ベルン在住の日本人を対象に開かれた、医療や高齢者介護を考えるセミナー。2019年6月5日、ベルンで
swissinfo.ch
がん再発防止や高齢者介護を考える日本人向けのセミナーが5日、ベルンの日本大使館広報文化センターで開かれた。日本人の専門家が講演し、20人弱が参加した。
このコンテンツが公開されたのは、
ベルン日本人会と日本大使館が共催。健康や老後の備えに意識を高めてもらおうと開いた。セミナーでは、リハビリ専門のちゅうざん病院外部リンク(同県沖縄市)に勤務する看護師で、食べ物をうまく食べられなくなる摂食・嚥下(えんげ)障害に詳しい加藤節子さんが登壇。高齢者の食のあり方を解説し、飲み込む力を保つトレーニングなどを紹介した。
名桜大学外部リンク(沖縄県名護市)の玉井なおみ上級准教授は、がんの再発予防について講演。がん予防としてウオーキングなどの運動を推奨した。
スイス在住日本人の自助団体ケアチームジャパン(本部・チューリヒ)の副代表で、スイスの高齢者施設に勤務するリッチャー美津子さんは、ボランティアから正式採用に至った経緯や、スイス人の同僚と行った日本での研修旅行での経験を語った。
ケアチームジャパンは、スイス在住日本人が将来高齢になったときに助け合うことを目的とした非営利組織で2002年にチューリヒで設立、ジュネーブに支部がある。同団体は日本の家族の遠距離介護も支援する。以前からベルン支部を立ち上げようという計画があり、ケアチームジャパンがバックアップする形で今回の講演が実現した。
講演会に来ていたブルンネン淑子さん(72)はスイス人の夫が5年間の在宅介護と半年の施設入院の末に最近亡くなり、日本の92歳の実母が介護施設に入ったばかり。「日本とスイスの介護施設は入居者の送り迎え一つとっても大きく違う。延命治療でも、スイスだと抗生物質を投与するのも逐一患者・家族の承認を取る。何が延命に当たるのか、こうも違うと悩んでしまう」などと話していた。
また在住歴5年の小西裕子さん(49)は「自分の身に何かあったらスイスに残るか日本に帰るかと悩む。スイスの方が代替医療の選択肢が広いような気はするが、ここでできること・できないことをよく見極めたいとは思う」と話した。
スイスインフォでは5日の講演をフェイスブックでライブ配信(前編外部リンク、後編外部リンク)した。
(以下は講演の映像です)
おすすめの記事
おすすめの記事
海外在住の日本人 老後にどんな不安を感じている?
このコンテンツが公開されたのは、
世界には135万人の日本人が国外で暮らす。かつて高齢者が住みやすいランキング1位に輝いたスイスであっても、日本人にとっては全くの異国の地。海外の日本人たちは、老後に関してどんな不安を抱えているのだろうか。
もっと読む 海外在住の日本人 老後にどんな不安を感じている?
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
続きを読む
おすすめの記事
薬価設定の透明性をどうするか 高まる圧力に悩む製薬業界
このコンテンツが公開されたのは、
20日、スイス・ジュネーブで始まった世界保健機関(WHO)の総会で、イタリアから出された決議案が注目を集めている。それは高額な薬価設定や医薬品市場の透明性を高めるよう求めた内容だ。日本でも高額な白血病の新薬が話題になったが、この決議案は旧来の医薬品業界に風穴を開けるのか。
もっと読む 薬価設定の透明性をどうするか 高まる圧力に悩む製薬業界
おすすめの記事
評判悪いスイスの喫煙文化、観光業にダメージ?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスを訪れる観光客は大方のことには満足して帰るが、その例外はスイスの喫煙文化だ。この事実をスイス観光業界はどう認識しているのか?
もっと読む 評判悪いスイスの喫煙文化、観光業にダメージ?
おすすめの記事
スイス、今年はがんによる死亡が1万8千人の見込み
このコンテンツが公開されたのは、
世界保健機関(WHO)が12日発表した調査で、スイスでは今年、新たにがんと診断される患者が5万6千人超に上る見込みであることがわかった。
もっと読む スイス、今年はがんによる死亡が1万8千人の見込み
おすすめの記事
高齢、重病、無力感 それでも生きていくのか?
このコンテンツが公開されたのは、
死期を自分できめることは正しいのか?もしそうだとしたら、そのことが高齢者に対して「早く人生を終えるように」と無言の圧力をかけてしまわないか?この二つの問いをめぐり、今スイスでは自殺ほう助についての議論が再燃している。自…
もっと読む 高齢、重病、無力感 それでも生きていくのか?
おすすめの記事
スイス人の死に方を大調査
このコンテンツが公開されたのは、
自分の家で眠るように息を引き取るのは、多くの人にとって理想の死に方かもしれない。だが現実には多くの人が自宅以外で最期を迎える。スイスでは8割が介護施設か病院で人生を終える。
もっと読む スイス人の死に方を大調査
おすすめの記事
スイスの訪問看護・介護サービス利用者増加
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで昨年、訪問看護・介護サービスの利用者数は、前年より1万人増の35万人だった。一方、老人ホームや介護施設の入居者数は14万9千人で横ばい。うち15%は短期滞在だった。
もっと読む スイスの訪問看護・介護サービス利用者増加
おすすめの記事
介護士の2人に1人「定年まで続けられない」
このコンテンツが公開されたのは、
労働組合ウニアが15日発表した調査で、スイスの介護職に就いている人の約5割が定年前は仕事を続けられないと考えていることが分かった。劣悪な労働条件やストレス、ワーク・ライフ・バランスが欠けていることが背景にある。
もっと読む 介護士の2人に1人「定年まで続けられない」
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。