ミシュリン・カルミ・レ大統領は訪問中のオーストリアで4月11日、スイスは原発廃止を視野に入れていると述べた。
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カルミ・レ大統領はウィーンでの記者団の取材に対し、今後の対策として脱原発の道もあり得ると示唆。これに対しオーストリアのハインツ・フィッシャー大統領は、性急な原発廃止には慎重を期すべきだとし、現在稼働中の原発の安全確認が優先課題だと強調した。
欧州連合の原発耐久審査
欧州連合 ( EU ) が進めている原発の耐久審査(ストレス・テスト ) についてカルミ・レ大統領は、「スイスは独自に原発の安全性を点検する。EUはまだ安全の基準すら定めていない」と語った。
フィッシャー大統領は隣国スイスの安全対策に関し、「スイスという国は、国民の安全を守るために全力投球をしている」と称賛した。
国際原子力機関
オーストリアには核の番人といわれる国際原子力機関 ( IAEA ) の本部が置かれているが、原発は一つもない。1978年の国民投票で、すでに完成していた原発の稼働開始が否決されたからだ。オーストリアのヴェルナー・ファイマン首相は、スイスも国民投票を活用し、最終的には原発撤退に進んでほしいと語った。
カルミ・レ大統領は同日、天野之弥 ( あまの ゆきや ) IAEA 事務局長とも対談。 IAEA が率先して福島第一原発事故を分析し、原発安全問題に積極的に働きかけるよう強く要請した。
また、原発の安全性を高めるには情報の透明性や確固とした安全基準が重要であり、IAEAは各国が基準を守っているか厳密に検査し、定期的に報告すべきだと主張した。
外電
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