スイスのバイオ医薬品メーカー・バシレアが上場
スイスの有力なバイオ医薬品メーカー・バシレアは25日、スイス証券取引所に上場した。バイオ企業の新規上場は2年半ぶり。上場初値は売り出し価格を上回る好調な出だしで、同社が開発する抗菌薬が投資家の期待を裏付けた格好となった。
同社は2000年設立で、院内感染の原因となる薬剤耐性菌の出現を防ぐ抗菌薬「BAL5788」の開発に力をいれている。
同社のアンソニー・マンCEOは、「(BAL5788は)初期の実験で良好な結果を出しており、臨床試験に移る段階にきている。調達した資金はそれに充てることになる」と話す。上場に伴う新株の発行で、2億600万フラン(約170億円)規模の資金調達を見込む。
スイスで3番手
スイス北部バーゼルに本社を置くバシレアは、2000年にスイス製薬大手ロシュから分社化しスタート。上場前は、ロシュがバシレアの株式の過半数近くを所有していた。
今回の上場により、同社の時価総額は8億5,100万フラン(約700億円)となり、同社はスイスでセロノ(本社・ジュネーブ)、アクテリオンに次ぐ3番目に大きいバイオ医薬品メーカーとなる。
同社は市薬品がないものの、開発中の抗菌薬「BAL5788」で成長が期待されているほか、慢性皮膚炎の治療薬「BAL4079」の開発も手がけている。
バシレアの2003年通期決算は、最終利益が5,570万フラン(約46億円)の赤字。黒字化するのは2008年以降だという。従業員は190人。
初値、売り出し価格を上回る
上場初日の取引は、売り出し価格98フラン(約8,090円)を15%上回る113フラン(約9,328円)をつけるなど好調なスタートを切った。初日の終値は101フラン。
今回のバイオ企業上場は、スイス証券取引所では2001年6月以来のこと。
ハイテクバブルの崩壊後、株式の新規公開(IPO)は低迷していたが、景気の回復を背景にバイオ企業の資金調達意欲が上向いていることを示した、と市場関係者は見ている。
スイス国際放送 ロバート・ブルックス 安達聡子(あだちさとこ)意訳
バイオ医薬品メーカー・バシレアは2000年、スイス製薬大手ロシュから分社化
院内感染の原因となる薬剤耐性菌の出現を防ぐ抗菌薬「BAL5788」の開発に力をいれている。
上場に伴う新株の発行で、2億600万フラン(約170億円)規模の資金調達を見込む。
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