 聖ニコラウスを森から引きずり出す行事。
12月5日 14時15分から子どもの行進、20時15分から大人の行進。
交通 チューリヒからルツェルンもしくはアルト・ゴルダウ ( Arth- Goldau ) で電車を乗り換えて約1時間半。

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