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サン・ニコラがやってきた

フリブールはバイリンガルの町。だからサン・ニコラになるサン・ミシェル高の男子生徒はフランス語とドイツ語で演説をしなければならない。その上、見かけも良くないといけない。

(st-nicolas2005.ch)

12月2日、フリブール ( Fribourg ) の町は、朝から市も立ち、3万人もの人が集まり、大賑わいである。でも、メインは17時から始まるサン・ニコラ ( Saint Nicolas) の行列。

怖い「鞭のおじさん( Père Fouettard )」に囲まれ、ロバに乗ったサン・ニコラは、子供たちに香辛料の入った小さなパン、ビスコウム ( biscômes ) を配りながら行進し、最後は教会で演説もするという。

 フリブール市のサン・ニコラのお祭りは年々、スイスの他州からも見に来る人が増えているという。人口3万5000人のこの町で、3万人もの人が通りに出るのだから一大祭りだ。「前日から両親の家に泊まって、毎年必ずこの日にはフリブールに来ます。友人に会えるし、高校生の時、行列の中で横笛を吹いていたのを思い出します」と今はジュネーブに住むバレリー・クラークさん。

高校生が始めた

 そもそも、サン・ニコラはフリブール市の守護聖人であり、その聖遺物は今もこのフリブールの大聖堂、サン・ニコラ・カテドラルに祭られている。サン・ニコラはフリブールにとって切っても切れない存在なのだ。

 そうしたことから、1906年フリブール市の有名高サン・ミシェルの生徒たちが、寮祭にサン・ニコラに変装して演説などを行い、それがこのサン・ニコラ祭の始まりという。今もこの高校の生徒の一人がサン・ニコラになり、数人が鞭のおじさんに変装。それに横笛の合奏隊も加わる。

 17時に高校を出て町を行進し、18時頃カテドラルに着き、そのバルコニーから、サン・ニコラが今年起こった出来事を交え、かなり政治的な演説を黒山の人だかりを前に行うという。「今年は、先週末の国民投票の結果について語ることはまちがいありません」とクラークさん。

サン・ニコラとは?

 このサン・ニコラとはどういう人物だったのか?サン・ニコラは西暦270年に生まれ、トルコのミール( Myre ) という町の司教を勤め西暦345年に亡くなっている。その生涯は数々の逸話に包まれている。

 中でも有名なのは、3人の子供の話。3人は落穂拾いに出かけ、道に迷った揚げ句泊めてもらった肉屋に殺され、そば粉を入れる壷に閉じ込められる。サン・ニコラはこの子たちを7年後に生き返らせるのだ。

 こうした逸話から、サン・ニコラは、子供、学生、教師、独身の男性、そして船乗りの守護聖人として祭られるようになり、亡くなった12月6日にカトリックの伝統の強い地域ではサン・ニコラのお祭りを行ってきた。

 それは、サン・ニコラに変装した大人が子供のいる家に来て、その子がいい子だったら、みかん、ピーナツ、ビスコウムなどの入った小さな袋をくれるというのが一般的。ところが、サン・ニコラが大きな袋をもっていて、その中に悪い子を入れて脅かしたりする地域もあれば、鞭おじさんがサン・ニコラと一緒にきて、悪い子に説教したりする地域もある。

 この日、子供たちはうれしさ半分、恐ろしさ半分なのだ。「小学校低学年の時、毎年、黒く塗った顔に黒い服をまとい、鞭をもったおじさんとサン・ニコラが村の学校に来て、悪い子を数人挙げて、説教をしました。そしてその後、やっとビスコウムをもらうのです」とフリブール州の村に住んでいたクラークさんは昔を懐かしむ。

 ところで、この謎の鞭おじさんとは、3人の子供の話に登場する、肉屋の象徴的人物なのだという。子供に「気をつけろ」というメッセージが「いい子になりなさい」という説教に代ったのか。

サン・ニコラとサンタ・クロース

 さて、12月の始めにサンタ・クロースのような服を着て、小さなプレゼントを子供たちに配るこのサン・ニコラと、12月24日にプレゼントを子供たちに配るサンタ・クロースとの関係は何だろうと思った人は多いのではないだろうか?

 実は両者は同一人物なのだ。サン・ニコラはベルギーのオランダ語でシンテル・クラース ( Sinterklaas )。この名がアメリカで形を変え、サンタ・クラウス ( Santa Claus ) になり、12月6日の代わりに、12月24日にプレゼントを持って来るようになった。

 フランスのロレーヌ地方では、伝統的にはサン・ニコラだけを祝っていて、24日は教会に行くだけだった。それにサン・ニコラは暖炉の煙突から家に入ってくるといわれていた。これら全てがアメリカで形を変え、戦後、ヨーロッパにサンタ・クロースとして逆輸入されたのだ。

 こんな複雑な、各地の伝統が混じりあう歴史に思いをはせながら、フリブールで、サン・ニコラの演説を聴き、ビスコウムを食べるのも楽しいのでは。

swissinfo、里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) フリブールにて

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